編集者に限らず、人間には二種類あるんです。誠実な人と、不誠実な人。あ、俺は不誠実に分類されてしまうという自覚があります。で、自覚があるからなにをしてもよいという奇妙な確信とモラル? もあります。
2019-05-18 16:31:22気がちいさいのでフォローしておきます。幻冬舎の最初の担当S君。俺に原稿を書かせたくて、俺がオートバイで暴走、じゃねえやツーリングに出ると耳に挟むと、必ず参加してくれました。富士五湖周辺のコーナーをかっ飛んだこと、いまも忘れられない。
2019-05-18 16:32:50それどころかS、このためにオートバイを買ってしまったのではないか? まあ、記憶が曖昧だからやめておく。が、その熱心さには俺のほうが罪悪感を覚えたよ。
2019-05-18 16:32:50次の担当者のS(またイニシャルSだ)は、〈眠り猫〉とか〈なで肩の狐〉といった俺の最初期の書籍をつくってくれた男。徳間書店から幻冬舎に移って梁石日の〈血と骨〉をつくった男。あたりまえのことだが、俺は幻冬舎の本をすべて否定しているわけではない。
2019-05-18 16:32:50問題は誠実であるかどうかといった個々人の資質に集約される。凄く癖がある男だが、いっしょに山奥の温泉行脚したりして愉しかったなあ。
2019-05-18 16:32:50でも、幻冬舎の仕事はしないと宣言した。担当者としては、たまったものじゃないよね。ほんとうに、ごめんなさい。けれど譲れない一線があるのです。これが俺のモラルなのです。たとえそのとき幻冬舎の仕事をしないせいで路頭に迷ったとしても、一向にかまわないのです。
2019-05-18 16:33:38自由業ってなんですか? 自由なんてかけらもないですよ。自由業の唯一の自由は、やりたくない会社や人との仕事を断る自由です。
2019-05-18 16:35:09俺は原稿料が発生するならどことでも仕事します。じつは編集者の人格も気にしません。要は原稿を読んであれこれ指摘してくれれば、つまりちゃんと編集者の仕事をしてくれるなら、それでいい。媒体も選びません。文學界とcobaltで同時に仕事をしていたこともあったし。
2019-05-18 16:35:09仕える事と書いて仕事。うわぁ、やっちまった。でも、ちゃんと小説の編集の仕事をするならば、人格なんてどうでもいいんだ。花村さん、ここんとこは冗長でしょう、ここ、つまんないですよ──そう言ってくれる人が、仕事をする人。
2019-05-18 16:35:1060もなかばになる爺さんが編集者に関するちいさな秘密を教えてあげます。貴方の小説を褒めちぎる人は、絶対に作品を読んでいません。その作品の傷を的確に指摘するためには、読まないとね。俺だって読んでなければ褒めちぎりますとも。抽象的な美辞麗句を並べて。人生、これ無難──。なんちゃって
2019-05-18 16:37:17だから、俺、見城さんも確信犯なら、それはそれで認めます。とことんやってください。俺の他人に対する見方は、自覚のあるなしだけです。無自覚は悪で無様です。あの放言は許せないけれど、それも幻冬舎とは仕事をしないという一線を引いてクリアしてますし。
2019-05-18 16:39:09ただひとつしょんぼりしてしまうのは、安倍をはじめとして(ちかごろは作家も、あるいは御社編集者も含めて)、なーんで日本語が不自由な奴とばかり付き合っているの? 阿部薫の本、けっこう愛読書だったのに──。梯子外された感じだ。
2019-05-18 16:41:09顰蹙を買うためにも言ってしまうけれど、俺が裏側の人たちと付き合っていたガキのころ、やたら日本と日本人を強調する人がけっこういて、でも、あとで嫌らしい奴が耳打ちしてくるわけだ。その人の国籍について。
2019-05-18 16:41:09日本、および日本人を強調せざるをえない人の気持ちはよくわかる。その人が日本人であろうが外国人であろうが。そのコンプレックスを克服するたったひとつの方法を教えよう。
2019-05-18 16:41:09日本語を学び直し、行間を読めるようになれ。右翼左翼を張るのは、それからだ。順番を間違えると巷にあふれている喜劇を貴方が演じることになる。
2019-05-18 16:41:10津原泰水との関係について書きます。もう十五年、ひょっとしたら二十年前?家が近所でした。で、訪ねてきました。電話とかもきました。手紙もきました。なんで俺のところに? という感じでよくわけがわからなかったけれど、近所のよしみ? 凄く細かくて面倒な奴でした。だから敬して遠ざけました。
2019-05-18 16:44:00俺は親切ではないので、付き合いたくない奴とは付き合いません。べつに友だちもいらないし。ただし、これだけは、はっきりさせておきます。凄く細かいということについてです。俺もかなり細かいんですよ。連載原稿の推敲や読み直し、十回じゃきかないからね。完全原稿をつくるつもりでやってます。
2019-05-18 16:44:00でもね、津原の細かさは、そんなもんじゃないのです。作品を読めばわかります。細部に対する粘着と執着。俺の細かさがドングリ程度だとすると、津原の細かさは素粒子レベルだ。これ、褒めてるんですよ。細かくない奴なんて、小説家じゃない。
2019-05-18 16:44:00ましてまともに検品しないで糸のほつれた服を平然とパッケージでごまかして売ってしまう出版社なんて出版社じゃない。金取ってんだから誤植、減らせよ、Wikiじゃねえんだからよ。
2019-05-18 16:44:00あ、また話がそれた。山周賞選考のときの〈天国への階段〉の誤植に怨み骨髄だからね。赤ボールペンもって校閲しながら読んだのって、はじめてのことだったのでね。選考のとき、久世光彦さんが『こんなもんを最終に残した編集者は誰だ!』って、怒鳴ってましたからね。
2019-05-18 16:44:01