[R-18]魔女シリーズ終~転生したら全知全能の神仙ショタだったので魔女を家畜にハーレムでやりたい放題する話・中編

災いの子ムンリトと玄徹真君ヨーハン、暗行夜叉セーそのほかの物語。 ほかのお話は以下 魔女シリーズ一覧 続きを読む
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帽子男 @alkali_acid

“いつものお前とはようすが異なる” 「そうでしょうか」 “怪物退治もあと少しだ。お前はあらゆる神仙がしとげられなかった偉業をなそうとしている” 「はい」 “疲れがあるのか” 「すこし」 ムンリトは作業の手を止めてまぶたを閉ざした。 「昔のことを思い出していました」

2018-08-26 18:03:31
帽子男 @alkali_acid

“家畜のころのか” 「よく分かりません」 “お前はもう神仙だムンリト。私が保証しよう” 「ありがとうございます。ヨーハン」

2018-08-26 18:04:30
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 緑深森ムンザの墓所は、真二つに裂けたムンザそのものだった。 三匹の獣人の雌が待っていた。 「ムンリト」 カズサが呼ぶ。左右にいるのはミカンとナハルという同族だ。 「ムンザは死してなお森の民の心の支えだ。それを焼くのか」 「そうですね」 「私はお前をそんな風に育てなかった」

2018-08-26 18:06:22
帽子男 @alkali_acid

少年は微笑んだ。 「ええカズサ。あなたはムンリトをやさしい…おとなしい生贄として育てた。ほかの家畜を思いやる、よき食用人種として」 牧童はうなだれる。 「…そうだな」 「そのムンリトは、もうどこにもいません。最初からいなかったかも」

2018-08-26 18:07:46
帽子男 @alkali_acid

カズサはとがった耳を伏せた。 「お前を家畜として育てたものの、勝手な言いぐさだが…私はあの子が好きだった」 「ありがとうカズサ」 ミカンが口を利いた。 「あたい、人相を見るんだ。おじいちゃんからの直伝でね」 「そうなんですか」

2018-08-26 18:09:37
帽子男 @alkali_acid

「あんたには災いの相があるよ。とても大きな災い」 「なるほど」 「でも…あんたはそれを分かっているって顔だね」 「そうですね」 「ここで戎牙の意地を見せてもいいけど、ナハルはもうおばあちゃんだし、やめとく」 ナハルは鼻を鳴らした。 「ムンザ王…我等の敬いは消えぬ。いかなる形でも」

2018-08-26 18:11:38
帽子男 @alkali_acid

三匹の雌が去ったあと、少年は両断された幹ににじり寄った。 “森の王。緑深森。不毛の野を蘇らせた人、樹精の希望よ。強い絆で結ばれたヴィヴィ…ヴィヴァリーチェはあなたを忘れるだろう。そうしてほかの男に抱かれ、とこしえを生きる。胸に開いた空虚な穴がふさがることはない”

2018-08-26 18:14:03
帽子男 @alkali_acid

“終わりのない絶望にあって、なお死ねぬとすれば、これほどの業罰があろうか。あなたの最愛の人を、そのような責苦にゆだねるのか” 二つに裂けた樹幹から枝が伸び絡まりあい塞がって一つとなる。 「若き神仙よ…魔女の声で語るものよ…愛しき人への思いが僕を蘇らせた」

2018-08-26 18:16:37
帽子男 @alkali_acid

“聖樹の王”の表記が甲冑の面頬越しにあらわれる。 「お前の問いへの答えは否…僕はヴィヴィを誰にも渡さない。ずっと神仙との和解を望んでいたが、ヴィヴィを苦しめるなら、僕はお前達を許さない」 「そうですね」 「お前を捕え、真実を聞き出す」 「やってみてください」

2018-08-26 18:19:55
帽子男 @alkali_acid

赤烈火の大剣、黒旋風のマント、青海嘯の鎧、紫電改の兜をそれぞれ輝かせ、神仙の仔は、緑深森に挑んだ。 太陽のかけらの閃光が、魔女の森にふたたび迸るまで、そう時はかからなかった。

2018-08-26 18:21:58
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ “なぜ太陽のかけらを使った” 「すいません。くせになっていました」 “ムンザがあれでうまく吹き飛んだからよかったものの、もし力を吸い取っていたら” 「危ないところでしたね」 “過ちを犯さぬお前がどうしたことだ” 「最後の最後で気が抜けたのかもしれません」

