異世界小説を夏休みの宿題で書こうと思っているあなたに向けた、異世界とお風呂について中世の歴史をあれこれ図書館に行って調べた日記

山本弘の台詞の中に「僕に対しては妄想で意見をするな、データを出せ」というような素晴らしい言葉がどこかにありました。私の人生の師である山本氏のこの教えの通り、データ(この場合はデータではありませんが、妄想ではなく客観的な歴史的見地という意味でのデータ)を元にお風呂の歴史と異世界について考えていきたいと思った日記です。ただの歴史のお話であり、誰かを批判する意図など一切ありません。誤解されないよう三回言います。ここまでコピペかける3。
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いちのせやよい @iciinoseyayoi

そして、共同浴場には娯楽施設が付随していくことになります。一種のテーマパーク化ですね。娼館でのサービスもありました。ポンペイのスブルバナエ浴場では、そのつながりがそのまま壁画に描かれていたそうです。つながりとはそういう意味のここで書けないようなつながりです。

2018-08-28 12:10:13
いちのせやよい @iciinoseyayoi

「スタビアエナ浴場の近くに、ポンペイ一大きな娼館があった。湯と裸とくつろぎという組み合わせは、浴場と娼家がすぐ近くにあるという傾向を生み出し、ときには浴場の二階で娼婦がサーヴィスを行なうこともあった」とも言われています。これは学術的引用なので通報しないでね。

2018-08-28 12:10:29

ヨーロッパに一時期古代ローマの風呂が作られたことはすでに述べた。しかし、ローマ帝国の崩壊後、風呂はヨーロッパ世界から消えていく。この消えていくことにキリスト教が深く関わっている。

このような宗教では、裸を見たり見せたりすることは性に関しての禁止事項であり、自分の裸を見ることすら憚られる。ところが入浴というのは、多くの場合裸になる。そのため、入浴はキリスト教徒にとってはタブーに近いものであった。

ローマ帝国が崩壊した後も南欧ではしばらくは古代ローマ式の風呂が使われていたが、キリスト教の強い影響で徐々に廃れていく。ただし、辺境の東欧や北欧では、キリスト教の影響を受けながらもサウナなどの風呂が途切れることなく続いていた。

十字軍の遠征に伴って、一時期トルコから蒸気風呂がもたらされ。公衆浴場が作られたこともあった。しかし、風呂はしばしば売春などの放蕩と結びつき、また姦通などのスキャンダルの温床となってしまって、キリスト教会の非難の的となる。

風呂は裸体を連想させ、裸体は性を連想させる。そして性は不道徳に結びつく。中世ヨーロッパにおける風呂は、こうした頭の中の連想と実際に起こった性的不道徳とによって、キリスト教の強い弾圧にあった。

いちのせやよい @iciinoseyayoi

そんな浴場を快く思わないキリスト教が広まり始めます。 多くの宗教では、穢れたものと清いものに区別をつけるために、手の洗い方、便所での作法、食事の仕方など様々なルールを課します。ローマで流行っていたユダヤ教でも様々なルールがあったのですが、イエスキリストは度々それを否定していきます

2018-08-28 12:11:01
いちのせやよい @iciinoseyayoi

福音書にはファリサイ派の偉い人が、手を洗わないイエスとその弟子を批判するというような話が何度も描かれています。その批判に対してイエスが偉い人は外面ばかり気にしてるけど内側は醜いもんだ、と言うキリスト教のいつもの説法です。

2018-08-28 12:11:40
いちのせやよい @iciinoseyayoi

ユダヤ人の律法も手を清潔にしておいたほうが悪いことが起こる確率が低くなるという経験則からたぶんきてると思うのでそんなに責められることでもないような気もしますが、こういう宗教間対立の話はおいとくとして。

2018-08-28 12:11:54
いちのせやよい @iciinoseyayoi

イエスキリストの内面をきれいにすることこそが重要なのだという考えが、外見を気にするのは罪だという方向へ向かうことになるわけです。まあ内面を磨くのってどうしたらいいかわからないけど、外見を気にしないというのは簡単だからね。

2018-08-28 12:12:17
いちのせやよい @iciinoseyayoi

宗教というのはいいかげんなもので、ユダヤ教的儀式を否定したはずなのに結局キリスト教的儀式にはユダヤ教的清めの儀式が残ってたりはするんで反論はいくらでも受付けるんだけど、浴場なんていう快楽の塊の施設なんてものはもちろん否定するわけ。

2018-08-28 12:12:39
いちのせやよい @iciinoseyayoi

閑話休題。 モーセの十戒というものがあります。盗んではいけないとか殺してはいけないとかいうアレです。細かくはWIKI参照。あのルールはバージョン1.01としてイエスキリストが改訂しています。

2018-08-28 12:13:06
いちのせやよい @iciinoseyayoi

盗むことは罪であると言ったけど、もっと言うと盗もうかな~って心で思うことも同様に罪だからね。お風呂場覗くのは罪だけど、あのお風呂場にあの子がいるんだよな~って想像することがもうそれ罪ですから。という非常にきびしい改訂です。

