貨幣乗数理論という完全なる虚妄

貨幣乗数メカニズムは、流麗で尤もらしいが、現実の経済・金融システムとは全く無関係な空論である。 貨幣乗数メカニズムは一度たりとも実在したことはなく、したがって貨幣乗数が「復活」することもない。
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

さて、公開市場操作で短期金利2%へ誘導するケースに戻るが、既に論じたように、この場合、中央銀行が売買する(短期)国債の金利が政策金利(2%)より有意に高ければ、銀行はインターバンク市場への融通よりも国債購入を選好し、短期金利は上昇してしまう。

2018-12-13 17:06:06
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

したがって、中央銀行が(短期)国債売買を通じて短期金利を政策金利(2%)に誘導するという事は、裁定的に、(短期)国債金利を政策金利近傍に収斂させることになる。 つまり、政策金利誘導は、国債金利(国債価格)の特定値への誘導と同じことになるわけだ。

2018-12-13 17:07:57
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

国債金利(国債価格)を特定値に誘導するということは、中央銀行が、特定価格での国債の現金交換を保証するということと事実上同義となる。 銀行から見れば国債は、設定されている政策金利に応じて、随時、一定価格で準備預金と交換可能な資産ということになる。

2018-12-13 17:10:37
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

加えて、銀行が国債を事実上の固定価格で売却することの機会コストは、国債金利(≒政策金利)であり、これは銀行が付利のある準備預金をインターバンク市場融資に回すことの機会費用(=準備預金付利=政策金利)と同値である。 このことから、有利子国債と付利のある準備預金は等価なのだ。

2018-12-13 17:12:36
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

余談が長くなったが、この余談も、貨幣乗数理論の誤りを別の角度から描出するものにはなる。 準備預金量のみに誤ったフォーカスを向けてしまう貨幣乗数理論の考え方では、上述したような準備預金-政策金利-国債の運動を、ほぼ全く理解できないであろうからだ。

2018-12-13 17:15:09