[R-18]魔女シリーズ終~転生したら全知全能の神仙ショタだったので魔女を家畜にハーレムでやりたい放題する話・中編

災いの子ムンリトと玄徹真君ヨーハン、暗行夜叉セーそのほかの物語。 ほかのお話は以下 魔女シリーズ一覧 続きを読む
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帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 「今はときどきね、もうセー様の家畜妻として、赤ちゃんを産んでもいいかなって、思うんだ。おかしいよね…ムンザ君のことがあんなに好きだったのに…」 箒の魔女ヴィヴィは熱い薬葉茶をすすりながら、あっけらかんと秘密を吐露した。 「もう心も負けちゃったかも」

2018-08-26 12:12:05
帽子男 @alkali_acid

「ほかの雄ではなく、暗行夜叉さんがいいんですね」 聞き役の少年は尋ねた。 「うん。だってすごく強いし、噛まれて血を吸われるのも、痒くて痛いのにだんだんくせになるし、ときどき気まぐれでも、優しくしてくれるから…頭を撫でてもらうとすっごくうれしい」 「なるほど」

2018-08-26 12:14:11
帽子男 @alkali_acid

かつては愛する夫を持ち、一時の母でもあった森の后は、長いまつげを伏せた。 「だから…ムンリト君の言う、恒(ひさ)しく常(つね)なる性(さが)だっけ。そんなに完璧なものじゃないと思う。体は戻っても、心は…記憶が…変わってくから…だんだん」 「そうかもしれませんね」

2018-08-26 12:16:29
帽子男 @alkali_acid

ヴィヴィは急に手を震わせ、茶の入った椀を落とした。すばやくムンリトの体から伸びる蔦が受け止める。 「あ、ごめんね…あたしおばあちゃんだから」 「いえいえ」 「…ごしゅじんさまは」 「ムンリトと呼んでください。前の牧場では皆そう呼んでいました」 「うん…ムンリト君は…もしかしたら」

2018-08-26 12:17:56
帽子男 @alkali_acid

箒の魔女はおもてをあげて、泣き笑いを浮かべた。 「今までで一番ひどいごしゅじんさまかも」 「ごめんなさい」 「…ふふ…いいよ…なんだっけ…ムンザ君の話だよね…」 「はい」 「おかしいな…今まではムンザ君の名前を呼ぶだけでおしおきされたのに…」

2018-08-26 12:19:15
帽子男 @alkali_acid

「だいじょうぶです。お腹の模様は反応しないようにしておきました」 「そんなことまでできちゃうんだ…ほんとに天才だねムンリト君」 「そうでもないです」 少年の謙遜に、女は涙をぬぐってまた相好を崩す。 「あのね。話したくない」 「話してください」 「でもつらいんだ。ムンザ君を思い出すの」

2018-08-26 12:20:58
帽子男 @alkali_acid

「ごめんなさい。話してください」 「…ひどいな…うん…なんで」 「あなたは、緑深森のムンザが生きていると信じているんでしょう」 「うん…そうだよ…ずっと…ずっとそう…」 「生きています」 「…うん…」 「我々神仙は、ムンザの復活を早め、利用しようと思っています」

2018-08-26 12:22:52
帽子男 @alkali_acid

ヴィヴィは硬直する。 「えっ…」 「ムンザの体からはたくさんの丹薬の材料が採れそうですし」 「なに…言って」 「とても役に立つはずです。ですからできるかぎりムンザのことを教えてください」 「やめて…いや…そんなの…」 「いいえ。話してください」 ムンリトはまっすぐ見つめた。

2018-08-26 12:24:31
帽子男 @alkali_acid

神仙と魔女はしばらく声もなく向き合った。 「わかり…ました…ごしゅじんさま」 「ありがとうございます」

2018-08-26 12:25:43
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 魔女の牧場で飼っている家畜のうちでも最も気の荒いジャジャは、牧場主の執務室に入るなり、腕を刃に変え、幼い喉元へ突き付けた。 「くだらないねえ…ヴィヴィを泣かせたって?」 「ごめんなさい」 「あいつは皆のおふくろ役なんだよ。泣くとほかまでぴいぴいうるさくてうっとうしい」

2018-08-26 12:28:14
帽子男 @alkali_acid

「ムンリトとやら。こんなまねして意味があるのかい」 「はい」 少年は女にむかって微笑んだ。 「ヴィヴィさんは古き魔女のおひとりで、生の理(ことわり)に長けていました。魔女が自ら同一を保とうとする恒しく常なる性には限りがあることを教えてくださいました」 「そうかいご立派だ」

2018-08-26 12:30:33
帽子男 @alkali_acid

魔女の皮肉にも動じず、幼い神仙は穏やかに話した。 「体は戻っても、記憶は残り、それが影響を与える。今は昔に戻ったようなあなたも、また薬と拷問を受ければ、神仙の武器になります」 「やってみるかい?ええ?」 「かつて、あなたがたがドゥドゥさんのたいせつな人を傷つけたように」 「っ…」

