- haccccchi18
- 962
- 1
- 0
- 0
ハチ山
@hachisu_bread
「これ……なに?」 「卵、」 「……たまご」 繰り返す咲夜は、それが信じられないようにじいっと流れる卵に見入っているわけ!
2016-05-06 00:17:49
ハチ山
@hachisu_bread
ほわりと立つ湯気の甘い香りが、ふわんと鼻先をくすぐってくる。熱い、初めての卵の香り。甘いトマトの匂い。ごく、と咽喉がなる。咲夜は知らず知らず、パチュリーを見つめている。 「食べていいのよ、あなたのもの」 「わたしの、」 「あなたの」
2016-05-06 00:24:43
ハチ山
@hachisu_bread
@hachisu_bread スプーンで黄金(きん)と紅の食べ物をそっと掬う。恐る恐る、ほんの少しだけ口に運ぶ。 咲夜の目がいっぱいに見開かれる。
2016-05-06 00:37:13
ハチ山
@hachisu_bread
パチュリー「おいしい?」 さくや「…………」 呼吸した肩がゆっくりと膨らむようにあがったまま、目を見開いて動かない咲夜は、しばらくして思い出したようにまばたきをしたあと、放心したようにゆっくりと肩をおろす。 頬が、みるみる薔薇色にそまる。 空色の瞳に、曙の菫が差す。
2016-05-06 00:42:10
ハチ山
@hachisu_bread
天国みたい、と咲夜は言った。 その感想を、今もパチュリーは覚えている。 ほろりとほんのひとしずく、呆然と見開いた瞳から涙を流した、その少女の言葉を。
2016-05-06 00:45:42