佐藤正美Tweet_20181001_15

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佐藤正美 @satou_masami

学問の理論を探究する人を私は尊敬します。事業において成功をおさめた人に私は敬意を払います。だが、学問も事業も選ばずに、それらの間に立って、学術的理論を実務的技術に翻訳する人を私は愛する──エンジニア であることの矜持と辛さを私はつくづく味わっています。

2018-10-01 16:45:37
佐藤正美 @satou_masami

現代では、息の長い体系に耐えることができなくなったというような生やさしい現象じゃなくて、テクノロジーを使っているつもりでも うっかりしていると、世間に向かって断片的な つぶやき しかできない──アフォリズムというような高等な知性じゃない。

2018-10-01 16:46:35
佐藤正美 @satou_masami

しかも知識が fingertip で入手できるテクノロジーを使ったオペレータに成り下がる様な危(あや)うい土壌に我々は立っている。

2018-10-01 16:47:37
佐藤正美 @satou_masami

そして、こういう思想をもつ「文学青年的」エンジニアも「社会と個人」のあいだで危うい曲芸をしている。そういう社会の中で、思想を育む個性たる事は、その困難さを覚る前に、諧謔的な事なのかもしれない。

2018-10-01 16:48:41
佐藤正美 @satou_masami

現代はテクノロジーが進歩して、我々はスマホやタブレットを携帯して「情報」を(電波が届く範囲であれば、)いつでも入手できる便利な時代で生活しているけれど、「思想」に対する対応は さほど進歩していない様ですね──ひょっとしたら、退歩しているのかもしれない。

2018-10-08 07:20:56
佐藤正美 @satou_masami

「(日常生活を送るうえで)『思想』を持て」と放言するような僭越さを私は更々持ちあわせていないのですが、少なくとも、自分の専門領域において、なんらかの言説を前提にした技術(あるいは、理論)に関して意見を述べるのであれば、「思想」を避けて通れない事を言いたいのです。

2018-10-08 07:21:41
佐藤正美 @satou_masami

専門外の技術・理論に関しては、そこまで丁寧に検討吟味する余裕はないので、せいぜい、技術・理論を使った時に感じた印象を述べるに止まるでしょう [ 専門家の意見に並ぶほどの所見を述べられるはずもない ]。

2018-10-08 07:22:16
佐藤正美 @satou_masami

逆に言えば、仕事の中で育んだ 「思想」を持っているという事は、専門家の証しになるのかもしれない。

2018-10-08 07:22:49
佐藤正美 @satou_masami

他人(ひと)の思想を あれやこれやと食いちらしてコピペ(コピー&ペースト)して いっぱし意見を述べても、ちゃんとした文脈を持っている訳じゃないので、聴き手(あるいは読み手)は白々しさを覚えるでしょうね。

2018-10-08 07:23:21
佐藤正美 @satou_masami

「思想」は持とうとして持てるものじゃない、仕事の中で翻弄されて苦しみながら じぶんを実験台にして身証して養われるものでしょう──だから、思想には生々しさがあるし、一つの思想が生まれるには長い年月の胎動期が存する。促成で育つものじゃない。

2018-10-08 07:24:12
佐藤正美 @satou_masami

「思想を使用して現実を観察したり、自己を分析したりするのに精一杯だった僕らは、思想を抱いたあるいは思想を強いられた僕ら自らの顔の表情に関しては、どうしようもない鈍感を持して来たのである」(小林秀雄、「『紋章』と『風雨強かるべし』とを読む」 )。

2018-10-14 09:27:06
佐藤正美 @satou_masami

「思想とか観念とかというものに強く攪拌された新しい文学意識が、今日の作家に新しい複雑さを視る事を教えたのだ。例えば僕らはもはや自然主義作家等の信じた個人という単位、これに附属する様々な性格規定を信ずる事が出来ない」(小林秀雄、同)。

2018-10-14 09:27:50
佐藤正美 @satou_masami

「僕らがお互いの性格の最も推測し難い時代に棲んでいるという事実から信じられなくなったのである。性格は個人のうちにもはや安定していない。それは個人と個人との関係の上にあらわれるというものになった」(小林秀雄、同 )。

2018-10-14 09:28:39
佐藤正美 @satou_masami

「性格とは人と人との交渉の上に明減する一種の文学的仮定となった。という事実は、恐らく文学を知らぬ今日の不安に苦しむ多数の生活人が自ら体得しているものではあるまいか。これに最も鈍感なのはかえって文学業者ではあるまいか」(小林秀雄、同 )。

2018-10-14 09:29:18
佐藤正美 @satou_masami

「人間の性格に関する文学的仮定の変動、言葉を代えて言えば、一つの視点から多数の人間を眺めるのではもはや足りず、互に眺め合う人々の多数の視点を作者は一人で持たねばならぬ。そういう一事だけでも現代の短篇小説の可能性はぐらつくのではないかと思われる」(小林秀雄、同 )。

2018-10-14 09:30:58
佐藤正美 @satou_masami

「性格は個人のうちにもはや安定していない」という文での「性格」は「個性」という意味として考えていいのではないかしら。すなわち、一つの個性の視点で作品を制作する [ 制作できる ] という時代じゃなくなっている、と。

2018-10-14 09:32:46
佐藤正美 @satou_masami

社会の中で営まれる仕事が細分化・専門化して、個性を全人的に投入できる仕事 [ 昔は、それを天職と云っていたのですが ] は現代では ほとんどないので、一つの強い個性が一つの閉じた大きな体系的仕事を完遂できる時代じゃなくなっている。

2018-10-14 09:33:27
佐藤正美 @satou_masami

昔の人物に較べて、現代人が小粒になったと云われることが多いのですが、それは社会構造のうえで当然の帰結でしょうね。そして、そういう社会背景では、個人を立脚点にした「思想」は嫌われるでしょう。

2018-10-14 09:34:09
佐藤正美 @satou_masami

そういうテクノポリス的社会(関係)の中で重視される性質は、変数としての代入値を持っていること、すなわち なんらかの意味で テクノクラート [ 一つの機能 ] であることが存在理由とされるでしょう。

2018-10-14 09:34:51
佐藤正美 @satou_masami

「文学青年」的エンジニア [ 私のこと ] は、(そういう社会的機能を果たしながらも、) 単に一つの機能として評価されることを良しとしない、自分の技術の中に自分を全人的に注ぎたいと希っています。そして、そういう思いは、社会に適応できないことも重々承知のうえで仕事をしています。

2018-10-14 09:36:14