アンド・ユー・ウィル・ノウ・ヒム・バイ・ザ・トレイル・オブ・ニンジャ #2
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!突進しながらアルマジロが叫ぶ!「このままノシモチめいて潰れた死体にしてくれる!それを鞣してカーペットにでも」「イヤーッ!」「……え?」
2011-05-18 01:02:12ニンジャスレイヤーの右腕は肩先まで、アルマジロの球体装甲に埋めこまれていた。踏み込みながらのチョップ突きは冷たい怒りを伴い、アルマジロの装甲を貫通。当然、中の人体にまで届いていた。「……グワーッ……?」
2011-05-18 01:04:48ニンジャスレイヤーは右腕を引きぬいた。「グ、グ、グワーッ!」アルマジロはたまらず変身を解いた。腹部に穴が開いている!身悶えしてタタミの上を痙攣しながらのたうちまわるアルマジロ。うつ伏せのその体をニンジャスレイヤーは馬乗りになって押さえつける。そして顎先へ後ろから手をかけた。
2011-05-18 01:10:23「内側に丸まるのは得意のようだな、アルマジロ=サン」「グワーッ?」「この際、逆向きに丸まるジツも覚えるがよかろう」「グ、グワーッ!?」ニンジャスレイヤーは顎にかけた両手に力を込め、無理矢理にアルマジロの体をエビ反りにしてゆく!ナムアミダブツ!キャメルクラッチめいた残虐な技だ!
2011-05-18 01:12:50「グワッアバッアバッババババーッ!助けアバーッ!」「……イヤーッ!」メキメキ、ミシミシと嫌な音が鳴る。背骨が逆向きに曲げられてゆく音だ。ニンジャスレイヤーは装甲につつまれたアルマジロの体を淡々と反らせてゆく。「アバババーッ!アバババババーッ!」
2011-05-18 01:15:53ゴウランガ!ニンジャスレイヤーの無色透明な憤怒の苛烈さを見よ!アルマジロはニンジャスレイヤーの怒りを買ったのだ……まさにこれは……インガオホー!「アババババーッ!許しアバババババーッ!アバババババーッ!」「……イヤーッ!」「アババババババババーッ!」
2011-05-18 01:18:29「許し……許し……」「許しはナンシー=サンに乞うがいい。生き延びることができるのならな……イヤーッ!」「アバグワーッアバッアバババババババーッ!」メキメキ、ミシミシ、アルマジロのメンポから血泡が溢れ出す。ボギン。ついに背骨が音を立てて折れた。だがニンジャスレイヤーは手を止めぬ。
2011-05-18 01:25:01「アバッ……アバッ……」痙攣するアルマジロ体を逆向きに折り曲げ終えると、ニンジャスレイヤーはゆらりと立ち上がった。先へ進むゲートを見出し、そちらへ歩き出す。背後でアルマジロのニンジャソウルが爆発した。
2011-05-18 01:30:12ふいにニンジャスレイヤーは足を止めた。そして天井の陰陽の穴を振り返った。「イヤーッ!」バク転を繰り出し距離を取る。その直後、陰陽の穴から新手の影が落ちてきて、膝立ちに着地!
2011-05-18 01:45:07「……五人目か」ニンジャスレイヤーはジュー・ジツの構えを取った。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ニンジャスレイヤーです」落ちてきた赤黒のニンジャがオジギした。「何」「ニンジャスレイヤーです、ニンジャスレイヤー=サン」ゆっくりと進み出る。「……!」
2011-05-18 02:01:12ニンジャスレイヤーを名乗る敵が一歩踏み出すと、その姿がぼやけ、茶色の忍者装束となった。「バンディットです」さらに一歩。やはり姿がぼやけ、背中に巨大なスリケンを背負ったニンジャとなる。「ヒュージシュリケンです」さらに一歩。「……センチピードです」一歩。「コッカトリスです」
2011-05-18 02:04:00「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた。ザザッ!進み出る姿は砂嵐めいたノイズとなり、スリケンが透過してしまう。「ビホルダーです」さらに一歩。「インターラプターです」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは再度スリケンを投擲!進み出る姿がスリケンに触れ、ノイズとなって散る!
2011-05-18 02:07:47なんたる妖しのジツ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは警戒し、六連続のバク転で距離を取る。「アースクエイクです」一歩。「バジリスクです」「ドーモ」「ドーモ」「ドーモ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを構える。ザザッ!さらに一歩踏み出す。その姿は……「……フユコ?」
2011-05-18 02:10:14最愛の妻……ソウカイ・シンジケートの手によってトチノキとともに命を奪われたフユコが、今、彼の目の前に立っている。ニンジャスレイヤーは己の正気を疑った。そして恐れた。「フユコ」フユコは無言のままニンジャスレイヤーに近づいてくる。ニンジャスレイヤーは後ずさった。「フユコ」
2011-05-18 02:13:32「ニンジャスレイヤー=サン、では私は?私は誰だ?」フユコの顔がぼやけ、やがてその姿が不定形の影となった。「私は誰だニンジャスレイヤー=サン?私は誰だ……」「やめろ!」「私は誰だ……お前のせいで……」「やめろ!」「お前のせいで……」「グワーッ!」
2011-05-18 02:15:44片膝立ちで立つニンジャスレイヤーは、息を荒げながら目を開く。謎の攻撃者は消えていた。周囲には黒焦げになったアルマジロの死体しか見えない。幻覚だったのか?あるいは精神攻撃の類か?いずれにせよ、とっさに左掌にスリケンを突き刺し漢字を書いたことで、彼はどうにか正気を保つことができた。
2011-05-18 23:00:57(((敵だとすれば、恐るべき相手だった……次にふたたび攻撃を仕掛けてくるとしたら、果たして耐えきれるだろうか……)))フジキドは首を左右に振って迷いを振り払い、立ち上がった。そして歩き出す。5人目のシックスゲイツが待つフロアへと向かって。
2011-05-18 23:03:03第一巻「ネオサイタマ炎上」 最終エピソード「ネオサイタマ・イン・フレイム」 #3「アンド・ユー・ウィル・ノウ・ヒム・バイ・ザ・トレイル・オブ・ニンジャ」#2 終わり #3へ続く
2011-05-18 23:03:24