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「お姉様、あのお店の株主なの!?」 「お店っていうか、会社のね」 こともなげに言う愛魅さん。 「優待券を貰えるってことは、大株主なんですか?」 「株主ったってそんな大層なもんじゃないって。優待券だってそこそこ持ってれば貰える程度のもんよ」 #twnovels
2018-06-10 12:42:22それでも凄いと思うんだけど。わたしとそんなに歳離れているわけじゃないのに。 「それと、お姉様が使っていたカード」 「クレジットカード?」 「はい。有名なカード会社のですよね。でも、見たことないデザインだったけど」 「あ、気付いた?」 #twnovels
2018-06-10 12:42:43愛魅さんは嬉しそうに、ううん、悪戯っぽく、笑った。 「実はねぇ、あれ、いわゆるブラックカードって奴」 「は????」 ぶらっくかーど??? なにそれ?? いや、聞いたことはあるけど。 「それって、年会費、凄く高い、プレミアカードなんじゃ・・・」 #twnovels
2018-06-10 12:43:15「本来はね。それに、年齢制限もあるらしいから、本当はあたしじゃ持てないんじゃないかなぁ」 「それを、どうしてお姉様が持ってあるんですか?」 うわぁ、愛魅さんの笑顔、魔女みたい。でも綺麗。 「ちょっとコネを使って」 一体、どこにどんなコネを持っているんだろう? #twnovels
2018-06-10 12:43:43「水商売してるとカードって作りにくくて。作れなくはないんだけど。お店にもよるし。あたしの場合、他にもわけあったし。それで、カード会社の知り合いに、どうにかならないかなぁ、って頼んだら、このカード作ってくれたの。あたしは普通ので良かったんだけどさ」 #twnovels
2018-06-10 12:44:06こともなげに言う愛魅さん。しかし・・・まだ若い女の子(歳上だけど、いいよね)にブラックカードを作るって・・・そのカード会社の“知り合い”って、もの凄い偉い人なんじゃ・・・ 「失礼なこと聞いてごめんなさい。もしかして、カードの年会費とか、その人が・・・?」 #twnovels
2018-06-10 12:44:27株主優待券なんかも、その人からもらったんじゃ。 「ううん、それはあたしがきちんと払ってるよ。誰かのヒモ付きになるなんて嫌だもん。その人に頼んだのはカードを作ってもらうことだけ」 愛魅さんが嘘を言うわけはない。まだ四ヶ月足らずの付き合いだけれど、それは解る。 #twnovels
2018-06-10 12:44:49なら、ブラックカードの年会費も自分で払っているし、優待券も自分で貰ったものなのだろう。この歳でどこからそんなお金が出てくるんだろう。お父さんのわけないし。御実家が裕福とか。あ、でも、御実家とは絶縁状態って言ってたっけ。愛魅さんの御親族には会ったことないし。 #twnovels
2018-06-10 12:45:12頭の中に飛び交うクエスチョンマークを振り払えないまま、多分、間の抜けた顔でいたと思う。そんなわたしを面白そうに見ていた愛魅さんは、飲み物の最後の一口を飲み干した。 「そろそろ行こっか。あ、帰りにお夕飯の買い物してっていい?」 「はい、構いません」 #twnovels
2018-06-10 12:45:33でも、こんな、夜会に出席できるような服装で夕食の買い物って、場違いなんじゃなかろうか。・・・愛魅さんならどんな格好でも不自然にはならないだろうけれど。わたしも、少しだけ残っていたジュースを空けてから、立ち上がった。 #twnovels
2018-06-10 12:45:51今日は楽しかったな。最初は不安と言うか、どぎまぎしていたけれど。今まで知らなかった世界の一端を見せてもらった気分。 駐車場に戻りながら、そんな能天気なことを考えていた。この後、この純白のドレス姿でスーパーに入ることになる事実には、この時にはまったく思い至らずに。 #twnovels
2018-06-10 12:46:27