2018-08-28 12:13:23
いちのせやよい @iciinoseyayoi

勝手に欲情するのは罪、肌を見せること、顔を見せることで欲情させるのも罪。そういう教えから、ヴェールを被って顔を隠すとかいう風習が生まれている宗教で、大衆浴場なんていう施設が認められるわけがないのです。 閑話休題終わり。

2018-08-28 12:13:38
いちのせやよい @iciinoseyayoi

体を洗うのは虚栄心や俗心を示すものであるとか、入浴は自分の容姿に関心を持つことであるとか、入浴による熱は性欲を刺激するとか、清潔な体と清潔な衣服は不潔な魂の現れである、という考えが広まっていきます。

2018-08-28 12:13:53
いちのせやよい @iciinoseyayoi

そういう考えなので当然、個人の入浴というものも敬遠されていきます。何かしたらというわけではなく自分の裸を見ることがもう罪ですから。ちょっと不埒な想像をするだけでもう罪ですから。そんな考えですから入浴が敬遠されていきます。

2018-08-28 12:14:13
いちのせやよい @iciinoseyayoi

そんなわけで、ローマ帝国の衰退とともに共同浴場の維持も難しくなる一方で、入浴する人がいなくなるわけで、当然入浴施設が減っていき、減っていけば利用者がいなくなり、入浴文化がなくなっていきます。もちろんいつの世もわずかな例外は存在しますけど。

2018-08-28 12:14:29
いちのせやよい @iciinoseyayoi

それから何百年か後、十字軍が東方から戻ってきた時に大変なものを持ち帰ります。なんと、トルコ風呂です。ローマから波及した入浴文化をトルコから逆輸入してきて大ヒットします。月に一度も体を洗わなかったヨーロッパ人はお風呂に目覚めます。

2018-08-28 12:14:53
いちのせやよい @iciinoseyayoi

街や都市に共同風呂が次々建設され貧しい人も関係なくあらゆる身分の人が入浴するようになります。もちろん商館も建ちます。当然犯罪や梅毒が蔓延するようになります。

2018-08-28 12:15:05
いちのせやよい @iciinoseyayoi

そしてペストの大流行となります。浴場のせいだ、神罰だと考える人がいて当然です。浴場や入浴によって柔らかくなった皮膚の表面の孔から病気が入りこむという当時の解剖学の見解も、浴場という結論ありきで信じられてしまったと思われます。

2018-08-28 12:15:19
いちのせやよい @iciinoseyayoi

そして、ヨーロッパでは体を洗うという文化が忌むべきものとなります。ヨーロッパ人が世界を旅するとどこの国に行っても「この国はお風呂好きな国」と驚き評する時代となります。

2018-08-28 12:15:38
いちのせやよい @iciinoseyayoi

そんなわけで、中世の人々が入浴しないのはキリスト教的清貧の考え方をしていたからであり、あなたが書こうとしている異世界がそれに準じる必要はないわけです。豪華な浴室が各個人宅に普及していたら違和感があるかもしれませんが、水を浴びる、シャワーをする程度はできるはずです。

2018-08-28 12:16:00
いちのせやよい @iciinoseyayoi

中世ファンタジーといえば実はその時代は風呂に入らない臭い人で溢れていたなんてトリビアを披露する人もいますが、時代と場所によっては風呂ブームだったりもするわけです。産業革命以前の比較的人口が少ない時代であればおかしな話ではありません。

2018-08-28 12:16:14
いちのせやよい @iciinoseyayoi

その当時ですら、台所の隣に足や手を洗うための水場があったりもするんですから、シャワーが存在するかどうかはその水を身体にかけてもいいかどうかシャワーとして使ってもいいかという問題でしかありません。

2018-08-28 12:16:35
いちのせやよい @iciinoseyayoi

共同浴場の隣にある商館で働く人のために水を浴びるためのシャワー程度のものを設置することなどおかしくもありません。ジョウロに毛が生えた程度のテクノロジーと隣の共同浴場から水を運ぶ方法や娼館の使用人がいればすむ話なのですから。

2018-08-28 12:17:02
いちのせやよい @iciinoseyayoi

キリスト教さえ普及しなければ、ギリシア・ローマ時代から続く一般人がシャワーを浴びる文化は途切れる事はなかったはず、少なくともテクノロジーの問題は生まれなかったので、あなたがこれから書こうとする異世界小説でシャワーを浴びることは特に問題はないのです。

2018-08-28 12:17:20
いちのせやよい @iciinoseyayoi

古代から世界中に存在する入浴法として、水を浴びるという入浴法をシャワーと表記する入浴の歴史について書かれた本は、探せば何冊かは簡単に見つかるんですから。

2018-08-28 12:17:41
いちのせやよい @iciinoseyayoi

シャワーという表記を、デタラメな小説だというデマを流すために小説にも書かれていない作者が言ってもいない自分勝手な定義付けをして、そんなもの異世界にあるわけないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww、などと言う人さえいなければ、問題が生まれるわけもないのです。

2018-08-28 12:18:11