[R-18]魔女シリーズ終~転生したら全知全能の神仙ショタだったので魔女を家畜にハーレムでやりたい放題する話・中編

災いの子ムンリトと玄徹真君ヨーハン、暗行夜叉セーそのほかの物語。 ほかのお話は以下 魔女シリーズ一覧 続きを読む
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帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ ドゥドゥは、幾星霜かぶりに作った飾りものをいじりながら、同い年ぐらいに見えるムンリトに笑いかけた。 「どうだ?ギギ姉さまにやるだども」 「似合うと思います」 「えへへ。ムンリトぼっちゃまはやさしいだな」 「そうでしょうか」

2018-08-26 13:00:49
帽子男 @alkali_acid

琥珀と蛋白石でできた首飾りは、なるほど瞳の魔女の金の羽毛のまじる髪や褐色の肌に似合いそうだった。 「飾りものの材料もくれたし、だども、姉様方を泣かせねえでほしいだ」 「ごめんなさい」 「んだか…ぼっちゃまも、神仙だものな…おら達にひどいことするのがおしごとだべな…」

2018-08-26 13:03:36
帽子男 @alkali_acid

「ぼっちゃまのお話は面白かったども。おらがいつまでも大きくなれねえのは、ヘドローバ様と別れたときのままでいてえと思ってるからって」 「はい」 「今日は何のお話だべ」 「ドゥドゥさんは暗行夜叉のセーの家畜妻になって赤ん坊を産みたいと思いますか」 「…え…」 「どうですか」

2018-08-26 13:05:38
帽子男 @alkali_acid

照れながらドゥドゥは腹をさする。 「だども、おらのちびな体で、立派な赤んぼ産めるかどうか」 「産めるなら産んでもよいですか」 「…わがんね…けど…うん」 「ヘドローバ様の赤ん坊とだったらどちらでしょう」 「ヘドローバ様だべ!」 老いを知らぬ少女の即答に、少年は一瞬だけ息詰まる。

2018-08-26 13:07:43
帽子男 @alkali_acid

「分かりました。ほかの魔女はあなたをかばっていますね」 「んだべ。姉様がたは…おらがなるたけ楽できるようにしてくれるだ。いつもはジャジャ姉様が一番優しいだども、ヴィヴィ姉様やヴェヴェ姉様も島のおっ母やお姉みてえだし…ギギ姉様は遠慮ばっかすっども、やっぱ優しいだ」

2018-08-26 13:09:41
帽子男 @alkali_acid

「なるほど…ドゥドゥさん。あなたの恒しく常なる性はほかの魔女に比べても最も強いです。ひょっとしたら、結びついた相手の強さがほかに勝るからかもしれません」 「ヘドローバ様のことだか」 「はい」 「えへへ。ヘドローバ様は海で一番きれいでおっかなくて…」

2018-08-26 13:11:28
帽子男 @alkali_acid

「ヘドローバさんが生きているとしたらどうしますか」 「んだ。生きてらっしゃるだ」 「そうですね。ヘドローバさんの話をして下さい」 「いいだか!?おら、ヘドローバ様の話ばっかして、ほかのごしゅじんさまにはいっつも折檻されるだども…」 「どうぞ。ぜひ話して下さい」

2018-08-26 13:12:51
帽子男 @alkali_acid

飾の魔女は、ところどころ青く透き通った斑の入った浅黒い肌を淡い光とみずみずしさで包み、丸っ鼻をうごめかせた。 「やっぱりムンリトぼっちゃまはやさしいだなあ」 「多分、やさしいのはほかの魔女の皆さんです」 少年の返事には、初めて疲れがあらわれていた。

2018-08-26 13:15:49
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 魔女の牧場、その牧場主の執務室はひどく散らかっていた。常人なら癇癪を起した誰かが暴れ回った跡と見るところだが、下賤な感情を超克した神仙にはありえるはずもなかった。 入ってきた玄徹真君のヨーハンは驚きを示した。 “なにがあった”

2018-08-26 13:18:23
帽子男 @alkali_acid

「発作です。まだ樹精の情動を抑えきれていないので」 見習いのムンリトはにこやかに応じた。 “そうか。丹薬を飲むとよい。お前が一刻も早く完全な神仙になれるよう” 「ありがとうございます。検討します」 “怪物復活のくわだてだが、裁可はおりなかった” 「そうですか。残念です」

2018-08-26 13:20:26
帽子男 @alkali_acid

“だが太陽のかけらを御すのにお前の力を使う試みは進みそうだ” 「よかったです」 “がまんが肝心だ。仙境では常にいくつものくわだてが動いている。優先の順がある” 「そうなんですね」 “太陽のかけらはもちろん、星々のかなたを旅する空舟(うつほぶね)の修復、亡者の軍勢”

2018-08-26 13:23:27
帽子男 @alkali_acid

弟子はおとなしく師父の教えに耳を傾ける。 “お前が望みをつないだ、肉片から家畜を栽培するくわだてもだ” 「ためしに育てたお肉はどうだったでしょう」 “丹薬の材料には質が低いが、しかし可能性は評価を受けた” 「うれしいです」 “お前のこと生の理にかんする資質には目を見張るものがある”

