尾上先生の勉強風景 (18) ボイヤー『神はなぜいるのか』

尾上先生がダーウィンのフォース(略)
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尾上正人 @9w9w9w92

「変則や標準的結びつきよりも存在論的違反のほうがよく思い出せるという、記憶の効果は、超自然的概念の核心には変則ではなく存在論的違反がある、という人類学的観察を説明するように思われる」109頁 なるほどぉ!

2019-03-06 12:32:34
尾上正人 @9w9w9w92

「確かに、人類学者はこれまでずっと、宗教的概念の表面的細部の短期の変化と集団内の差異を報告してきた。こうした変化や差異は一般には、存在論的違反につけ加えられた表面的変則に限られ、決定的な違反は維持されたままである」110頁

2019-03-06 12:35:41
尾上正人 @9w9w9w92

「ひとつの違反と維持されている期待とを組み合わせた概念は、注意を引きつけ、豊かな推論を可能にし、おそらく認知的条件として最適である。違反は、期待という背景があってはじめて、注意を引きつけるものになる」116頁

2019-03-06 12:46:13
尾上正人 @9w9w9w92

J. バレットの実験…「神についての人々の考え——神がなにをどうするかを表象するために人々が用いる心的表象——が、尋ねられて答える時の答えとはまったく異なる…どんな人にも、『公式の』概念(聞かれた時に答えるもの)と『暗黙の』概念(はっきり自覚することなく用いているもの)の両方がある118-9

2019-03-06 13:24:31
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「要求されている課題に意識的なモニタリングが見込まれる場合には、私たちは神学的な概念を用い、課題が迅速なアクセスを要する場合には、擬人的な概念を用いる。…神学的概念が、文のような、明示的命題の形式…で貯蔵されている…自然な概念は、直観的心理学への直接的指示の形で貯蔵」119

2019-03-06 13:29:49
尾上正人 @9w9w9w92

「超自然的なものには、シリアスなものとそうでないものという、2つの種類がある。…ほとんどの社会には、多岐にわたる超自然的概念と、より限られた『シリアスな』超自然的概念の2種類が見られる。…シリアスな概念とシリアスでない概念は、起源に違いはない」120-1頁

2019-03-06 13:37:46
尾上正人 @9w9w9w92

「宗教的概念のほとんどの部分…は、意識の精査がおよばないところにある。なぜかと言えば、すべての概念を構成する部分の多くは、意識的なアクセスができないからである」125頁

2019-03-06 14:14:17
尾上正人 @9w9w9w92

「心とは、あらゆる種類の思考を生み出す複雑な生物学的機械である。…それらに合理的な理由などない。…心のなかのシステムは複雑であり、その連絡も複雑である。この複雑さの中身こそ、なぜ人が宗教的概念をもっているかを理解する上で決定的に重要である」126頁

2019-03-06 14:21:22
尾上正人 @9w9w9w92

F. カイルの本質主義…「子どもも、おとなも、生き物の種…をふつうは本質の点から理解している。…とり去ることのできない、種全体の特徴である内的属性(もしくは属性の集合)をもっていると仮定されている。…その『本質』がなにかという表象をもたなくても、この仮定をもつことができる」143頁

2019-03-06 14:41:57
尾上正人 @9w9w9w92

「私たちは、まわりにあるモノがさまざまのクラスに属し、それぞれそれらがなんであるかを説明する『隠れた』特性(それらが動物なら本質、行為者なら目標)をもっている、と仮定せずにはおれない」147頁

2019-03-06 14:49:39
尾上正人 @9w9w9w92

「[情報の入力・出力からの]切り離しは、外的表象を作り出すという、人間のもうひとつの普遍的な能力にとっても必要である。…『いま・ここ』を超えて推論ができることは、確かに有用である。しかし、これがはたらくのは。そうした推論がきっちりした制約の下でなされた時に限られる」170頁

2019-03-06 15:42:46
尾上正人 @9w9w9w92

「超自然的概念は、表象を切り離せるという人間の能力のひとつの産物にすぎない。…脳には、多くの専門化した推論システムが備わっており、かつそれらが切り離された形でも機能するという事実から、なぜ世界中の人々が明確な適応的価値をもたない多くの活動を行なうのかを説明できるかもしれない」171

