【シナリオ】スライム娘①

スライム娘の話
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@akuochiken

敵組織に攫われたヒロイン。主人公の前に再び現れ、不敵な笑みを浮かべる女幹部に対して、主人公は「彼女をどこにやった」と激昂する。 「あら、彼女なら無事よ。なんなら、あなたに彼女の元気な姿を見せようと思っていたところよ」 彼女は徐に上着のボタンを外し、自らの胸元を見せつける。

2019-03-14 20:50:16
@akuochiken

顕わになった豊満な胸と、白い肌。 その肌がどんどんと透明に透き通り、徐々に彼女の身体の内側が見えるようになっていく。 彼女の正体は、全身を自由に液体化できるスライム娘。 そして、スライム娘のコアと呼ばれる球体が、彼女の透き通る胸の中に、2つ。 彼女は右手をその胸の中に突き入れる。

2019-03-14 20:53:28
@akuochiken

「これ、なんだと思う?」 自らの胸から球体のひとつを取り出し、手のひらに乗せて身体の前面に掲げる彼女。 その球体は未だ粘り気のある液体に包まれ、じわりじわりと液体を滴らせていた。 通常、スライム娘のコアはひとつ。それは彼女の透明になった胸の中に生き生きと存在し続けている。

2019-03-14 20:56:47
@akuochiken

「……鈍いのね、あなたも」 彼女はそう吐き捨てると、そっとその手のひらを傾け、ゆっくりと球体を地面へと落としていく。 まるで、卵を割った後の黄身が、白身にまみれてゆっくりと落下するように、その球体は彼女の液体にまみれてゆっくりと地面へと粘り落ちる。

2019-03-14 21:00:26
@akuochiken

彼女の右手は、いつしか大量の液体に包まれていた。 彼女の右手が液体化しているのではなく、彼女の全身から集められた彼女を構成する液体が、右手を伝ってどんどんと球体へと注がれていく。 ゆっくり、ゆっくりと、クリームが何層にも折り畳まれていくように、地面へと落ちた球体へ積み重なっていく。

2019-03-14 21:02:11
@akuochiken

やがて液体が地面に直立するようにして生物を形作っていく。 ゆっくり、ゆっくりとその球体をコアとして、新しい生物が彼女の手によって生み出されていく。 それは、人間の少女の姿。 液体がコアを包み込み、頭部を、首を、肩を、腕を、手を、胸を、腹部を、股間部を、脚を、足の先まで固まっていく。

2019-03-14 21:04:30
@akuochiken

だが、目の前に形成されつつある少女の姿をした液体は、彼女の方を向いているため、その顔、表情を伺うことはできない。 「まさか……」 彼がなにかに気が付いたかのように怪訝な声を上げる。 それと同時に彼女も次の言葉を発した。 「いい子ね、きちんと自分の身体を作れたじゃない。ほら、彼に挨拶」

2019-03-14 21:07:22
@akuochiken

少々前傾姿勢である少女は、そのままぐるりと身体の向きを彼の方へと変える。 そして向き終わると同時に顔を少しだけ彼の方へと上げた。 液体で構成された髪の毛が激しく揺れ、その衝撃とともに彼女の顔の表面も艶かしく振動した。 「あ、は」 そこには彼の追い求めていた少女の姿があった。

2019-03-14 21:10:33
@akuochiken

眼の前の女幹部の身体の一部分が変化している液体と同じ色で構成された、少女の形をしたスライム状の物体。 先程地面へと落とされた球体をコアとしたスライム娘が目の前に出現していた。 「彼女は私の娘になったのよ。私のかわいい娘。肌身離さず、私の中からも出したくないくらい」

2019-03-14 21:13:57
@akuochiken

彼女はゆっくりと腕組みをする。 未だ粘液にまみれた右手と、それと同じ物質で構成された胸元と、その奥に眠る自らのコアを見せつけながら、不遜な態度で構えていた。 「でも、それじゃああなたが寂しい思いをしてるかなって思って、連れてきたのよ。私の中から彼女を出すのは特別、あなただから」

2019-03-14 21:16:53
@akuochiken

その直後、鈍い音と鋭い音が同時にして、彼女の右肩から胸にかけてが大きくえぐれてしまっていた。 「ふ……ふふ……ここまでは想定済み。あなたなら目の前のこの子には手を出さずに私だけを狙ってくると。でも、攻撃が浅いわ。そんなのでは私のコアには触れられない」

2019-03-14 21:23:57
@akuochiken

だが、ダメージを受けた影響か、傷口から徐々に液体化していくのが見えた。 「でも、あなたの攻撃、結構効いてるみたいね。結構ピンチかも。だから……」 言葉を言い終わらない内に、またたく間に全身が液体となって地面へと溶け出す彼女。 そしてその液体は、目の前にいた少女と“合流”していく。

2019-03-14 21:27:31
@akuochiken

「あっ……んっ……」 未だ覚醒が不十分であった少女は、言葉にならない声を上げていく。 それと同時に、彼女の液体が合流することでどんどんと少女の体型が変わっていく。 ゴムチューブに一気に大量の水を流すと、のたうち回って脈動するように、少女の身体が激しく作り変えられていく。

2019-03-14 21:31:40
@akuochiken

全身が激しく脈動する中、彼女のコアは少女の足元から彼女の身体の中に勢いよく侵入し、脚を伝って一気に体内を駆け上がり、少女のコアと同じ場所へと辿り着いた。 それまでの脈動の激しさが嘘のようにピタリと変化が止まる。 変化の終わりと同時に、ぷるん、と少女の全身が揺れる。

2019-03-14 21:36:37
@akuochiken

いや、もはやそこにいるのは少女ではなく、少女が成長したかのような容姿をした、美しい大人の女性。 彼女は目の前に垂れ下がった液体状の髪の毛を勢いよくかき上げ、その端正な顔を彼へと向けた。 同時に、液体状だった彼女の身体が固体へと引き締まっていく。

2019-03-14 21:38:36
@akuochiken

彼女の全身が人間の白い肌で覆い尽くされたかと思うと、その肌の上に彼女の服まで形成されていた。 瞬時に形成された服を着た彼女の姿は、まさに敵組織に攫われる前の彼女の姿と全く同じ。 彼女が成長したならば、こんな魅力的な女性になるのであろうという出で立ちでそこに君臨していた。

2019-03-14 21:40:21
@akuochiken

ゆっくりと彼女が両腕を広げる。 「この姿ならあなたは手を出せるかしら?」 その声は、確かに幹部と同じ声だった。 「確かに、この姿なら私は私ね、あなたは攻撃しやすいかもしれない。でも、ここに、私の胸の中にあなたの求める少女がいるのよ。それでもさっきみたいに私に手を出せるかしら?」

2019-03-14 21:44:13
@akuochiken

彼女の右手によって再び開かれた白い胸元は、彼女の右手が触れると同時に透明となって中身が見えていく。 そして胸の奥に存在する、2つの球体。 その片方は、まるで彼女の胸の中にいることを喜んでいるかのように、ぽわり、と微かに光を放って明滅していた。

2019-03-14 21:45:56