【wlw二次創作SS】2人の「前歴持ち」
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manabuAschesama
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童話に興味を持ったプテル(停止中)
@manabuAschesama
「以前、ピノッキオの童話世界に落ちた謎の少年が報告されていたが、どうも知らぬ間に童話世界を跨いで、各地で居候しながら回っていたらしい」 童話世界は原則一冊の本だが、実は他所の本への道もあるらしくうっかり世界を跨いでしまい迷子になる者も時々いる。主にスカーレットとかスカーレットだ。
2019-06-23 00:03:15
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@manabuAschesama
「大変だったんだねジョーカー。でも元気そうで良かった」 再会を喜ぶジュゼにジョーカーと呼ばれた少年は笑みで返す。随分無口なヤツらしい。まるで選択肢でしか会話しなさそうなRPGの主人公のようだ。 「まあこうしてワンダーランドで保護できて良かった。これで元の世界へ送り返すことができる」
2019-06-23 00:04:48
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@manabuAschesama
「えっ？ヴィルヘルム、ジョーカー帰っちゃうの？」 「当然だ。元々、間違って迷い込んだワケだからな」 「待ってよ！闇の軍勢に備えてジョーカーにも一緒に戦ってもらうのってどうかな？」 「何を言ってる。この少年はキャストではない。寧ろテイルマスターのような現実世界側の人間に近い」
2019-06-23 00:06:35
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@manabuAschesama
「でもでも、童話世界を迷子になってる間、沢山の人を助けてたんでしょ？ボク、ジョーカーとも一緒に戦いたい！」 駄々をこね始めたジュゼにヴィルヘルムは困っている。私としてもキャストでない人間を巻き込むのはいただけない。 「仲間が増えるのは有難いが住む場所はどうする」 「ボクが養うよ！」
2019-06-23 00:08:17
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@manabuAschesama
「や、養うだって！？お前、ゼペット氏の看病があるだろ！」 「最近アルバイトで錫の新兵の家庭教師やってるから1人くらい大丈夫だよ！ねぇねぇ良いでしょ？」 いや、ジュゼが良くても四創聖たるヴィルヘルムが納得するわけない。 「……まあ、それも悪くないな 」 あ、あれ？
2019-06-23 00:09:48
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@manabuAschesama
まさかヴィルヘルムが許可を出すとは。私は再度確認する。 「ほ、本気なのか？」 「私は悪くないと思う。他の創聖へは私から説得しよう。勿論、そのジョーカー本人が合意すればの話ではあるが」 それを聞くとジュゼはジョーカーに向き直る。その顔はいつになく真剣だ。
2019-06-23 00:11:54
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@manabuAschesama
「ジョーカー、この世界は闇の軍勢って悪いヤツが童話世界と現実世界を消し去ろうとしてる。ボクらキャストはそれを止めるためにこうしてワンダーランドで訓練しながら戦ってるんだ。ジョーカーも手伝ってほしいんだ」 「……。」 ・俺も協力しよう ・悪いが帰らないと pic.twitter.com/9VJJ7aR36O
2019-06-23 00:13:05
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@manabuAschesama
「ジョーカーは正義の怪盗でしょ？お願い助けてよ。このままじゃワンダーランドもお父さんもラ・ファータさんも皆消えちゃう。そんなのイヤなんだ！」 「……あの牢屋で会ったあの時から随分変わったな、ジュゼ」 「ジョーカー？」 (し、喋った…！) (どうも饒舌と無口の差が激しい少年らしい…)
2019-06-23 00:16:15
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@manabuAschesama
「自分の事しか考えていなかったお前が他人を守る為に戦っているとは。あれからさぞ沢山の冒険で多くを学んだのだろうな」 「旅で出会った人達とジョーカーが教えてくれたんだよ」 「俺も共に戦おう。現実世界にも侵攻を企む敵が相手ならば心の怪盗団としても見過ごして帰るわけにはいかない」
2019-06-23 00:16:52
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@manabuAschesama
ま、まさかキャストでない人間が仲間になるとは…しかもその瞬間に立ち会ってしまった。 「やった！じゃあ早速うちに案内するね！」 「ん？ジュゼ、そういえばお前の家って随分なボロ屋じゃなかっか？居間とゼペット氏の作業場が同じだし」 「屋根裏が空いてるよ」 「屋根裏に泊める気だったのか！？」
