日向倶楽部世界旅行編第36話「悪の天才科学者ハイドロ博士」

ブルネイ泊地を発った日向達は、次なる目的地を目指し航海を再開する。 だがそんな彼らを秘かに狙う者たちがいた、その名を、悪の秘密組織ハイドロ団!
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三隈グループ @Mikuma_company

【前回の日向倶楽部】 関係、それは友と結び、敵と築き、愛を結ぶ一本の線。 奸計、それは友を欺き、敵を騙し、愛を陽炎に映す一つの点。 関係の中に奸計を生み、奸計の上に関係を築く、うわべを差し出し、騙し合い、人は孤独に消えてゆく。 友情を信じる者は幸せ者、馬鹿と呼ばれる尊き塵。

2018-02-27 21:30:33
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【前回の日向倶楽部その2】 扶桑です。 地図にない島の調査を終えてブルネイに帰投した私達は、近々ブルネイで水上闘技大会が開かれる事を伝えられました、開催まではまだ時間があるという事で、しばらく時間を潰す為にブルネイを発ちます。そうそう、あきつ丸さんと鈴谷さんが以前より親しくなってい

2018-02-27 21:31:30
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第36話「悪の天才科学者ハイドロ博士」

2018-02-27 21:32:29
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〜〜 ここは悪の秘密組織「ハイドロ団」のアジトである! 「全員集合!」 とても悪そうな老人が手を叩くと、様々な格好の悪党達がゾロゾロと集まる、この老人がハイドロ団の団長、ハイドロ博士だ! 「クカカ、わしがハイドロ博士…この悪の組織ハイドロ団の団長であり、悪の天才科学者よ!」

2018-02-27 21:33:29
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悪の天才科学者ハイドロ博士はシワだらけの顔で笑顔を作り、集まった悪党達に言った。 「聞けい悪党達!面白い情報が入った!」 博士は大きなモニターに巨大な豪華客船と何枚かの写真を映し出す。 「此奴らは日向倶楽部と言う、どこぞの組織を苦しめるほど強いらしい!」 悪党達がざわめく

2018-02-27 21:34:19
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「つまり!我等悪の組織ハイドロ団の相手として素晴らしい逸材という事だ!」 悪党達はどよどよ、博士は声を張り上げる 「場所は分かっている、今すぐにでもやれるという事だ!早速だが仕掛けたい…誰か名乗りをあげる者は、おるか!?」 並居る悪党、その中で一人が名乗り出た!

2018-02-27 21:35:09
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「ぼくがやりましょう」 「おお、お前は生まれてから一度も笑った事が無いのに何故かピエロになり、人を怖がらせる事において右に出る者はいない、モッスル・バーガー!ではこれを持って行け。」 モッスル・バーガーは博士からタブレット端末を受け取り、アジトを出て行った。

2018-02-27 21:36:01
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「クカカ…日向倶楽部よ、我等ハイドロ団の力を思い知らせてやろう!」 ハイドロ博士が拳を突き上げると、悪党達は拍手した。 恐るべしハイドロ団、日向達の運命は…!? 〜〜

2018-02-27 21:36:51
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〜〜 さてその頃、日向達はブルネイを出発し船旅を再開していた。 「今日は天気が良いから甲板で遠足を楽しむ私達…」 「扶桑さんどうしたんですか急に」 「いえ、話さなければならない気がして…久々に…」 最上と扶桑は芝生の敷かれた甲板にシートを敷き、重しとして艦載機を四隅に置く。

2018-02-27 21:37:39
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ご存知の通りヒューガリアンの甲板はとてつもなく広く、人工芝の敷かれた運動場まで完備されている、そこで今日はこの上でピクニックをしようと、そういう事になり今に至る。 「今日は晴れてて風も強くないしちょうど良いですねぇ」 そよ風に吹かれながら最上はピクニック支度をする。

2018-02-27 21:38:30
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「ええ…天気もですが景色も良い、絶好の日和です。」 扶桑も椅子やテーブルを移動させ、ルンルンに準備をする、航海中にも関わらず彼女がこうしていられるのも、三隈が実装した自動航行システムのおかげである。 そんなこんなで今出来る事は終わったので、二人はシートに腰掛けた。

2018-02-27 21:39:21
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すると日向と初霜が風呂敷包みを抱えてやって来た。 「待たせたな二人共」 「全然、ちょうど今準備出来たところですよ」 「そうか、なら良かった」 日向は包みをシートの上に乗せて解き、ランチョンマットに包まれた四つの重箱を配って行く。