2018-08-26 13:26:18
帽子男 @alkali_acid

「それほどでもありません」 ヨーハンの賞賛に、ムンリトはおくゆかしく謙遜する。 “怪物復活のくわだては、形を変えてまた提案する。より予(あらかじ)め算(かぞ)えた配分が要らぬ方法をとればあるいは” 「師父にはいつも骨をおってもらって、うれしいです」

2018-08-26 13:33:12
帽子男 @alkali_acid

少年は、常若の青年に抱き着き、親愛の情をいっぱいに示す。 玄徹真君は、家畜にしているのと同じように見習いの頭に手をやり、蔦の髪をなでくしけずった。 “お前の描く神仙の未来は美しい。美こそが真理の探究にとって大切だ” 「そうですね」 “見せたいものがある”

2018-08-26 13:36:08
帽子男 @alkali_acid

師父は弟子の肩を抱いたまま、執務室を出ると、練武に使っている空き地まで歩いてから、やっと距離をとる。おいてある神鋼の箱を開け、やはり神鋼でできた腰帯を出すとみずからに巻く。 「それはなんですか」 “武具だ。私が尚武だったころに使っていたものに改良を加えた” ヨーハンは息を吸う。

2018-08-26 13:39:01
帽子男 @alkali_acid

“変身!!” 腰帯がまばゆい光を放つと、刹那のうちに神武の超鋼で作った甲冑が青年の長躯をおおっていた。 「すごいですね」 “これならば、火妖や風魔、樹精、海霊に気取られず、きゃつらの聖地に武具を持ち込める” 「僕にくださるのですか」 “調べ整えたうえで授けよう” 「ありがとうございます」

2018-08-26 13:42:06
帽子男 @alkali_acid

“神仙の戦士として、魔女を守る怪物を倒し、天下に太平をもたらす。お前のつとめは重大だ。弟子よ” 「ムンリトと呼んでください。ヨーハン」 “…それは” 「はい?」 “分かった。ムンリト” 「ありがとうございます」

2018-08-26 13:43:53
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ “…玄徹真君は、懸念した通り、汚染の恐れがある” 師弟を離れたところで見張る別の神仙が告げた。 “すぐ駆除すべきかもしれない” “まだ早い。もう少しようすを見るべきだ” “危険ではあるが、成果は大きい” 見張りの神仙は否定の意思を伝える。 “早い方がいい”

2018-08-26 13:47:23
帽子男 @alkali_acid

“確かに玄徹真君は、尚武あがり、使い捨てを織り込んでいるが…しかし早急ではないか九衣仙姑(きゅういせんこ)” “汚染が広まってからでは遅い” 名を呼ばれた女は再度殺害の許可を求める。 “九衣仙姑と玄徹真君は、確か神仙と尚武の交配のくわだてのため、しばらく地上でともに暮らしていたな”

2018-08-26 13:50:17
帽子男 @alkali_acid

“その関係が判断に影響を与えていないと言い切れるか” “常人の嫉妬のような感情が蘇った恐れは” 九衣仙姑はしばらく黙してから、また考えを発する。 “意識下でそういう感情があるかもしれない。だがこの判断そのものは妥当だ” “今少し見張るのだ” “しかり。あの個体はまだ多大な利を生む”

2018-08-26 13:55:14
帽子男 @alkali_acid

“分かった。だが玄徹真君との交信はさらに制限を強めるべきだ” “承知した” “念のため、私の交信にも制限をかけてほしい” “独断での殺害は慎め” “無論だ。神仙すべての益を斟酌したうえでのこと” “承知した”

2018-08-26 13:57:54
帽子男 @alkali_acid

九衣仙姑は会話を切ると、また監視を再開する。 神鋼の小さな虫、数万にもなるからくりが、牧場をぐるりと取り囲んでいた。 さまざまな角度から家畜と牧場主をうかがっている。 “いかにした玄徹真君。東方の蛮角討伐において無双を誇れる、情容赦なき尚武の精鋭よ”

2018-08-26 14:02:35
帽子男 @alkali_acid

女の唇が誰に聞かせるでもない言葉をつむぐ。 “私に尚武の有用を見直させたお前が、食用人種になぜ軟化する” 牧場の木の根元で、少年は膝をそろえて座り、青年がそこへ頭を預けている。子供の指が細やかに大人のこめかみをなぞり、模様を輝かせる。 “何をしている” 見張りは膝枕の光景を拡大する。

2018-08-26 14:05:21
帽子男 @alkali_acid

恍惚とした玄徹真君を撫でつつ、見習いは不意におもてをあげ、九衣仙姑を眺めやったかのようだった。 “…こやつ” 樹精あがりの神仙は、なまめいた唇に指をあて、静かにと合図したようだった。膝元では尚武あがりの神仙が快さそうに眠り込んでいる。

2018-08-26 14:14:18
帽子男 @alkali_acid

生粋の神仙は薄い乳房の間に拳をおしあててあえいだ。 心の臓に鋭い痛みが走ったようだった。 “汚染…いや、あり得ぬ。私はただ監視しているだけだ。交信はしていない…” 功力をめぐらせ、以心伝心の術がはたらいていいないのを確かめる。 “やつが私に気づくはずはない…これは…”

2018-08-26 14:15:57
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