2019-06-23 00:17:57
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@manabuAschesama
「仮にも客人に屋根裏はマズくないか？」 「ええ〜たしかに屋根裏のゴミ……じゃない、ゴミだらけの屋根裏だけど片付ければ住めるって」 「綺麗でもゴミでも屋根裏はないと言っている！」 「……！……！」 →俺はそれで構わない ・寧ろ居心地が良い ・屋根裏をバカにするな pic.twitter.com/PeimJZs74c
2019-06-23 00:20:26
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@manabuAschesama
「ええ…！なんというか、すまないな」 「なんでアシェンが謝るのさ。いいって言ってるからいいでしょ！これからよろしくね！」 「……。」 「あ、そうそう。あれから君にずっと言おうとしてたんだ」 「……？」 「あの時、励ましてくれてありがとね」 「……ああ」
2019-06-23 00:21:24
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@manabuAschesama
童話におけるピノッキオは最初はどうしようもない悪ガキだった。だがそんな彼女の冒険を助けたのはラ・ファータ一人ではない。作中でピノッキオは本当に沢山の善良な動物と出会い学んでいくのだ。 その中には強きを挫き弱きを助く正義の怪盗も…もしかすると居たのかもしれないな？【完】
2019-06-23 00:23:12
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@manabuAschesama
「しかしヴィルヘルム、どういう風の吹きまわしだ？寧ろアンタは反対する側だと思ったのだが」 「アシェン、あの少年は童話世界を放浪中に所謂、義賊的な行動を取りながら人々の為に戦っていたらしい」 「怪盗と言っていたからな」 「…待て、現実世界の人間が童話世界で戦った？それは有り得ない」
2019-06-23 00:24:30
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@manabuAschesama
「それが出来るのだ。奴の持つ『ペルソナ能力』ならな」 「仮面(ペルソナ)…？」 「恐らく心理学から取った固有名詞だろう。ごく一部の人間のみが宿せる『もう一人の自分』だそうだ。ジョーカーの話だと本来はメメントスという世界でしか使えない能力だがワンダーランドで使ってみたらできたらしい」
2019-06-23 00:26:08
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@manabuAschesama
「ヤツの持つペルソナの名はアルセーヌ」 「アルセーヌ…怪盗紳士アルセーヌ・ルパン！」 「ああ。フランスの伝承だがどうやらワンダーランドの魔力がそのアルセーヌ・ルパンと偶然にも相性が良く、戦う力をこちらの世界でも引き出せたようだ。それで玩具のナイフとモデルガンを強化して戦っている」
2019-06-23 00:27:48
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@manabuAschesama
「アルセーヌ・ルパンのキャストなのか？」 「いや、キャストともアナザーキャストとも違う。だがそれに限りなく近い性質をあのアルセーヌは持っているらしい。あの少年も本来は複数のペルソナを有しているらしいがここだとアルセーヌ以外は呼べなかったそうだ」 「ワンダーランドの魔力との適正、か」
2019-06-23 00:29:22
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@manabuAschesama
「……ヴィルヘルム、まさか」 「ペルソナ能力…現実世界の人間でありながらヴィランと戦う力。興味深い」 「呆れた男だ！ジョーカーを実験に使いたかったから滞在に乗り気だったのか！」 「そう言うな。自分のペルソナ能力からわざわざ力を貰って戦う。非効率的ではあるがそれでも未知の技術だ！」
2019-06-23 00:30:22
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@manabuAschesama
「何年かかるか分からないが研究次第では現実世界の人間とキャストが共に戦う事も不可能ではなくなるかもしれない」 「そ、それはまあ夢のある話かもしれないが…」 「こちとら慈善事業ではないのでな。世のため人のためワンダーランドのため、あの少年には協力してもらうぞ」 (これは…止められない)
2019-06-23 00:32:01
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@manabuAschesama
「さてジョーカー。居候先を確認したら早速私の研究室に来るように。怖い事も危ない事もしないからな！」 「……。(この人、何処かで聞いたことのある声だな)」 マッドサイエンティストを止める術のない無力な私は祈りながら立ち去った。ジョーカーが明日も五体満足で居ますように…【今度こそ完】
2019-06-23 00:33:17