thgraceさんのNASA CEA(化学平衡計算ソフト)の話

NASA CEAについてのお話
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thgrace @thgrace

@ozawa64 そう、NASA方式っていわれる多項式による熱物性データ計算.これがあるんで予冷完了なんかがわかるわけで..DBはともかくでもこういうツールを作ってのは、まったく仕事として認めてもらえない世の中だもんね.

2018-11-21 18:23:36
(⦿.̫⦿)✧ @ozawa64

@thgrace 研究室レベルになると各自自作ということもありますが、大学のレポート課題としてはちと重いですもんね。アメリカは便利なツールを自前で作って配布する文化は尊敬できます。知人のアメリカ人留学生も規模は小さいですけどそんなことしてました。

2018-11-21 18:29:41
(⦿.̫⦿)✧ @ozawa64

@thgrace それにしたって、thermo.inpに相当するものを日本の学術機関が作れない、というのは科学技術立国として情けない話です。

2018-11-21 18:30:04
thgrace @thgrace

まあそこはプロフェッショナルの価値を認めないお国柄、たとえば図書館を喫茶店にしたり、司書はアルバイト、昔はいた大学の技官をなくす、と根は同じ.ツールを整備したり使いやすくしたりするようなことは、二級以下の仕事って見下してるからなんですよね. twitter.com/ozawa64/status…

2018-11-21 19:26:49
thgrace @thgrace

@Galacticcccc Gordon & McBrideさんの、ほぼ一生にわたる献身があってのCEA.McBrideさん(女性)は48年です.「ドリーム」とか@ayano_kova さんの「ロケットガールの誕生」で描かれてももおかしくないくらい.このくらいの人柱がいないと、整備し続けられないんですよ.そういうプロを認める力量があるか?我々に.

2018-11-21 19:33:35
thgrace @thgrace

これ、正直言って「ガガーリン」より良かったです、はい.愚息と興奮しまくりでした.「とうさん、見て、RD-107のバーニアが動いてるよ!」 twitter.com/RASENJIN/statu…

2018-11-21 19:38:08
Хаями🍥Расэндзин @RASENJIN

『スペースウォーカー』、レオーノフの英雄物語かと思いきや、とてもしっとりしたバディものです。レオーノフ御本人が徹底して監修しただけのことはある丁寧な映画。とてもお勧めなので、是非に是非に! 劇場未公開なのが惜しまれますよ。

2018-11-21 19:24:06
thgrace @thgrace

CEAは、Lewis(Glenn)の推進系研究部門の輝かしい歴史と同じくしています.だから、これは想像ですけど、上層が何を言おうがLewisはプライドにかけてリリースし続けるつもりではないかと...(CEAサイトの最終更新は、USonlyになった2年後だったりするw)

2018-11-21 19:56:10
thgrace @thgrace

ざーっとNASA CEAの遍歴を訳してみました.grc.nasa.gov/www/CEAWeb/ みんなCEAのhistoryのところはスキップしちゃうだろうから.#NASA_CEA

2018-11-21 21:36:52
thgrace @thgrace

CEA、PAC、CAPコード開発の舞台裏 40年代の末、NACA Lewis Flight Propulsion Labaratoryのなかにあった小さなRocket部門は、可能性のある多種多様な推進薬のロケット性能を見積もるという責務があった.この部門のうちに部門は試験的な結果を、もう一つの部門は理論性能を取り扱っていた.#NASA_CEA

2018-11-21 21:37:28
thgrace @thgrace

ロケットの理論性能を見積もるには、二つの問題があった.一つ目の問題は分子の分解を仮定した場合の化学平衡組成を求める数値計算手法を得ることであった.つまり、たくさんの非線形方程式群を解くことを意味する.二つ目の問題は、各種燃焼生成物の適切な熱力学データを得ることであった.#NASA_CEA

2018-11-21 21:38:07
thgrace @thgrace

多様な化学領域向けとして熱力学データは文献上にあったが、しかしロケット燃焼向けには温度範囲が低すぎた.そのうえロケットで必要とされる反応生成物の熱力学データが存在しないとかあっても古すぎて使えなかった.#NASA_CEA

2018-11-21 21:38:30
thgrace @thgrace

ロケット部門の理論性能セクションには設立時二人しかいなかった: Vearl N..HuffとVirgina E. Morrellである.初期には特定の反応系に対する数値計算法を構築していた.1948年、汎用に使える化学平衡計算手法を提示したBrinkleyの論文(1947)に基き、Huffはより一般的な手法を開発し始めた.#NASA_CEA

