新婚の若妻が年の離れた義父といけない関係を重ねるうちに雌に堕とされちゃう話

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帽子男 @alkali_acid

「何を言っているのです。雪嵐ぐらいで」 「ここからすぐ先で白面布の一隊が全滅していた…傷一つなく戦士と馬が倒れていた。何か恐ろしい災いがあったのだ。我等もどうなるか分からぬ。雪焔様を危うくするような芽はすべて摘まねばならん」

2018-04-01 23:38:24
帽子男 @alkali_acid

「では先に私を射なさい!」 埃払がわめくと、白面布は目を煌めかせた。弦を絞った手がさらに肘を引く。 鈍矢がとっさに思いもかけぬすばやさと力を発して義理の娘に抱き着き、押し倒して、死の一射から逃がした。

2018-04-01 23:40:17
帽子男 @alkali_acid

少年の華奢な肩に矢柄が生える。声もなくうめく義父に、人妻はとりみだす。 「なんでっ」 「動くと苦しみが長引く。おとなしくしていろ」 戦士が二の矢を番えたところで、そばに控えていた片割れがはっと頭を上げる。 「何か来たぞ…敵に違いない」 かなたに輝く馬。雪焔が馬の形に固まったか。

2018-04-01 23:42:48
帽子男 @alkali_acid

「天の馬…」 矢の刺さった義父を抱えながら、人妻がつぶやく。 白面布の一方が狼を放ち、もう一方が行李を開けて鷹を放つ。 風を裂き、かすかに火花を発して獣と禽(とり)とが標的を襲う。 だが馬から光る渦が広がって羽翼と毛皮をとりこみ、せつなのうちに屍と変え、音もなく雪の上に堕とす。

2018-04-01 23:46:00
帽子男 @alkali_acid

白面布は驚きつつも、矢を番えて馬に撃ち込む。 矢継ぎ早という連射で、箙(えびら)にある矢をあっという間に射尽くし、すべてが命中するが、輝く馬はこゆるぎもしない。 「おのれ…」 二騎は刀を抜いて斬りかかる。いささかも怪異を恐れぬ勇ましさ。 だが雪焔はあっさりと戦士達を呑んだ。

2018-04-01 23:49:11
帽子男 @alkali_acid

輝く馬は今度は少年と女の方へ向きを変える。 「あっちへいって!もうたくさん食べたでしょう!この方はほうっておいてください!」 訴える人妻の声が通じたようすはない。不意に矢傷を負った義父は、年嵩の娘を振りほどいて、すっくと立ちあがった。 「お義父(とう)様?」

2018-04-01 23:51:12
帽子男 @alkali_acid

埃払に安堵させるようにうなずいて見せてから、鈍矢はみずから輝く馬に近づく。 「だめ!待って!」 だが振り返った眼差しの鋭さに、二の句が継げない。遊牧の民の大酋長たるべき子供があふれさせた気炎を、官吏の娘はただ言葉を失って見上げるしかなかった。

2018-04-01 23:53:57
帽子男 @alkali_acid

ほっそりした両腕を伸ばし、挑むようにたちふさがった少年に、天の馬は燃えるような息吹を吐きかける。 雪焔の光が未熟な肢体を包み込み、何かを吸い取ろうとするかのごとくうごめき、やがて逆に引きずり込まれるように巻き付き始めた。 馬が怯えたようにいななき、もがき、倒れる。

2018-04-01 23:55:42
帽子男 @alkali_acid

ついで鈍矢も膝をつき、うつむき伏した。 「お義父様!」 埃払が駆け寄って引き起こすと、うめきがこぼれる。 「よかった…生きて」 「ぁ…ぁ」 「え?」 「よか…った…」 言葉が。舌を刈られたはずの口から漏れる。

2018-04-01 23:57:48
帽子男 @alkali_acid

声変わり前の喉から、たどたどしいがはっきりと意味をなす音が。 少年は瞳を開く。うちには燃えるような光。 「埃払…」 「お義父様…」 「あなたを…つれてゆく」 鈍矢の体が輝きをまとい、雪焔を集めて一頭の馬の姿に変わる。 「のって」 「そんな…では…やっぱり…お義父様は…」 「のって」

2018-04-02 00:00:23
帽子男 @alkali_acid

二人は、いや一人と一頭は雪嵐を抜け出す。 宿営へたどりつき、手当てを受ける。 白面布の一隊が全滅したため、騒然となっているが、くたびれた少年と女を疑うものはいない。

2018-04-02 00:01:40
帽子男 @alkali_acid

嵐が過ぎ、また日常が戻って来るが、まったく元通りではない。 義父は言葉を話し、精気をみなぎらせている。 夜ごとの物語も、どこか違った気配になる。 「それでせむしの姫は…長者の娘と…お義父様…いけませ…」 「あなたが欲しい…水を求めて喉がかわくように、肉を求めて腹がこじれるように」

2018-04-02 00:03:57
帽子男 @alkali_acid

「寒さに震えて火を求めるように、あなたが欲しい、埃払…」 「でも…私は…あなたの息子の…雪焔様の…妻で…んっ…」 「今は…ぼくが…雪焔だ…」 「それは…あの、名前は同じでも違う意味で…あの、怪異の雪焔とそれにちなんだ人の雪焔は別で…ああもう分からない」

