『試験に(絶対)出ない漢文』

『試験に(絶対)出ない漢文』でツイートしたものをまとめています。
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安田登 @eutonie

一婢偶于主人前撒屁。主怒欲笞之。見其臀甚白。偶動火。及與之狎。明日主在書室。忽聞叩門聲。問之。乃此婢也。問其來何為。荅曰。我適間亦撒一屁矣。#でぬ漢

2018-08-11 08:52:43
安田登 @eutonie

主人の前で下女がおならをした。折檻のためにむちでお尻を打とうと着物をめくると下女のお尻があまりに白いのでムラムラして、してしまった。翌日、主人が書斎にいると扉をたたく音がした。下女だった。「どうしたんだ」、「はい。またおならをしてしまいました」。#でぬ漢

2018-08-11 08:52:25
安田登 @eutonie

燉煌索萬興晝坐廳事。東間齋中一奴子、忽見一人著幘牽一驄馬、直從門入負一物狀如烏皮隱囊、置砌下、便牽馬出門。囊自輪轉、徑入齋中、緣床腳而上、止於興膝前、皮即四處卷開、見其中周匝是眼、動瞬甚可憎惡、良久又還、更舒合、仍輪轉下床落砌西去。興令奴子逐至廳事東頭滅、惡之、因得疾亡。#でぬ漢

2018-08-11 08:51:42
安田登 @eutonie

大きな皮の袋を持つ男が馬を曳いて現れた。不思議なことに袋だけが自ら円を描いて家の中に入って来て、階段もするすると上った。部屋の中に入ると袋の皮が割け、中から目玉がいっぱい出て来た。目玉はキョロキョロ見回し、まばたきもし、やがて去って行った。主人はやがて病を得て死んだ。#でぬ漢

2018-08-11 08:51:13
安田登 @eutonie

#でぬ漢 落語の元ネタになった漢文を2日続けたので今日はちょっと趣向を変えて…。ひとつはお笑いではなく、六朝時代の奇談。よくわからない変な話です。こういう話が膨らんで小説になり、日本にも影響を与えます。平家にも似たような話があります。もうひとつはちょっとお下品な艶笑咄です(笑)。

2018-08-11 08:50:40
安田登 @eutonie

楊貴妃の「妃」も、張飛の「飛」も「fei(第一声)」で発音が同じで掛けている。一方、落語の方は石川五右衛門の処刑が「カマ」で行われたというのを掛けている。翻案した人、すごいですね。#でぬ漢

2018-08-10 07:32:09
安田登 @eutonie

問之。應曰。飛。曰。汝楊妃乎。曰俺張飛也。其人惧甚。強應曰。張將軍何為下顧。曰俺遭閬中之難。遺骨未収。感君掩覆。特以粗臀奉獻。 #でぬ漢

2018-08-10 07:26:45
安田登 @eutonie

【野晒2】「誰だ」「飛(ひ)なり」「楊貴妃ですか?」「張飛(三国志の英雄)だ。野ざらしの遺骸を埋葬してくれた礼のために、吾輩の尻を用立ててもらおうと思って参ったのじゃ」。 #でぬ漢

2018-08-10 07:26:31
安田登 @eutonie

有于郊外見遺骸暴露。憐而瘞之。夜聞叩門聲。問之。應曰妃。再問。曰。妾楊妃也。遭馬嵬之難。遺骨未収。感君掩覆。來奉枕席。因與極歡而去。鄰人聞而慕焉。因遍覔郊外。亦得遺骸瘞之。夜有叩門者。#でぬ漢

2018-08-10 07:26:16
安田登 @eutonie

【野晒1】町はずれに野ざらしになっている遺骸を埋葬して弔った男。夜に門を叩く音がする。「誰だ」「妃(ひ)です」なに?「楊貴妃です。あなたに埋葬していただいた」。楊貴妃は枕を共にして帰って行った。その話を聞いた隣の男。遺骸を探し埋葬すると夜中に門を叩く音。(続 #でぬ漢

2018-08-10 07:26:03
安田登 @eutonie

#でぬ漢 今日の『試験に(絶対)出ない漢文』は昨日に続いて落語の元ネタ。今日のは『野ざらし』、『骨(こつ)釣り』です。原文の楊貴妃は落語では美しい女、張飛は石川五右衛門になっています。また、中国でも張飛が鍾馗になっているのもあります。

