ギガベース日誌 ほのぼの閑話納涼編「Uninformed」

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再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

レ級は扉横のボタンを押し、ドアの前に立つ。 置いて行かれた大和達も、少ししてエレベーター前の広間に到着した。 「キレたくなるのもわかるけど先に行くなって。にしても、目撃多発地点だってのに蛇の一匹も出……」 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:03:33
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夜間灯の光を照り返し目立つレ級の病的に白くぬめる肌。その光沢が、一瞬の内に暗闇に消えた。大和と天龍と大鳳の眼前で、音もなく。 「嘘でしょ」 「レの字?!おいレの字ッ!何処行った?!おい!ふざけてないで出てき……」 「だずげでえええっ」 「うおぉあっ?!」 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:06:59
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消失地点まで辿り着いた天龍が目にしたのは、何故か中途半端に開いた扉の隙間から覗く底が見えぬエレベーターシャフトの縦穴と、扉のすぐ下の側壁に尻尾を突き刺しぶら下がるレ級の姿だった。 「エレベーター来てなくて、おっこちた」 「バカかお前は」 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:09:34
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大和と大鳳に支えられ、レ級を引き上げる天龍。 「大丈夫ですか、レ級さん」 「妙ね。籠の部分が来てないのに扉が半開きになってるなんて。この暗さじゃ足を滑らせて落ちるのも無理無いわ」 「言っとくけど俺が開けたんじゃねえぞお。最初から半開きになってたんだ」 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:13:22
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「銀蝿の次は内部設備の不具合ですか……一応報告しますか?」 「俺からやっておく。司令部、こちら天龍。カメラで見てたと思うが、第4エレベーターの扉が開きっぱなしになってた。レの字がボタンを押したけど上がってくる様子も無い。設備不調って事で知らせ」 「どこ?」 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:16:49
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「あぁ?だから第4エレベーターだっての。コジマプラントの近くの……」 「どこなの?」 「だから第4エレベーターだっつうの!プラントコントロールルームからちょっと奥行ったとこだよ!提督に続きお前まで寝ぼけてんのか?」 「そう」 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:18:33
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「みづげっっみみえみいいえみいいいつけたああそこそこそそそこにみいいいづっげだああぁあいぃいいみっぎっぎ」 「っ?!」 天龍は思わず通信機を取り落とす。 「どうした天龍。それより、エレベーター今更来たぞ。ちょっと不安だが乗って下層の方の確認に行くか?」 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:20:37
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呑気にエレベーターに近づこうとするレ級のパーカーを大和が掴み、天龍のいる位置までエレベーターから距離を取る。大鳳は無言でアヴェリンを扉に向けた。 「何すんだよ大和!」 「落ちついてください。司令部との連絡が取れなくなりました。おそらく、天龍さんの方も」 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:22:50
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「何?」 「それに、今更上がってくるなんて妙よ。警戒して然るべきだわ」 「……まさか、あのエレベーターの中に」 「何かしら、いたとして不思議ではありません。大和のレーダーは何も感知できていませんが」 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:24:22
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4隻の視線が集中する中、籠側の扉が開く。 赤く薄暗く照らされていたエレベーター前は、扉の隙間から漏れ出す一筋の光によってより鮮明に照らされていく。 その中心。光の筋の隙間から差し込まれた10本の指が、軋む扉を開こうとすべく張り付いた。 #ギガベース日誌

2019-03-08 02:27:31
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「おいおいおいおい何だアレ。めっちゃこっち見てんぞ!」 「いかにも過ぎて笑っちまうぜ。さっさと仕留めるぞ」 「向こうから出てきてくれるとは……蛮勇に満ちているようで」 貨物用エレベーターの扉の隙間から突き出た手は、花を模るように扉に張り付き、その隙間から眼光が覗く。 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:18:49
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天龍は前方の存在にブレードを向け呼び掛ける。 「一応確認しておく!ギガベースの乗員だったら今すぐ名前を名乗れ!違うんだったら……」 ”それ”の手が掴む扉が、音を立てて歪み裂ける。その行為自体が、何よりわかりやすい返答であった。 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:19:51
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「らしいわよ。どうする?」 「少なくとも実体はあるようですね。なら、やる事は一つです」 大和は艤装を展開。携える黒鉄の巨砲を全て眼前の異常へと向ける。 「対霊障特化型特殊弾頭シペトテック、装填完了!全砲門、薙ぎ払えっ!!」 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:25:03
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発射された砲弾はエレベーターの扉を穿ち、爆炎ではなく大量のコーンスターチをぶちまける。遅延信管による2次爆発は粉塵への着火を引き起こし、大爆発がエレベーターを包んだ。 昇降する籠部分の残骸がシャフト内を落下し、底部に叩き付けられる。 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:27:34
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「うぉーすっげ!流石だなおい!奴さんエレベーターと一緒に落っこちてったぞ!!」 はしゃぎながらシャフトの底を除くレ級。下方で燃える昇降機部分の残骸を包む炎はシャフト内を煌々と照らし、破壊の大規模さを物語っていた。 「また落っこちるぞ馬鹿。奴はどうなった?」 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:28:33
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「レ級、何か見えないの?幽霊相手に言うのも変だけど、まだ生きてるかもしれないわ」 「全うな生き物だったらあれでほぼ死んでると思うがな、どれどれ……」 再度本部への連絡を試みる天龍。しかし、通信機は単調なノイズを返すのみであった。 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:30:51
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シャフトの底へ意識を集中させたレ級は、燃える炎の中で動く何かを捉える。 瓦礫の上に立つ黒い人影。炎を照明にして詳細な様相が判って然るべき筈だが、それの周囲は全ての光を殺す如くに黒ずみ、正確な観測を許さない。 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:34:01
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「あいつ元気そうに突っ立ってやがるぞ!よく見えねえがたぶんこっち睨んでる!」 「本当か」 「マジだって!見てみろ!」 天龍達を呼ぶ為、シャフトの底に視線を固定したまま後ろに手を伸ばし招くレ級。その両肩に、2人分の手の重みがかかる。 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:36:26
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「本当だ」 「だろ?次はどうする?降りて行って直接ぶちのめすか?」 「それより、赤城と加賀の場所を知らない?」 「あぁ?何言ってんだ寝ぼけたか?それよりさっさと……」 「ねぇ、赤城と加賀の場所を知らない?」 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:37:24
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「赤城と加賀の場所を知らない?」 「赤城と加賀の場所を知らない?」 「赤城と加賀の場所を知らない?」 「ねぇ赤城と加賀の場所を知らない?」 「探してるの」 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:38:52
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熱に解された蛋白質は、戻る方法など知りはしない。 何と混ざり合おうと、変わってしまったものは戻らない。 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:46:18
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「……!……!」 暗闇。閉所。息が詰まるようなその空間の中で、天龍は意識を取り戻した。 「な……んだこれ……俺は……」 身体を動かそうとすると、少し前に聞いた覚えのある独特の音が響く。 「ダクトか……?!俺……詰まって……オラアッ!!」 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:47:32
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比較的自由に動かせる足を全力で暗闇の中へ叩き付けると、破れた金属の隙間から光が漏れる。何度もその動作を反復させ自分を閉じ込める空間の1面を破壊した瞬間、天龍は廊下の床へと叩き付けられた。 「やっぱりダクトか……何だってんだ、クソが」 #ギガベース日誌

2019-03-10 03:48:11
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