エレン先生が語る、日本人の「英語できます」願望

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uroak_miku @Uroak_Miku

1)日本の雇用システムが揺らぎ続けています。新卒者雇用の基本はごくシンプル。「大学入試をソツなくこなす要領のいい奴なら、入社後どんな部署に回しても要領よく適応してくれるだろう」 つまりどこの大学に入ったかで目安をつけるわけです。外れもあるだろうけどだいたいこれで間に合ってしまう。

2018-03-21 23:46:39
uroak_miku @Uroak_Miku

2)そういうわけで大学に通っているあいだの成績はたいして問われない。日本の企業は、入社後にどんな色にも染まってみせるIPS細胞みたいな人材がほしい。だから面接で「大学で学んだことを仕事に活かしたい」と口走るような志望者は敬遠される。「色なんかいらん、入ってから染まれ」と思われる。

2018-03-21 23:49:26
uroak_miku @Uroak_Miku

3)大学入試で最重視される教科は何か。英語です。英語の成績が良いと配点上も有利になる。だから大学入試の勝者すなわち要領と努力の配分がうまいひとは概して英語の成績がいい。英語といっても受験英語だけど。

2018-03-21 23:52:33
uroak_miku @Uroak_Miku

4)極論すれば、受験英語の得意なものは就職でも有利になるわけです。英語のおかげで有利になるのではなく、英語が得意科目であれば入試でも有利になって勝者になりやすくなる、そして企業側にすれば受験の勝者こそが兵隊として育てやすいから、英語が得意な者を(結果的に)好んで採用する。

2018-03-21 23:55:07
uroak_miku @Uroak_Miku

5)要領と努力の配分が上手い奴…これが経営者にとって平均値的に望む人材。どんな部署でもソツなく適応してくれる、動かしやすい将棋の駒。そういう駒かどうかの判定に、結果的に受験英語の能力がものさしとして働いているわけです。

2018-03-21 23:58:02
uroak_miku @Uroak_Miku

6)社員にTOEICの受験を課する企業は何を望んでいるのか。旧来の昇進システムが揺らいでいくなか、受験戦争による人材判定システムを、今度はTOEICを使って社内で仕切り直ししたいわけですよ。

2018-03-22 00:00:08
uroak_miku @Uroak_Miku

7)そういえばTOEICって四択式ですよねセンター試験と同じで。問題作成こそアメリカの英語試験問題作成業者が行っているけれどTOEICの企画立案と実際の運営は経済産業省系の団体が取り仕切っているし。つまり日本人に特化された英語の試験なのです。

2018-03-22 00:12:42
uroak_miku @Uroak_Miku

8)いつも述べているように、自己紹介の欄にTOEICの得点を書き入れるくらい田舎臭いものはないと思う。世界ではTOEFLのほうがずっとメジャーだし。

2018-03-22 00:13:48
uroak_miku @Uroak_Miku

9)受験英語が人材雇用のものさしとして日本ではもう半世紀を超えて回っていて、雇用システムが旧来の年功序列式でなくなり「正社員」が特権階級化していく(または砂上の楼閣に堕していく)なか、TOEICを軸に受験英語が社内の序列システムの維持のために再利用されている…これがここ10年の動向。

2018-03-22 00:16:39
uroak_miku @Uroak_Miku

10)これが「英語できます」信仰をどんどん広げていっている。

2018-03-22 00:17:52
uroak_miku @Uroak_Miku

11)さらに奥の深い議論になりそうです。続きは後日。

2018-03-22 00:18:43

そして翌日…

uroak_miku @Uroak_Miku

1)TOEICはマークシート式。つまり作文がない。OUTPUTがない。語学力は最終的には出力能力で判断できる。

2018-03-22 10:15:48
uroak_miku @Uroak_Miku

2)「遅刻しちゃう!」をさっと英語でいえるかな。「I can't be late!」とソツなく声に出せるひとは上級者。「I will be late!」とかひねり出した方は中学生のとき骨の髄まで学校英語に染まってしまった犠牲者。これだと「遅刻してやる!」と聞こえる。

2018-03-22 10:18:28
uroak_miku @Uroak_Miku

3)「I'm going to be late!」は△。「このままだと遅刻する!」くらいの感じ。

2018-03-22 10:19:34
uroak_miku @Uroak_Miku

4)「will」と「be going to」は中二で習う。同じ単元で習う場合と、違う単元で教わる場合の二つがあって、教科書によって違うのだけどとにかく中二で習う。ニュアンスの違いなんていちいち教えてくれない。これ以外にも「be planning on ~ing」とか「~ing」とかいろいろ取り揃えているのにね英語。

2018-03-22 10:22:03
uroak_miku @Uroak_Miku

5)「今度のパーティには貴社からは何人出席しますか?」を「How many from your company are going to attend the party?」なんて英訳すると偉そうに聞こえる。なぜなら「be going to」には「方向性はもう決まっているから変更はないよ」のニュアンスがあるので[続く]

2018-03-22 10:25:11
uroak_miku @Uroak_Miku

6)[続く]「何人来るのかどうせもう決めてるんだろお前ら厚かましいから」とこの英文だと嫌味に取られる。こういうときは「be planning on ~ing」(~の方向でいこうかなーと思案中)が好ましい。「How many people are planning on coming to the party from your company?」

2018-03-22 10:32:18
uroak_miku @Uroak_Miku

7)気配りができる方ならさらに工夫して「Do you know how many people are planning on coming to the party from your company?」と答案用紙に書き込むことでしょう。「Do you know ~?」を使うの。これは「知ってるか?」ではなく「おわかりでしょうか?」のニュアンス。「よかったら教えてほしい」

2018-03-22 10:35:28
uroak_miku @Uroak_Miku

8)中学二年生で「Do you know ~?」を習うんだけど、教科書を見るとどれもいーかげんな文例しか載せていないので頭が痛くなる。そこは「Did you know ~ ?」でないとイカンよな文だったり、そもそも「know」をそこで使ったらアカンやないかな文だったりと、昔風にいうならば「処置ナシ!」な代物全開。

2018-03-22 10:37:38
uroak_miku @Uroak_Miku

9)英語で作文させると、どんな風に学校で習ってきて、どんな要領で脳みそにインプットされてきたのか手に取るようにわかる。

2018-03-22 10:40:06
uroak_miku @Uroak_Miku

10)TOEICは四択式だからそういうロールシャッハ・テスト(ちょうちょみたいな絵を見せて「何に見えますか」と問いただしていくアレ。私も大学病院の心療内科で受けて、診断の鋭さに驚いた!)的な怖さがない。TOEFLはあるよあれは作文式だから。

2018-03-22 10:42:17
uroak_miku @Uroak_Miku

11)こう考えていくとですね、TOEICは日本の学校英語のずさんさ、いいかげんさをネイティヴ英語の体裁でうまく白壁に塗り込める社会的装置としても回っているのだと気が付くわけです。

2018-03-22 10:45:16
uroak_miku @Uroak_Miku

12)「Do you know ~?」の正しい使い方ひとつ身についていない私たちが、800点とった900点超えたとか一喜一憂する愚かさ。

2018-03-22 10:46:19
uroak_miku @Uroak_Miku

13)ここを柔らかいことばで解きほぐしていく…そんな本を今ゆっくりじっくりと開発中なのです。

2018-03-22 10:47:10