競技ディベートの賛成反対はくじ引きで決まる、「意見の違う」人の視点で考えるトレーニング

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Rootport🧬 @rootport

アメリカではごく普通の「芸能人が支持政党を明かすこと」が日本では珍しく、「沖縄の海を守ろう」と言っただけで炎上するのは、たぶん日本人が「違う意見を持つ人」を恐れるから。なぜ意見の相違を恐れるかと言えば、それをすり合わせる技術を「飲みニケーション」以外に持っていないから、だと思う。

2019-01-01 22:31:53
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俺は学生時代に英語の競技ディベートで遊んでいた。競技ディベでは賛成反対の立場はくじ引きで決まる。つまり、たとえば自分は死刑反対派であっても、死刑存続派として議論を組み立てて、反対派を論破しなければならない。「意見の違う人」の視点に立って考えるうえで、あれ以上のトレーニングはない。

2019-01-01 22:43:21
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「意見の違う人」の視点に立って考えるということは、つまり、「意見が違うのは相手がバカだからではなく、その人なりの考えがあるからなのだ」と理解することに繋がる。この世界には「純然たるバカ」は意外と少ない。意見の違いは、大抵、思考のバックボーンの違いを反映しているにすぎない。

2019-01-01 22:43:39
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「意見の相違」が生じるのは、相手がバカだからではない。人生の中で重要視するもの――つまり価値観――や、議論の出発点とする知識のパッケージに違いがあるからだ。相手の知識不足を笑うことはできない。相手は同様に、あなたの知らないことを知っているのかもしれない。

2019-01-01 22:47:16
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人間の知能指数は過去100年間で上がり続けており、現在の基準で測ると1910年代の人々はIQ50~70くらいになってしまう(※フリン効果)。現代を生きる私たちの知能には、そんなにバラツキはない。少なくとも、100年前の人と現代人との差よりは、現代人同士の知能の差は小さいと考えていい。はずだ。

2019-01-01 22:52:17
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似たような知能を持っているはずなのに、違う結論に至ってしまう――意見の相違が生まれてしまう。それを「相手がバカだから」と片付けるのは短絡的すぎる。たとえ共感はできなくても、理解できるはずなのだ。意見の相違が生まれた原因を。世界観・価値観の違いを。私たちは100年前よりも賢いのだから。

2019-01-01 22:55:24
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伝え聞くところによると、アメリカでは小学校のうちからディベートを鍛えられるらしい。それが本当なら、「意見の違う人」との接し方を叩き込まれていることになる。意見をすり合わせる方法や、違いを認めて(ときには上手く無視して)何とかやっていく方法を、学んでいることになる。

2019-01-01 22:57:41
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そういう環境で育ったら、意見の違いに恐怖を感じることはないだろう。怒りやもどかしさを感じることはあっても、恐怖のあまり「意見の違いなどない」かのようにふるまうことはないだろう。人間は遺伝的均質性の高い動物だ。けれど、それでも個人差がある。育ちも文化も違う。意見は違って当然なのだ。

2019-01-01 23:01:01
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俺は「多様性は大事だ」と思っている。けれど、日本人の多くはこの言葉の後に「君もそう思うよね?」と続けてしまう。俺はそんなセリフは言わない。「多様性は大事ではない」という意見を殺すという点で、多様性を大事だと考える自分の信念を歪めることになるからだ。心の中は、何を考えても自由だ。

2019-01-01 23:06:31
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「多様性など要らない」いい意見だ。「日本人は世界一の民族だ」俺もそう思う。「○○人は害悪だ」心の中で思うだけなら何も悪くない。心の自由は誰にも侵せない。自分なりの考えを持つことは、何も考えずに生きるよりも5000兆倍素晴らしい。生物と同様、ミームが進化する上でも多様性は大事だ。

2019-01-01 23:15:01
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ただ、ちょっとイジワルなことを言うと…私たちはすでに特定の本を持っているだけで逮捕されたり、集会するだけで戦車に取り囲まれたりしない社会に馴染みすぎている。すでにかなりの多様性が認められた社会で、今さら「多様性など要らない」というミームが広まるのは極めて困難ではないか、とは思う。

2019-01-01 23:18:35