「なぜ『山月記』なのだろう」新井紀子先生の国語教育への提言

新井女史は何を批判したのか?
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新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

いいえ、そのような勉強が必要だなどと主張していません。 むしろ「李徴のキャラクターを文章全体から捉える」ような読み方では、こうしたストーリー性重視の文章以外の、ファクトについて淡々と書かれた文章を読めるようなスキルが身につかないことこそが問題だと考えています。だから山月記でした。 twitter.com/gorotaku/statu…

2019-02-01 19:20:51
アニ @gorotaku

@noricoco 『山月記』を読んでもあらすじを覚えているだけでは不十分で、「狷介」等の表現を必死で覚えるような勉強が必要だ、ということでしょうか?私は、例えば「狷介」が自分の語彙とならなくとも、李徴のキャラクターを文章全体から捉える読み方ができれば高校生には十分ではないか、と思いますが。

2019-02-01 19:15:09
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

@gorotaku まずは、「ファクトについて淡々と書かれた文章を正確に読めるようなスキルを身に付ける」こと「も」、国語のスキルとして相当に重要である、むしろ、そちらの方が文学鑑賞よりも重要かもしれない、ということを先に認めていただけますか?

2019-02-01 19:34:08
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

RSTの結果から、中高校生にとってもっとも困難な読みが「定義を読む」ということであることがはっきりとわかっています。新しい語彙の獲得、つまり定義は、辞書または理数系の教科書に頻出します。そして辞書から新しい語彙を獲得する能力と理数系の語彙獲得能力の相関はそれほど高くありません。 twitter.com/gorotaku/statu…

2019-02-01 19:59:36
アニ @gorotaku

@noricoco 単独ツイートにも書きましたが、「ファクトについて淡々と書かれた文章を正確に読めるようなスキルを身に付ける」ことは極めて重要だと考えております。ですがそれと文学鑑賞の重要度が比較できるとは思いませんし、「正確な読み」と「文学鑑賞」が相互排他的であるとも考えません。

2019-02-01 19:40:40
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

理数系の定義というのは、たとえば、「偶数とは2で割り切れる整数である」という形式をしています。0が偶数かどうかを判定するには、当然、2で割り切れるか、そして整数か、をチェックすればよいのですが、それができない生徒は大変多いです。定義の複雑度が増せば増すほどできなくなります。

2019-02-01 20:04:13
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

そのような生徒の多くが、ストーリー性やキャラクター性が明確で「全体をざっくりと読めて共感できるもの」以外のものは、50字程度の定義であっても苦痛でなかなか正確に読み通せない、という現実をわかっていただけますか?

2019-02-01 20:10:46
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

本来は無味乾燥に見えるファクトに関する淡々とした長文を、読めないと本人が困る段階なんです。高校2年生は。 でも現実はline-by-lineに読むことを「無味乾燥」に感じる以上に、まったく受け付けないような状態になっていて、あとは「がっと暗記して、試験でばっと出力して忘れる」ような状態が多い。

2019-02-01 20:28:54
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

その状況であっても、「山月記」は(先生が筋書きを教えてくれたら)読めた気持ちになり、大好きになれる作品かと思います。トカトントンと違って救いがあるし。虎、なんだかんだいってカッコいいですし。種明かししてくれる先生もカッコいい。 でも、それで「自分は、読める」は本人が一番困ると思う

2019-02-01 20:34:51
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

@gorotaku 加えて言うと、教員の側もそのことをよく知っています。そのうえで、なぜ山月記なのかというと、「このままでは、第一流の作品となるのには、どこか(非常に微妙な点において)欠けるところがあるのではないか」の「欠けているところとは何か」という設問を作りやすいからです。

2019-02-01 20:49:50
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

学校基本法には、小学校の項で学校で学ぶ科目についての位置付けが書かれています。こくごはその筆頭ですが、それとは別に「生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸等について、基礎的な理解と技能を養うこと。」とあります。文芸は学校ではこの位置付けであることを確認させてください。

2019-02-02 08:13:47
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

国語(小学校)は勿論筆頭に挙げられており、内容は「日常生活に必要な国語を、正しく理解し、使用する能力を養うこと」です。 今回、文科省は高校の指導要領で文学国語と論理国語を分けました。私は国語の中で一体に教えてもいいのではないか、と当初思っていました。

2019-02-02 08:18:51
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

けれども今回議論をしてみて、分けなければどうしようもなかったんだな…という事情もわかりました。 文科省から、法律上「文芸イコール国語ではない」と説得したにもかかわらず折り合えなかったのかと思います。

2019-02-02 08:23:00
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

文芸は本来、音楽と同じ時間数で取り扱うべきかと思います。そして、音楽も文芸も、生活を豊かにするという意味で、時間数の中で題材をお選びいただけば良いかと思います。

2019-02-02 08:25:20
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

論理国語では、日常生活、成人する高校生には勿論契約行為も含まれるわけですので、そうしたものを扱うのが法律が予定していたそもそもの運用だったのだと思います。

2019-02-02 08:28:03
新井紀子/ Noriko Arai @noricoco

そして、理数系の定義を定義通りに読める力も、箇条書きをどう書けば良いかも、中高生にとって大事な国語の力です。でないと、進路の半分以上が消えてしまうからです。論理国語で是非扱ってほしいです。

2019-02-02 08:36:28