ゴブリン殺しの英雄は倒れるが、その使命は女達に受け継がれる話

そうだ。ゴブリンは駆逐する。 たとえ、あの人が倒れようとも…必ず後を継ぐものがあらわれる!
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帽子男 @alkali_acid

ボルボはますます下衆な笑みを広げる。 「今のあんたはどうにも弱そうだ」 ”この…ゴブリンめ!!!” 糞毒の井戸に三つの品を落とすと、尻をまくって長々と脱糞してから、屁を一つこいて盗賊はその場を後にした。

2019-04-25 01:37:34
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 腐肉漁りの鴉の兄弟団のギザギは去った。 「ドラゴニアとクレセントの両方がうるさい。当分消える…それと、団の名前は枯骨齧りの鼠の姉妹団に変更だ。ついでにお前はクビだ」 なお王殺しの賞金は一銭たりとも分けてくれなかった。

2019-04-25 01:40:11
帽子男 @alkali_acid

三つ首の黄金竜ゴルディアは人間もどきの恰好でいるのが気に入ったらしく、おかげで以前に比べ暴れても被害は若干少なくなった。人化けの指輪と雌化の指輪は戻ってこない。体内に取り込まれてしまったようだ。

2019-04-25 01:42:00
帽子男 @alkali_acid

闇の国は荒れ果てたままだ。 玉座に腰かけ、覇権を再び打ち立てようなどと壮大な計画を立てる文化や文明を持った高尚な種族、つまり人間がいないせいだ。古き闇の力も糞溜めの底に沈んだことでもあるし。 ただ、異世へと通じる門だけは時々奇妙な光を放つ。 駱駝の屍の引く馬車がくぐったとか。

2019-04-25 01:45:12
帽子男 @alkali_acid

目で見て確かめた人間がいるはずもなし。 ともあれ荷車の中で、ゴブリンは盗品をあらためながら、にたりにたりとまた不快きわまる笑みを浮かべている。 「気持ちの悪いやつだ」 「ギヒヒ、人間に気持ちよくなられちゃゴブリンもおしまいだ」

2019-04-25 01:47:57
帽子男 @alkali_acid

銀髪の乙女が剣を抱きながらつぶやくのに、素早い返事。 「私は、その笑い方が嫌いとは言っていないがな」 「ギヒヒ。じゃああんたもだいぶ人間からはみ出してきたのさシルヴィ」 「ふん。口の減らんやつ」 「ギヒ。お互い様さ」

2019-04-25 01:49:18
帽子男 @alkali_acid

金髪金目の童女が幌を突き破って降りてくると、すぐ騎士にしがみつく。 「ゴルディア。こら。よさないか」 「ギヒ。相手してやんなよ。竜騎士様なんだからよ」 今度の取引でどうやって客をだましてやろうか考えながら、ゴブリンはうそぶく。

2019-04-25 01:51:46
帽子男 @alkali_acid

御者台から黒髪褐肌の豊満な美女が振り返って告げる。 「そろそろ野営地につきますけれど。ボルボさん、準備はよろしくて?」 「ギヒ。万端てとこだぜ。この硝子玉を売りつけてたっぷり」 「あらそっちではなくて」

2019-04-25 01:53:09
帽子男 @alkali_acid

剣豪は二両目の馬車、さらに後方に随伴する蜘蛛女や触手の童に流し目を送る。 「今夜の皆さんのお相手のことですけど」 「ギ?!ありゃもう終わったんじゃ」 「どうしてですの?」 「古き闇の力は…」 「あら…でもだって」

2019-04-25 01:54:55
帽子男 @alkali_acid

「ボルボさんはゴブリンですもの。私どもの相手をするのは当然でしょう?」 「ギイイイ!!!シルヴィ!おいなんとかし…」 ゴルディアを脱がせながら、シルヴィアはつんと唇を尖らせて告げる。 「しかたないだろうゴブリンなんだから」 「キシャアア!!」

2019-04-25 01:56:50
帽子男 @alkali_acid

「用意てきたアル?」 「今日は大きい姿でもいいってお姉さんが」 「ああ…大僧正様お許しください…これも修行のため」 「ぼ、る、ぼ」 「配当は等分であるべきだ」 いつのまにか馬車は止まり、さまざまな種族の雌があたりを囲む。

2019-04-25 01:58:45
帽子男 @alkali_acid

生まれついての強姦魔で強盗で殺人鬼でそのほか色々の権化であるゴブリンは、まあ得意の逃げ足をもってしてもどうしてみようもなかった。

2019-04-25 01:59:55
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