「不発弾処理の費用、「国・市に法的義務なし」 大阪地裁」慶応大学の大屋雄裕教授の補足
Professor of Jurisprudence, Keio University Faculty of Law. Dean, Keio Univ. Correspondence Courses. Visiting Prof., Nagoya Univ. PhD Professional Office.
①はい補足。ポイントは引用されているとおり《国・市に義務を負わせる法的根拠はあるか、あるいは支払わないことが裁量権逸脱と評価できるか》という枠組で判断されたこと。その上で《いずれもない》ので原告敗訴。 >不発弾処理の費用、「国・市に法的義務なし」 asahi.com/articles/ASL2V…
2018-02-27 11:18:02②で、この枠組だとそうだろうなというのが率直な感想で、原告側から《不発弾の処理権限が自衛隊にある》と主張して《「やっていい」ことと「その費用を負担する」ことは関係ねえだろ》と反論されたりとか、そういう議論が延々と。やっぱり現行法令に直接的な義務付けの根拠ないよねえ、という結論。
2018-02-27 11:21:27③注意すべきなのは、簡単に言えばこの裁判は「義務があるか?」「No」というだけのことで、「支出してはいけないのか?」という問題には答えていないし、それは論点でない。現に沖縄では国が、他自治体で自治体が負担している例もある。国・自治体が出したいときに出すことは問題にならない。
2018-02-27 11:23:40④しかしこの事例で国・自治体は出そうと思ってなかった。それでも支出を強制できるかという裁判だったので、判定基準が「義務はあるか」という高いところに置かれてしまい、敗訴に至った。いま述べた通り支出自体が違法でないのだから、「適切か?」を問う政治や世論の方が勝利条件は低かったよねと。
2018-02-27 11:25:43⑤そもそもこの問題は、義務の有無という裁判の争点に乗りにくい。戦争の帰結だと考えれば、国が負担することには理がある。現に生活空間にある危険だと考えれば、自治体負担にも理がある。その土地を所有し活用することで利益を得てきたことを考えれば、所有者負担にも一定の理がある。
2018-02-27 11:28:27⑥なのでまあ直接経費は所有者、間接経費は自治体、そのうち1/2は特例交付税で国が面倒を見るし実施部隊は自衛隊なという感じで「三方一両損」的な解決が図られてきたところ、本件原告が不満に思ったことには一定の理があるとして、選択した解決方法とうまくマッチしていないのではないかという話。
2018-02-27 11:31:02⑦このあたり、裁判というのは万能のツールではなくてかなりの制度的制約の下にあるし、そのことを理解してうまく使うことを考えた方がいいでしょうねというのがコメントの趣旨になります。なおこの点については大屋雄裕『裁判の原点』(河出ブックス)が(爆発音)【全面広告】(終)
2018-02-27 11:33:33ちょっと補足。正確に言うと、国は《市が負担した上で半額を特別交付税で申請してくれれば当然出すつもりだったけど、全額はねえ》、市は《間接経費はちゃんと出したけど、全額はねえ》という感じ。どちらも「一銭も出さない」という話ではないし、現に経費・人員は出しています。 twitter.com/takehiroohya/s…
2018-02-27 11:40:27- 不発弾処理:土地所有者ら敗訴 大阪地裁 - 毎日新聞
2018年2月27日 00時20分(最終更新 2月27日 00時20分)
大阪・ミナミの繁華街で見つかった不発弾の撤去費を一部負担させられたのは不当だとして、土地を所有する男性らが、国と市に計約580万円の返還を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(比嘉一美裁判長)は26日、男性側の請求を棄却した。
比嘉裁判長は「国や市が費用を負担すべきだとは法令からは認められず、費用を負担しないことが裁量権を逸脱しているとも言えない」と指摘した。
訴状によると、男性は大阪市浪速区の土地を所有。2015年3月、マンション建設中に地中から米国製の不発弾(長さ1.8メートル、直径0.6メートル)が見つかり、大阪市や陸上自衛隊などが撤去作業に当たった。
市は撤去費のうち、過去の事例などを理由に土のうの設置費や警備費など計約580万円を男性らに請求。男性側は支払いに応じたものの、「戦後処理の一環として行政が処理する責任を負う」などと主張していた。【遠藤浩二】
- 不発弾撤去「行政負担義務ない」…大阪地裁 : ニュース : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)2018年02月27日
大阪・ミナミのマンション建設現場で見つかった不発弾撤去のために約570万円を負担した土地所有者が、大阪市と国に同額の支払いを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は26日、請求を棄却した。比嘉一美裁判長は「国民が等しく受忍しなければならない戦争被害で、市や国が負担する法的義務はない」と述べた。所有者側は控訴を検討する。
判決などでは、不発弾は太平洋戦争末期に米軍が投下した1トン爆弾で、2015年3月に見つかった。近くには南海電鉄難波駅や大型商業施設「なんばパークス」などがあり、同5月、半径300メートルの立ち入りが規制され、自衛隊が撤去にあたった。
市は住民への広報費用など約190万円を支出したが、撤去当日までの警備や防護壁設置の費用は土地所有者が負担した。所有者側は裁判で「不発弾処理の責任は市や国にある」と主張。市は「国が負担すべきだ」、国は「一次的な責任は地方公共団体にある」と反論していた。
判決で比嘉裁判長は「不発弾処理の責任の所在を明示した法令はない」としたうえで、戦争被害は国民が耐えるべき損害との考え方に基づき「市や国が負担すれば、特定の個人を利することになる」と指摘した。
大阪市は「費用負担の義務がないことが認められた」とコメント。所管する総務省は「主張が認められたと考えている」とした。
- 不発弾処理、所有者ら敗訴 大阪市と国の負担認めず 大阪地裁 - 産経WEST 2018.2.26 23:41
大阪・ミナミの繁華街で平成27年5月に行われた不発弾の撤去をめぐり、防護壁の設置や警備にかかる費用約580万円を支払った土地所有者3人が、費用は大阪市と国が負担すべきだと求めた訴訟の判決が26日、大阪地裁であった。比嘉一美裁判長は「国民が受忍しなければならない戦争損害」などとして請求を棄却した。
不発弾処理の費用を誰が負担すべきか明示した法令はなく、所有者側は災害対策基本法や自衛隊法を挙げ、「戦後処理の一環として行政が処理責任を負うべきだ」と主張していた。
比嘉裁判長は判決理由で、災害対策基本法の適用は行政機関に裁量があると指摘。同法を適用しなかった大阪市の判断は、「妥当でなかったとはいえない」とした。また、自衛隊法の規定も不発弾処理や費用を負担する義務を課すものではないとした。
判決によると、不発弾は米軍が投下したとみられる1トン爆弾。同年3月に大阪市浪速区のマンション建設現場で見つかり、信管が残った状態だったため、自衛隊が撤去した。作業の際は不発弾から半径約300メートル以内を立ち入り禁止とし、南海難波駅を発着する電車も一時運休した。
吉村洋文市長は記者団に「基本的には所有者が民法上の義務を負う。正当な判決が下された」と述べた。国は「主張が認められた」とのコメントを出した。
不発弾を処理する費用は自治体や国が負担すべきだとして、大阪市の男性らが576万円の支払いを求めた訴訟の判決がありました。「国・市に費用を負担する法的義務はない」と訴えを棄却しました。【 #不発弾 #戦争 #大阪地裁 】:朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASL2V…
2018-02-27 07:44:10不発弾撤去「行政負担義務ない」…大阪地裁 yomiuri.co.jp/osaka/news/201… #社会
2018-02-27 10:25:02