2018-04-02 00:06:08
帽子男 @alkali_acid

「やり方を、教えて」 肌をなぜながら、鈍矢は囁きかける。埃払はためらうが、やがて応じる。 「でも…あの…まだお義父様にははやいというか、体ができていらっしゃらなくて…」 「体は…大きくできる」 白面布の戦士を思わせる逞しい肢体に変わり、おおいかぶさる義父に、人妻はたじろぐ。

2018-04-02 00:08:04
帽子男 @alkali_acid

「あの、やっぱり、いつものかわいらしいお義父様の方が、いいです…大きいのは…ちょっと怖いですし」 「わかった」 すなおに縮む少年に、女はつい笑いをこぼす。 「怪異に遭っても、お義父様はお義父様でいらっしゃいますね」 「そうかな。そうかもしれない」

2018-04-02 00:09:42
帽子男 @alkali_acid

二人は結ばれる。幼い義父ははじめたどたどしいが、無尽の精魂でもって年嵩の娘と戯れを続け、みるみるうちに上達していく。 ただ一度きり抱かれた夫の荒々しさに比べれば、優しく気遣いに満ちた愛撫だが、しかし内に秘めた強さは人ならざる怪異のそれだった。

2018-04-02 00:11:56
帽子男 @alkali_acid

白く輝く雪が天幕を満たし、音と言う音を吸い込むのでいくら嬌声を上げようと外には漏れない。埃払は思うさま乱れ、狂い、変幻する鈍矢の体の下で上で猥らに踊った。 少年は次々にかたちをうつろわせ、逞しい男へ、男から馬へ、馬から鷹へ、鷹から飛蛇にもなった。

2018-04-02 00:16:13
帽子男 @alkali_acid

それぞれの姿を受け止められるよう体の構えを工夫しながら、女はひたすらに注がれる情にこたえようとした。一つ一つに背筋が寒くなるほどの快さがあった。 「お義父様っ…💛お義様ぁっ💛」 もはや少年に物語を語り聞かせた賢女の面影はなく、ただとめどもなく恍惚を貪る一匹の雌がいるだけだった。

2018-04-02 00:19:41
帽子男 @alkali_acid

毎夜の如く抱かれるうち、痩せがちだった肢体にはふしぎに肉置きを増し、肌や髪は艶やかに、双眸は煌めきを増した。 歌い弾むような足取りで水を汲み、煮炊きをし、掃除をこなすさまは、監視役たる白面布の注意を引いた。厳しい規律を誇る近衛さえ心を乱される艶を見出したのだ。

2018-04-02 00:22:35
帽子男 @alkali_acid

ある日ひとりの戦士が過ちを犯した。 「奥方」 「はい?」 「あなたのふるまいは随分に変わった…まさかに、どこかで男と忍び逢っているのであるまいか」 「どこと申しますと…?」 「確かめさせてもらう」 白面布は腕を伸ばして埃払を掴み、服を脱がせようとした。 「いや…ちょっ」

2018-04-02 00:25:18
帽子男 @alkali_acid

「あなたが悪いのだ。我等を惑わすようなまねを」 「してませ…雪焔様に知られたらどうされます!」 「あのお方の妻が不貞を働いていないか、確かめるだけだ!」 「やめ!やめなさい!ひっ」 たっぷりと実りを豊かにした胸乳(むなぢ)を男の指が鷲掴んだところで、輝く雪があたりに渦を巻いた。

2018-04-02 00:28:04
帽子男 @alkali_acid

「なんだ…これ…は…」 白目を剥いて倒れる男に、さらに煌めく光の渦は輪を狭めようとする。 「お義父様!いけません!命まで奪っては!」 光の旋風は少年のかたちをとり、おとめとまごう容貌をこわばらせ、柳眉を逆立てて、倒れた戦士をにらみつける。 「こやつは…」

2018-04-02 00:30:30
帽子男 @alkali_acid

「私に隙があったのがいけないのです。さ、お義父様ははやく天幕にお戻りを」 「…でも…」 「あとは私がうまく計らいますから」 「分かった」 あっさり従う義父を、人妻はほっとして見送ると、いでたちを整えて男の頬を叩く。 「目を覚まされますよう」

2018-04-02 00:32:47
帽子男 @alkali_acid

「わ、私はなにを…ゆき、雪焔が…?」 「夢でも見ていらしたのでしょう。雪焔様はいらっしゃいません」 「いや、あのお方のことではない。氷原に出るという怪異の」 「ここは氷原からはるかにはなれた草の野ですよ。さあさあ。おつとめに戻られては」 「ああ…そうであった…失礼した」

2018-04-02 00:34:05
帽子男 @alkali_acid

ひとまずは片がついたかに思える。 深更。いつにもなくおとなしめな睦合のあと、小さな義父は裸身のまま膝だちで座り、ぐったりと横たわる人妻に話しかける。 「埃払。ぼくたちはここを出てゆこうか」 「え?」 「いまなら、あなたを長城のむこうへつれてゆくこともできる」 「…それは」

2018-04-02 00:36:23