2019-03-06 15:49:05
尾上正人 @9w9w9w92

バレット実験…「全知全能の神という『神学的に正しい』概念をもっていても、人にとっては、物理的プロセスや生物学的プロセスをもとに戻したり変えたりするよりも、人間の心を変えるほうが容易だという、直観的な期待のほうを用いる…人々が神を、彼らと相互作用する人間のような存在として表象」184

2019-03-06 16:51:27
尾上正人 @9w9w9w92

ヴォルテール「もしゴキブリが神の概念をもったら、神を巨大で力のあるゴキブリとして思い描くだろう」185頁

2019-03-06 17:42:11
尾上正人 @9w9w9w92

「ガスリーは…擬人化の傾向が私たちの認知システムのはたらきの結果であって、私たちの好みや、世界をああよりもこう描きたいといった願望とはほとんど関係がないと論じている。彼の答えでは、なぜ私たちが人間に似た存在を思い浮かべるかと言えば、人間がほかの存在よりも複雑だからである」186頁

2019-03-06 17:51:38
尾上正人 @9w9w9w92

「神や霊の概念は、人間の行為者だけでなく、行為者全般(人間や動物、そして目標に向けて自分で動くように見えるどんな存在にもある抽象的性質)についての私たちの直観的概念によって構成されている可能性がきわめて高い」187頁

2019-03-06 18:16:38
尾上正人 @9w9w9w92

バレット説「第1に…人々は、超自然的行為者がどういうものかをイメージするというよりも、さまざまの状況のなかでそれらの存在の痕跡を検出する。…第2に、私たちの行為者検出システムは、ほかの解釈…が同様にありうる場合でも、『結論に飛びつく』…性質がある」188頁

2019-03-06 18:24:45
尾上正人 @9w9w9w92

バレット説「なぜ神や霊といった行為者の概念がこれほど自然なのか…この『自然さ』は、私たちの行為者検出システムには過剰検出の傾向があるという事実似由来する」188頁 続いて宗教の進化的議論ではおなじみの、第一種過誤(偽陽性)の話

2019-03-06 18:35:17
尾上正人 @9w9w9w92

「考古学者のスティーヴン・マイズン[ミズン]によると…現代人は進化により相手の心を読むことが巧みになっただけでなく、祖先がそうであった以上に、ほかの動物の心の状態がよくわかるようになっている。…捕食[される危機]は、私たちの直観的心理学がはたらく中心的文脈のひとつをなす」189頁

2019-03-06 18:41:45
尾上正人 @9w9w9w92

「ほかの行為者と作用し合うこと…は、社会的心…を必要とする。これが決定的に重要だというのは、社会的心のシステムが、人間どうしの間に決定的な違いを生み出すだけでなく、超自然的行為者と人間との間に大きな類似性を生み出すシステムでもあるからだ」195頁

2019-03-06 19:06:34
尾上正人 @9w9w9w92

「もし人々が神や霊を自分たちと相互作用する行為者とみなしているのなら、ほかの行為者との相互作用を司る認知システムが、こうした超自然的行為者との相互作用でもはたらくはずだ…それによって、超自然的行為者のような目に見えない存在との相互作用がきわめて自然なものになる」202頁

2019-03-06 20:22:01
尾上正人 @9w9w9w92

「自然に仮定されているのは、自分たち自身はその特定の状況についてのあらゆる戦略的情報を知ることはできないが、超自然的行為者はそれができるということである。興味深い極端なケースは、全知の神の概念である」205頁

2019-03-06 20:29:38
尾上正人 @9w9w9w92

「人々は神や霊を発明するのではない。人々は情報を受けとり、その情報がそういった概念を作り出させるのだ。…そのような心のシステムが関連性によって作動する」209頁 前著で出てきたrelevance

2019-03-07 02:11:28
尾上正人 @9w9w9w92

「関連性は最初に、言語コミュニケーションの研究において、ダン・スペルベルとディアドラ・ウィルソンによって提唱された考え方だったが、文化的獲得の記述においてもきわめて有用な道具を提供する」211頁

2019-03-07 02:16:08
尾上正人 @9w9w9w92

「文化的伝達が関連性を介して行なわれる…私たちがいまあるような文化的概念をもっているのは、それらの概念が合理的であるとか、役に立つからではなくて、私たちの脳の編成のされ方が、それらを作り上げずにはいられないからである」213頁

2019-03-07 02:20:26