2018-07-06のまとめ
株価指数は上昇しているが、テーパータントラム以降はタイ・インドネシア・フィリピンにおいて変動が大きくなっている。2018年1~6月にかけて、各国通貨の対ドルレートや株価指数は軒並み低下した(図表 2)。
2018-07-06 22:40:56インドネシアやフィリピンを中心に、海外投資家がASEAN諸国の国債や株式を売却していることが背景にある。
2018-07-06 22:40:56これらの数字は、海外投資家・金融機関によるネットの投資額や融資額を表している。黄色の網掛けをした部分は、流入額がマイナスとなるか他の年に比較してかなり小さくなった年を示している(直接投資は相対的に安定しているため、対象外)。
2018-07-06 22:40:57図表 3から示されるように、近年、米国の金融緩和政策の終了が示唆され、引き締め政策が実施される中で、5カ国に対する証券投資やその他投資は基本的に減少傾向にある。そのことが、為替レートを減価させる一因になっていると考えられる。
2018-07-06 22:40:571997年のアジア通貨危機の発生時には、アジア諸国のマクロ政策運営に問題があった。特に、経常収支赤字がタイを中心に大きく、また、外貨準備が短期対外債務に比較して少なかった
2018-07-06 22:40:58対外的脆弱性の最重要指標である外貨準備の2013年以降の推移をみると、マレーシアで減少している以外は横ばいないし増加となっている
2018-07-06 22:40:59インドネシアは、テーパータントラムの時点ではフラジャイル・ファイブと呼ばれる脆弱性の高い国の一つとされ、他の新興国に比べ、より大きな影響を受けた。その後、経常収支赤字の対GDP比率は原油価格の下落や外需の回復などから緩やかに低下している
2018-07-06 22:41:00ASEAN5カ国のドル・ユーロ・円建て国際債券発行額 pic.twitter.com/gjdBWfd30I
2018-07-06 22:41:015カ国の中で最も発行が多いのはインドネシアであり、近年はマレーシアやシンガポールでも発行が増えている。外貨建ての資金調達が増えることにより、資本流出リスクが増すことになる。また、資本流出に伴って為替レートが減価するため、実質的な返済負担は加速度的に膨らむことになる
2018-07-06 22:41:01海外資金への依存を主因に、企業借り入れに占める外貨建て比率も高くなっている(図表 8)。これは数年前のデータであり、サンプル調査であるため誤差もあるとみられるが、ドル建て比率はインドネシア64.9%、マレーシア28.9%、フィリピン47.7%、タイ28.2%となっている。
2018-07-06 22:41:02フィリピン以外の4カ国では、近年、銀行融資の伸びが大幅に低下した(図表 9)。これは、主に景気減速による企業の資金需要の減退が原因と考えられる。同時に、一部の国では、不良債権比率が緩やかに上昇するとともに、金利収入の減少や引当金の積み増しにより収益率が低下した。
2018-07-06 22:41:032017年6月現在の業種別不良債権比率(インドネシア) pic.twitter.com/ZgHR1EQHqV
2018-07-06 22:41:03インドネシアでは、企業部門の不良債権比率が2017年6月に3.48%と近年では最も高い水準にあり、卸小売業、建設業、鉱業などで特に悪化がみられる
2018-07-06 22:41:04企業向け融資の業種別不良債権比率(マレーシア) pic.twitter.com/0vgvMN1Dz0
2018-07-06 22:42:00マレーシアでは、企業債務の伸び率が2016年の前年比9.1%から2017年には同3.4%に低下し、対GDP比率も109.6%から103.1%に低下した。金融システムの健全性に関し、全体的には大きな問題はないが、中央銀行は石油ガス関連業種と不動産業の脆弱性を注視するとしている
2018-07-06 22:42:00タイでは、企業債務の対GDP比率は高止まりしているものの(図表 12)、企業の収益率は全般的に改善しており、債務返済能力にも大きな問題は生じていない。ただし、貿易の回復や観光の好調から恩恵を受ける企業では業況が改善する一方、農業、小売業、中小企業などにおいてリスクが上昇している。
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