2018-08-26 18:24:31
帽子男 @alkali_acid

ヨーハンの叱責に首をすくめるようにしながら、ムンリトは琥珀の盾を磨いていた。 “それらで魔女の術をだませなければ、すべては徒労だ” 「試すことには価値があります。失敗だったら失敗だったことが、次の調べや究めの参考になるでしょう」 “そうだったな。神仙の心得をお前から教わるとは”

2018-08-26 18:26:18
帽子男 @alkali_acid

“すべての怪物を倒したうえ、森の女王を仙境に連れ帰る。お前は神仙の英雄となろう” 「ありがとうございます。記録の文書はヨーハンと共同の署名にしましょう」 “光栄だムンリト”

2018-08-26 18:27:47
帽子男 @alkali_acid

“我等のしたためる文書は、多くの引用がつく。恐らく最も引用数の多い文書となるだろう” 「はれがましいですね」 “怪物と魔女のくわだては、空舟のくわだてや、亡者の軍勢のくわだてをしのぐ、神仙最大のくわだてとなる” 「はい」

2018-08-26 18:29:15
帽子男 @alkali_acid

少年はしばらく間を置いてから言った。 「ヨーハン。時間がないので、交信で伝えます」 “何か” 「森の女王リリのことは、ほかの神仙に教えないでください」 “なぜだ” 「僕等の切り札になります。もうひとりの魔女を握っていることは」 “裏切りは認められぬ” 「裏切りではなく」

2018-08-26 18:31:22
帽子男 @alkali_acid

「神仙の中で優位に立つためです」 “よかろう。お前を信じよう” 「くれぐれも内密に。特に暗行夜叉のセーさんには知られないように」 “そういうことか。よし”

2018-08-26 18:32:36
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 仙境は祝賀に沸いた。 普段は心を騒がすことのない神仙も、珍しく火妖からしぼりとった成分の多い丹薬を飲み、酔い痴れ、浮ついたようすだった。 ムンリトは常人の基準からすれば控えめな、しかし神仙からすれば熱烈な歓呼を受け、事績をきちんと文書にまとめることを約束した。

2018-08-26 18:35:37
帽子男 @alkali_acid

ほろ酔いの師父を伴った弟子が牧場に引き上げたあと、ひと波乱があった。 家畜として随分おとなしくなっていた五匹の雌は、怪物の滅びを聞くや嘆き狂い、それぞれの術を解き放って暴れたのだ。

2018-08-26 18:37:59
帽子男 @alkali_acid

幸いそれぞれの下腹に仕込んだ神鋼の模様が、術の行使に応じて増す快楽と苦痛をもって意識を焼き、絶望のきわみにあってみじめに絶頂しながら崩れ落ちた。 “…命に別状は” 「分かりません」 “すぐに癒さねばならぬ。これから種付けだ” 「でしたら、肉片を培養する設備を使いましょう」

2018-08-26 18:39:28
帽子男 @alkali_acid

“あれを癒しに用いると” 「ちょっとした改良でできます」 “専門のものを呼ぶべきではないか” 「何事もみずからで済ませるのが神仙です」 “そうだったな…お前に任せよう”

2018-08-26 18:40:41
帽子男 @alkali_acid

玄徹真君は宴と、続く争乱とで、疲れ切って眠りについた。やけに体が重かった。いつものように見習いの添い寝が欲しかったが、相手は忙しく働いていて言い出せなかった。 そうして目が覚めると風景は一変していた。

2018-08-26 18:42:41
帽子男 @alkali_acid

牧場の設備は森の一部になったかのように木々と草にうもれ、苔むしている。 魔女達は昨日のできごとが嘘のように穏やかだった。ただしどれも額に花輪がかかっていて、蔦がそこから伸びている。 “何をした” 「二度と逆らわぬよう、神仙の模様に工夫を加えたもので、頭をつなぎました」

2018-08-26 18:44:09
帽子男 @alkali_acid

すべての蔦は少年とつながっているようだった。 “悪い影響はないのか” 「家畜は皆、このうえなく幸せを感じていると思います」 “まことか” 「それよりご覧なさい」 神仙ムンリトは魔女ドゥドゥを指さした。

2018-08-26 18:45:26
帽子男 @alkali_acid

幼げな少女の面影はもはやなく、成熟した妊娠出産に向く体つきの肢体で這いつくばっている。 “恒しく常なる性が…” 「どうでしょうか。あちらも」 魔女ジャジャも五体満足に戻っていた。 “おお…すばらしい” 「武器として用いる際は、手足をもいでください」

2018-08-26 18:48:10
帽子男 @alkali_acid

「グラウルドと会う前のジャジャの手足が再生するたび、時々そうしていたように」 “なるほど”

2018-08-26 18:49:17
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