2018-08-10 07:25:44
安田登 @eutonie

承前)詰之。則曰不知何故。忽不覺畏。主人怒叱曰。汝得無尚有他畏乎。曰無他。此際只畏苦茶兩碗。 #でぬ漢

2018-08-09 11:34:10
安田登 @eutonie

承前)主人がこれをなじると男「なぜか急に怖くなくなりました」。怒った主人、「では、ほかに怖いものはないのか」。男「渋茶が二杯ほど怖くなりました」。 #でぬ漢

2018-08-09 11:33:55
安田登 @eutonie

有貧士餒甚。見市有鬻饅頭者。偽大呼仆地。主人驚問其故。曰吾性畏饅頭。主人因設數十枝于空室中。而閉士于內。冀相困以為一笑。久之寂如。乃啟門。見其搏食過半。(続 #でぬ漢

2018-08-09 11:33:26
安田登 @eutonie

【饅頭1】腹が減った貧乏な男、饅頭屋の店先で大声を挙げて倒れた。主人「どうなさった」、男「生まれつき饅頭が怖いんです」。主人は男を笑いものにしようと饅頭数十個とともに部屋に閉じ込めた。が、ひっそりとしている。主人が戸を開くと半分以上も食べていた。(続 #でぬ漢

2018-08-09 11:33:10
安田登 @eutonie

#でぬ漢 今日の『試験に(絶対)出ない漢文』は、落語の「饅頭こわい」の元になったお話です。やはり明代の『笑府』に載っているお話。ほんとうにそっくりです。

2018-08-09 11:32:52
安田登 @eutonie

有嫁女于他鄉者。歸寧。母問鄉土相同否。答曰。只有用枕不同。吾鄉用在頭邊。彼䖏用在腰裡。#でぬ漢

2018-08-08 09:24:58
安田登 @eutonie

他の土地に嫁いだ娘が戻ってきた。母親が心配して「あちらの地方では何か変わった風習はないかい」。娘、「枕の使い方だけが違います。こちらでは枕は頭の下に敷きますが、あちらでは腰の下に敷きます」。#でぬ漢

2018-08-08 09:24:38
安田登 @eutonie

冥王遣冥卒訪陽間名醫。命之曰。門前無寃鬼者即是。每過醫門。寃鬼畢集。最後至一家。見門前獨鬼徬徨。曰。此可當名醫矣。問之。乃昨日新竪藥牌者。#でぬ漢

2018-08-08 09:23:48
安田登 @eutonie

冥界の王は、徒卒を派遣して名医を探させた。「名医かどうかは家の門を見ればわかる。名医の家の門には恨めしそうな霊がいない」と。しかし、どこの門も霊でいっぱいだった。ようやく、たったひとりの霊しかいない医師の門を見つけた。その医師は、昨日、看板を出したばかりだった。#でぬ漢

2018-08-08 09:23:22
安田登 @eutonie

#でぬ漢 今日の『試験に(絶対)出ない漢文』は医師に関する笑い話と、恒例の艶笑話。中国の笑話の中では、医師と儒者を笑う話はとても多い。力を持つ人を笑うのが笑いの本質。いまの日本の笑いは弱者を笑うので、気分が悪くなるのが多いですね。艶笑話はだんだん過激になっていきます(笑)。

2018-08-08 09:22:32
安田登 @eutonie

一女未嫁者。私問其嫂曰。此事頗樂否。嫂曰。有甚樂䖏。只為周公之禮。制定夫妻耳。及女嫁後歸寧。一見嫂。即曰。好個謊說胚。舊話云。有出嫁者。哭問嫂此禮何人所制。嫂曰。周公。女將周公大罵。及滿月歸寧。問嫂周公何在。嫂云。尋他做甚。女曰。欲製一鞋謝之耳。#でぬ漢

2018-08-07 13:02:54
安田登 @eutonie

嫁ごうとする妹が、姉に「あのことって楽しいの?」と聞くと、姉は「何を言ってるの。楽しいも、楽しくないも、周公の定めた礼なのよ」。しばらくして実家に戻った妹は姉に「お姉様のウソつき。周公さまにお礼に靴をお供えしなきゃ」。#でぬ漢

2018-08-07 13:02:33
安田登 @eutonie

一師晝寢。及醒。謬言曰。我乃夢周公也。明晝。其徒効之。師以界方擊醒。曰。汝何得如此。徒曰。亦往見周公耳。師曰周公何語。荅曰。周公說昨日並不曾會尊師。#でぬ漢

2018-08-07 13:02:02