【R-18】雨咲マリ

はやく寝たらかくやつ
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マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

ふっと意識が遠退くような眩暈がして、気が付けば浴槽の中にいた。 縁に頭をもたせかけているようで、優しい雨垂れのような水音が遠く響いている。 どうもこの身は、裸身のようだ。細かな霧のようにぬるい雫が、身体にふりかかるのを感じた。 ……眠くて、目蓋が開けられない。 「……起きたか?」

2018-07-20 18:49:04
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

懐かしくなるくらい、耳に慣れた声が降りかかる。 「よく、眠ってたじゃん? 乱れて、疲れちゃったのか。あんまりこういうとこで寝るのはよくないんだけどなあ」 おどけてみせながらも、いつもそこに滲ませるのは何処か苦笑混じりの案じるような優しい声音だ。

2018-07-20 18:54:19
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

囁きかけるその声の在処を探して、咲夜は重い目蓋を上げられないまま、細い手首を捉えた。 「……魔理沙、」 「何だよ、眠そうだな」 眠すぎて目が開かない状態の猫っているよなあ、とくすくすと笑って、そっと髪を梳き、頭を撫でてくる。 「……私、寝てた?」

2018-07-20 18:59:37
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

「結構な。……や、そんなでもないかな? まあ、気にする程じゃないから」 濡れた額に、優しい口づけが降りてくる。 「一緒にシャワー浴びよって、話してからほんのちょっと……って感じ。まあ、ベッドでもうとうとしてたから、誘って悪かったかな。反省してる」 「……だっけ」 「ありゃ」

2018-07-20 19:03:08
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

魔理沙がふっと笑う気配がする。 「十六夜さん、だいぶお疲れね」 そっと背に回った手に引き寄せられて、大事な宝物を仕舞い込むような細い腕に抱き締められる。 褥(しとね)で艶めいたことをした後の魔理沙は、いつもしっとりとした甘い花のような薫りを纏っている。それはこの雨の中でも健在だ。

2018-07-20 19:09:53
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

優しくいだかれた腕の中でもそれを嗅ぎ取って、咲夜は鼻先を魔理沙の首筋に擦り寄せる。 「ああ……この匂い、久しぶり」 「大袈裟だな。さっきもたっぷり堪能したと思ったけど」 「何度嗅いでも好き」 「あは」 ちょっと照れたように笑う気の抜けた吐息が漏れる。 「今日は、甘えんぼじゃん」

2018-07-20 19:13:57
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

ぎゅ、と背中に回した腕で、咲夜は抱き返す。 今はしっとりと湿った柔らかな金髪。骨の在処の分かる痩せ気味な身体。少しぬるい体温は、この雨で冷えたのかもしれない。 「まりさ、」 「んー?」 「もっと」 「もっと、ぎゅっと?」 「もっと嗅ぐから。もっとして」 「分かった、分かった」

2018-07-20 19:18:23
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

笑って腕が応えてくれる。 「じゃー、しっかり堪能してください?」 「うん」 目が開かないままでも、何度も聞いたその声だけで、どんな顔をしているかが、咲夜にはありありと分かるのだ。 くすぐったそうな照れ笑いを浮かべながらも、優しく自分だけを見ていてくれる、蜜色の黄金(きん)の眸。

2018-07-20 19:22:58
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

それを縁取る長い黄金の睫毛。 眸はとろりと甘い蜜色なのに、髪は真鍮のような冴えた煌めきを持つ、緩やかな金糸の滝だ。 健康的な薔薇色の頬。柔らかに色づく桜色の口唇。 快活な性分にしては線が細く、柔らかな桃のような白い肢体。 目を閉じていても分かる、魔理沙の色や形。

2018-07-20 19:32:33
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

咲夜の好きなものを、全部まとめた人。 あるいは、好きになった魔理沙に連なるものだから、ぜんぶを好きになったのかもしれないけれど。 「……すき」 零れるように自然に言葉の形になる。 「今日は、どしたの。嬉しくなっちゃうんだけど」 くすくすと止まない笑み声が、柔らかく鼓膜を打つ。

2018-07-20 19:38:33
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

ぎゅう、とまたしっかりと抱き締め返してくれた後に、少し身を離す。 「……嬉しいから、けっこうサービス」 囁いてから、ふわふわと柔らかい髪の感触がまず胸の上を滑った。 続いて、濡れた口唇が乳房の間に押し付けられる。 「……ぁ、……まりさ?」

2018-07-20 19:42:56
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

ちゅ、と雨音に紛れて小さな口づけの音が響く。 痛みのない、気遣うようなキスが散らされて、咲夜の身体の境界を探って、象るように、ゆっくりと隙間なく口唇が辿ってゆく。 「……ま、……りさ……」 ひくり、ひくりと寝惚けて自由にならない身体が反応を返すのが、何処か自分のものではないようだ。