2018-02-27 21:40:13
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「はい、飲み物もちゃんとあるわ!」 初霜はクーラーボックスから飲み物を取り出し、使い捨てのコップに注ぐ、ピクニック気分が甲板を支配し始めた。 「ねえビールとか無い?」 「無いわよ」 こんなやり取りもありつつかくかくしかじかたのしいピクニックが始まった。

2018-02-27 21:41:01
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お弁当にいただきます 「おほぉぉん、美味しそうだぁ」 最上達は重箱を開け弁当を食べ始める、煮物肉団子魚の煮付け、エビチリ鴨肉ミニグラタン、ステーキ揚げ物小さなパンなど、和洋中の色とりどりが詰まったドリームお弁当、見ているだけでもワクワクする。

2018-02-27 21:41:51
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「ねえねえ最上さん、このエビチリ私が作ったの、どう?」 無邪気に訊ねる初霜に、最上はにこにこしながら頷く。 「うんおいしいよ、辛さもちょうど良いや」 「本当!?やった!他のも手伝ったから食べて食べて!」 きゃっきゃきゃっきゃとはしゃぎ、初霜も一緒になって弁当を食べる。

2018-02-27 21:42:42
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それを見て扶桑は言った 「初霜さんは料理が上手なのですね。」 「もぐもぐ…そうなんですよ、ボクも同じように習ったはずなのにボクより上手で」 褒める最上に初霜はふふんとし、扶桑にも弁当を食べるよう促す 「この煮物は扶桑さんにって作ったんですよ!どうぞ!」 「まあ…では…」

2018-02-27 21:43:31
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いただきます、と扶桑は綺麗な箸づかいで煮物を口にする 「…どうですか?」 恐る恐る初霜が訊ねると、彼女は微笑んで頷いた 「ええ、美味しいですよ。」 「良かった!前のは味が濃かったから薄くしてみたけれど、大丈夫だったみたいね!」 微笑む扶桑、喜ぶ初霜、和やかな空間。

2018-02-27 21:44:30
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三人の会話を聞いていた日向も微笑んで口を開く 「フッ…キミは必ず美味しいと言ってくれる、こっちも作り甲斐があるな」 「ふふふ、美味しいものは美味しいですから…」 扶桑はそう言って他のものにも手をつける、とここで最上がふと気付いた。 「あっ、扶桑さんそれ銀紙…」 「はい?」

2018-02-27 21:45:29
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扶桑は口中に手をやる、すると食べ物ではないものが指に引っ付いた。 「まあ私ったら…」 引っ張るとかなり大きな銀紙が出て来た、それを見て日向は笑う 「ははは、がっつかなくても平気だぞ」 他の二人もおかしく笑った、そんな彼等につられるように扶桑も微笑む。

2018-02-27 21:46:21
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そして伏し目がちに、呟いた。 「ふふ…そうですね、ええ…私ったら」 手のひらに転がるぐしゃぐしゃの銀紙を見て、扶桑は誰に知られるともない笑みを浮かべた。 〜〜

2018-02-27 21:47:09
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〜〜 ピクニックは続く、食事も続く 「そういえば三隈やあきつ丸誘わなかったんです?」 最上は煮物を取る、日向はカツサンド片手に答える 「うーむ、誘ったんだがあきつ丸が訓練をすると言ってな、他の二人もそれに付き合ってるらしい。…我ながら美味いな、これ。」 「へーえ、そんな事が…」

2018-02-27 21:48:29
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最上はおひたしを取る、日向はシュウマイに辛子を乗せる。 「出し過ぎたな…まあ、あきつ丸も艦娘としては十分やっていける力はあるが、向上心を持つのは良い事だし邪魔しないでおこうと思ってな。」 日向はシュウマイを口に運ぶ、最上は麦茶を飲み、弁当の隅に置かれたみかんを手に取る。

2018-02-27 21:49:22
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「みかんの剥き方って性格出ますよね。そういや最近はVRとかで訓練も色々なんですっけ、ボクも何かやろうかなぁ」 最上はみかんを上から剥き始める 「お?やる気があるなら付き合うぞ?」 日向はチョコケーキをつつく 「ははは、結構鈍ってるから昔みたいには出来ないかもしれないですねぇ…はい」

2018-02-27 21:50:11
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最上は剥いたみかんを餌付けするように初霜にあげる、日向はチョコケーキを平らげる。 こうして二人は自分の弁当を食べ終え、面前で手を合わせてごちそうさま。 「ふぅ、美味かったな。」 「ごちそうさまでした。」 彼等の食べっぷりには扶桑も驚く 「その、二人共食べ方がすごいですね」

2018-02-27 21:50:59