2018-08-26 12:32:54
帽子男 @alkali_acid

ムンリトは客に座るよううながして、豆餅を皿にのせて差し出した。主のもてなしに舌打ちしながら、ジャジャは受け取ってむしゃむしゃと平らげる。 「ふん。それで」 「神仙は目下のところ、あなたがたの恒しく常なる性がどこまではたらくのかを把握しきれていません」

2018-08-26 12:35:02
帽子男 @alkali_acid

「全知全能の神仙様がね」 「薬と拷問による条件づけの効果を疑ってもいます。無駄な費えなのではないかと」 「…だったらやめりゃ」 「しかし調べ究めていけば、いつかは恒しく常なる性を完全に打ち破るすべを見出すでしょう」 「くだらないねえ」 「暗行夜叉のセーさんについてどう思いますか」

2018-08-26 12:37:01
帽子男 @alkali_acid

「セー様がなんだってんだ…」 「セーさんの家畜妻として子供を産みたいと思いますか」 「はっ…なにを…」 「僕が失敗すると次の種付け役はあの方です。神仙はセーさんを信用していませんが、役に立つと認めています。うれしいですか」 「あたしは…」

2018-08-26 12:39:00
帽子男 @alkali_acid

剣の魔女はうなだれた。神仙見習いは追い打つ。 「正直に」 「うれ…しい…すこし…」 「赤烈火グラウルドと添い遂げるのとどちらが嬉しいですか」 「…ぁああ!?てめええええ!」 神鋼の腕が男児の胸倉をつかむ。 「あいつの名前を口にするな!」 「グラウは生きています」

2018-08-26 12:41:22
帽子男 @alkali_acid

「知ってるよ!!」 「グラウの話をしてください」 「お断りだね。なんで…」 「できるかぎり詳しく」 剛刃羅刹は歯を食いしばってにらんでから、樹精あがりの神仙を離した。 「ムンリト…お前は…今まででのご主人様の中で最低だ…」 「ごめんなさい」 「…いいさ。あたしらを嬲る新しい手だろ」

2018-08-26 12:43:51
帽子男 @alkali_acid

ジャジャは髪を掻きむしった。 「グラウ…グラウ…ちくしょう…グラウ…」 ムンリトはにこやかに続きを待った。

2018-08-26 12:45:06
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 魔女の牧場の家畜で唯一の男、だが肩にも腰にも雌らしい円(まど)かな輪郭を帯びた若者、ギギはむっつりした面持ちで入ってきた。 「ヴィヴィやジャジャをいじめないでくれないか」 「ごめんなさい」 「…なぜ」 「必要なことなので」

2018-08-26 12:47:37
帽子男 @alkali_acid

「俺にも同じことを問うのだろう。だが俺は男だ」 「恐らく、神仙は、男でも孕ませられると思います」 「は?」 「可能なら、暗行夜叉セーの子を孕みたいと思いますか」 「なにを…馬鹿な…俺は」 「セーは、黒旋風ハインに似ていると思いませんか」

2018-08-26 12:49:01
帽子男 @alkali_acid

かつての風読み、黒旋風の伴侶は拳を固めた。 「…すこしは」 「どちらが好ましいですか」 「黒旋風は…あいつは…俺があいつと過ごした時間は短い…セー様とは…もっとずっと長くかわいがってもらった」 「ではセーさんの方が好ましいですか」 「…黒旋風は死んだ」 「生きています」

2018-08-26 12:50:43
帽子男 @alkali_acid

ギギはよろめいた。 「ちがう死んだ…やつは…俺が言ったのに…戦えと…俺を案じて神仙に抗おうともせず」 「でも生きています。魔女の伴侶は不死になります。少なくとも不死に近いものに」 「信じない…俺は…だって…何度もあいつを…裏切っ…ほかの男と…」 「黒旋風ハインの話をして下さい」

2018-08-26 12:52:54
帽子男 @alkali_acid

瞳の魔女は、気の流れを読み取る山吹の双眸から、とけた黄金のような涙を流した。丹薬の貴重な材料となるそれを、しかし神仙見習いは省みなかった。 「ハイン…俺に…ハインの話をしろと…」 「はい」 「俺と…あいつは…ただの敵同士だった…俺は家畜運び、あいつは家畜泥棒…それだけ…」

2018-08-26 12:55:02
帽子男 @alkali_acid

「それだけですか」 「…いや…だが…う…ぐ…」 胸をおさえて、若者はあえぐ。 「やめてくれ…たのむ」 「ごめんなさい。話して下さい」 「こんな…ことは…たえられない」 「話して下さい」 「薬と拷問で…聞き出せ…前にしたように」 「いえ、それでは聞かせて欲しい話が出ないので」

2018-08-26 12:56:57
帽子男 @alkali_acid

風読みのなれのはては、樹精の子供のすがたをした飼い主を凝視した。周囲を気流が渦巻く。 「…ムンリト…貴様は…どんな神仙より残酷だ」 「そうかもしれません」 あどけない容貌はほほえみとともに肯じた。

2018-08-26 12:59:03
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