2018-07-20 19:49:02
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

胸の上を動く金髪に指を差し入れて、よすがにしようとするけれど、うまく痺れるような甘さを逃せない。 「身体、濡れてると、いつもよりちょっと感じるよな」 のんびりと口にする魔理沙が、慈しむような愛撫を続けてゆく。 腕で抱え込むように咲夜の脚をわずかに開き、腰で割って入り込む。

2018-07-20 19:55:28
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

閨で乱れ、疲れ果てて、奥で燻っていた燃えさしのような燠火が、また熱を放ち始める。 「……ぁ……ま、た……ここで……?」 「また、はないだろ。……それとも、もう、いや?」 訊かれて、否と言ったことなどない筈なのに、魔理沙はいつもそうして問い掛けるのを忘れない。

2018-07-20 20:01:32
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

答えなど、決まっているようなものだ。 「…………したい。……して、魔理沙」 切なく相手を求めながら、きゅ、と頭を抱いて引き寄せると、ちゅ、といらえのようなキスが返される。 「……ん。しよ。……な?」 伸び上がって、また優しく髪を梳かれる。ぬるい掌に、頬を撫でられた。

2018-07-20 20:08:34
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

また、浴槽の縁にそっと頭がのせられ、横たえられる。目蓋を開けようとする咲夜の眼を、魔理沙の手がそっと覆った 「……無理に起きなくていいよ。まだ眠いだろ? ……そのまま、眠ってもいいから」 「……そんな、の…………無理」 「きもちいーと、眠くなるもんだよ」 小さく笑う吐息が口唇にかかる

2018-07-20 20:13:54
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

濡れた掌が、前髪をよけて額をそっと撫でる。 「……眼を、閉じてて。……あ。代わりに、口は開けてくれよ? ……少し深いキスをするから」 「……ん、……────────」 甘い吐息に促されて、言われるままに口唇を綻ばせたところに、するりと舌が入り込む。

2018-07-20 20:18:39
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

絶え間なく続くぬるい霧の雨が熱を下げるせいか、少し冷えて、甘い。 濡れ音が雨音に紛れて響いている。自分のものなのに、それは何処か少し咲夜の意識には遠い。 身体は触れてくる口唇から炭火を植え付けられるように燃えてゆくのに、肌にかかる雨はぬるく、少し寒い。 雨音が響いている。

2018-07-20 20:23:56
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

優しいキスが、雨垂れのように身体のすべてを埋めてゆく。 乳房の先も。足の指の先も。舌の先、鼻の先、睫毛の先。へそや、腿も。……もっと、あられもないところも。 「……────ぁ、あっ……! まり、……ぁ……だめ……」 「どこが、だめ?」 「……そ、……こ……っ…………ん、あ……」

2018-07-20 20:32:04
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

「……腰、ちょっと、動いてる。……そんなに、イイ?」 「……っく、ぅ……っ…………─────っ……ぁ、あ……」 「たまんないの? ん……じゃ、ここ。もっとあげる」 「……ぁ、まっ…………ふ、あ……っ!」 「今日は、イキやすい? ……終わった後のおふろだもんな、いつもよりしんどいか」

2018-07-20 20:39:12
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

さくや。 「……っひ、……」 さくや。 「…………っ……ま……り」 ……さくや。 「……ぁ、も…………ゃ、……っ……」 ……いきたい? さくや……。 「…………っ…………」 名前を囁かれるたび、ぬかるんだ泥のような微睡みの中に、深く誘い込まれる。

2018-07-20 21:53:19
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

目を開けようと足掻くのに、魔理沙の声が許さなかった。 「……いき、……た……く…………ない」 指先までびりびりと痺れるような快楽に抗って、ようやく咲夜が形にした言葉に、魔理沙の動きが止まる。 「…………ん、」 考えるような間をとってから、魔理沙が咲夜を覗き込んでくる。

2018-07-20 22:07:39
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

「……まだ、足りない?」 イくまで、と言葉を添えながら、魔理沙が咲夜の額の髪を避ける。 「……それとも、あまり良くない?」 そんなわけもないことは承知で、くすりと笑いながら咲夜の肩に頭を乗せてくる。 「……ん、……う」 余裕がない中でふと空いた隙間の時間に、咲夜は息を整える。

2018-07-30 12:54:15
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

「…………わか、……ら……ない」 なんとか目蓋を押し上げようとするのに、どうしてもそれが身体に伝わらない。 ただ、どうしようもなく眠くて。 魔理沙をもっとはっきりと感じたいのに、意識が浮き沈みして少しずつ朧気になっていく感覚に、抗えないのだ。 「…………何処、……」

2018-07-30 13:10:41
マグローラー(((🐟))) @haccccchi18

「……いるだろ。ぎゅっとしてる」 寄り添う魔理沙の腕が、優しく咲夜を抱き締める。 「…………眠、……くて……」 「言ったろ。きもちーと、ねむいもんなの。しょーがないよ」 片手を外して指を絡めて、ぎゅっと握り込む。 「続き、……しよ」 うなじに垂れる濡れた髪を、魔理沙の指がいらう。

2018-07-30 17:54:32