2018-11-21 21:39:01
thgrace @thgrace

このような手法の数値計算を行って、Huffを助けていたのがMorrellである.Stanford Gordonは1948年後半NACA Lewisに入り、HuffとMorrellとともにロケットの理論性能を予測するための数値計算手法の開発と、その計算に必要となる包括的な熱力学データベースの構築を始めた.#NASA_CEA

2018-11-21 21:39:18
thgrace @thgrace

Huff and Morrellの1950年の論文は、大量の反応物質が見込まれる問題向けに、エンタルピもしくはエントロピが規定された場合に反応生成物の温度と平衡組成を計算する汎用手法をについて述べている.#NASA_CEA

2018-11-21 21:39:49
thgrace @thgrace

おなじくHuff and Gordon (1950)は、300から6000Kの温度範囲における42種の熱力学データ関数テーブルを、NACAによる見積りや当時存在した多様な文献、リソース中のデータをもとにまとめた.これらの結果はまとめられ、アップデートされてNACA Report 1037 (1951)となった.#NASA_CEA

2018-11-21 21:40:14
thgrace @thgrace

NACA Report 1037 (1951)、これこそが、のちにCEA、PACそしてCAPとなるものだった.#NASA_CEA

2018-11-21 21:40:38
thgrace @thgrace

Frank J. Zeleznikは学位論文をまとめつつ、1955年Lewisの夏季インターンとして働き始めた.そして1957年正規職員となる.ZeleznikはまずHuff、Morrell、Gordonをとともにロケット性能と化学平衡組成軽さののためのLeiws手法の改良にとりくみ...#NASA_CEA

2018-11-21 21:41:04
thgrace @thgrace

...1957年にはIBM 650で使える最初のLewisコードの構築を助けた (1959年論文).ZeleznikはGordonとともに、最小二乗法を駆使して熱力学データを実験式に落とし込む作業を行った (1961年論文).#NASA_CEA

2018-11-21 21:41:30
thgrace @thgrace

これをデトネーションやロケット計算に適用(1962年a,b論文)、複雑な化学反応系計算のための各種数学手法と比較した(1960、1968年論文).IBM 704と7090向け、ロケット性能とC-JデトネーションのためのLewis化学平衡コードは1962年発表されている(1962年論文).#NASA_CEA

2018-11-21 21:41:48
thgrace @thgrace

このコードはBrinkley-Huff反復手法(NACA TR 1037)の改良法を使い、初期の組成の予測や、質量バランス、反復中の特別な平衡条件などを与えずに化学計算ができるようになっていた.これが広く使われるようになったLewis化学平衡コードの始まりである.#NASA_CEA

2018-11-21 21:42:04
thgrace @thgrace

Bonnie J. McBrideは1957年からLewisに入り、ロケット性能と化学平衡組成計算のためのLewisコードで必要となる熱力学データの構築を行った(1961年論文).理想気体種の内部分配関数(internal partition function..)をもとめるための手法に対して検討を行った論文を1963年に発表している.#NASA_CEA

2018-11-21 21:42:48
thgrace @thgrace

McBrideとGordonは熱力学データのfittingと計算用のコンピュータコードを、PAC1 (Properites and Coefficients 1)というFORTRAN IVコードにまとめた(1967年論文).McBrideは1960年代半ばのLewis化学平衡コードを、FOTRAN IVへと改変している(1971、1976年論文).#NASA_CEA

2018-11-21 21:43:06
thgrace @thgrace

この書き換えられたコードはCEC71 (Chemical Equilibrium Code for 1971) と呼ばれ、広く使われた.このコードではGibbs関数を最小化するよにして平衡組成を計算する反復式が使用されている.#NASA_CEA

2018-11-21 21:43:29
thgrace @thgrace

平衡組成を求めるNASA Glenn手法(つまり既存のCEA)はWhiteらが開発(1958年論文)、Zeleznkiらが生成した(1960年論文)この手法を、さらに手を加えたものを使用している.#NASA_CEA

2018-11-21 21:43:43
thgrace @thgrace

GordonとMcBrideはその後もCEAコード、熱力学データベスに関連コードのアップデートを続けた.かれらが開発しつづけたコードとデータベースは2000以上も頒布され、aerodyanamicsやthermodyamicsの領域の開発において今も用いられている.(おわり #NASA_CEA

2018-11-21 21:44:09