ぱすイカ二次創作⑪

修行編は長すぎないようにしたい そんな思いです 書いたもの https://t.co/lk71qxBACg
1
前へ 1 2 ・・ 7 次へ
ぱすかる❄ @pascal_syan

あり得そう。だってシグルイさんだ。シグルイさんは筋肉だ。戦いは筋肉だとか言い出してもおかしくはない、けど……いや、いくらなんでもそんな、脳みそまで筋肉に染まってるわけないよね?そうだと信じたい。そうだと信じさせて!

2019-09-14 23:10:50
ぱすかる❄ @pascal_syan

「あの、これから何をするんですか?」 ここは正直に聞くことにした。 シグルイは少し思案したあとに、 「基礎的な技術、だな。それを身につけてもらう。なに、そう難しいことではない」 よかった。筋肉じゃなかった!

2019-09-14 23:15:13
ぱすかる❄ @pascal_syan

「それだけだと尺が余るか……」 えっ。 「……筋肉でもつけるか?」 意地の悪そうな笑み。 「い、一日とかそこらでつかないですよね!?」 「当然だ。長年の鍛練があって、ようやくここまで辿り着いたのだぞ?」 ですよねえ。じゃあ筋肉回避ですね!

2019-09-14 23:17:12
ぱすかる❄ @pascal_syan

「毎日ここに通うなら、喜んで歓迎するが?」 「え、遠慮しておきます……自宅、ここから遠いし……」 「毎日送迎してやろう」 「どんだけ筋肉つけさせたいんですか!?17歳の乙女ですよ、私!!」 「何事も若いうちから始めておけ。歳をとったあとに後悔するぞ」 「筋肉も!?」

2019-09-14 23:19:53
ぱすかる❄ @pascal_syan

「冗談はここまでにしておいて、だ」 冗談でよかった。 案内されたトレーニングルーム。やはり、だだっ広い。真っ白な壁と、一定間隔に引かれた点線。見覚えのあるバルーンがいくつかある。これは…… 「試し撃ちするとこ……?」 ブキを販売するショップに併設されている、あれだ。

2019-09-14 23:22:27
ぱすかる❄ @pascal_syan

ブキを購入する前に、試し撃ちをしてもいいことになっていて、そのときに案内される場所と、ほとんど構造が似ていた。射程の長さを一目で確認できるラインと、インクをある程度ぶつけると割れるバルーン。 そっくりだ。というか、ほぼ同じだ。

2019-09-14 23:24:17
ぱすかる❄ @pascal_syan

ただ、ひとつ違うのは。 「このバルーン、なんか、変なのがくっついてますけど、これは?」 サキはバルーンに近づいて、尋ねた。黒い筒のようなものがついている。ブキ屋のバルーンにはこんなものはついてなかったはずだ。 シグルイが端末を操作する。 その『変なの』から、敵インクが発射された!

2019-09-14 23:28:22
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ぎゃーーーーっ!!???」 真正面にいたため、モロに食らって……撃沈。設置されているリスポーン地点から、すぐに復活できたが…… 「殺す気ですかっ!?」 「そうとも。もう訓練は始まっている」 せめて開始の合図をしてください。

2019-09-14 23:31:28
ぱすかる❄ @pascal_syan

シグルイが、何かを投げ渡してきた。両手でキャッチする。これは…… 「ボールド?」 そう、ボールドマーカー。サブウェポンに、カーリングボムがセットされた。無印だ! サキの回りに、いくつも穴が開いた。先程のものと同じバルーンが、いくつも出てくる。

2019-09-14 23:33:55
ぱすかる❄ @pascal_syan

すげー、地面からバルーン出てきた。謎の技術だ。……とはしゃいでいる余裕なんてなかった。 来る。絶対、来る。 直感したサキは、右へ跳んだ。 先程までいた場所に、敵インクが集中砲撃された。避けてなかったら、またやられていただろう。

2019-09-14 23:35:59
ぱすかる❄ @pascal_syan

バルーンたちが向きを変えて、こちらに照準を合わせようとする。走る。それを追いかけるように、射撃。壁際に追い詰められた。とっさに壁を塗って、その中に隠れる。でも、ばっちり狙われている!隠れても無駄だと悟り、インクの中から飛び出る。壁に敵インクが、びしゃびしゃと張り付く。

2019-09-14 23:51:12
ぱすかる❄ @pascal_syan

ボールドで、自インクを塗り広げる。バルーンのいくつかが、サキではなく、サキが塗ったインクを狙って射撃を始めた。 こいつ、塗り返してくる。タダモノじゃない! 移動できる範囲が、必然的に減る。放っておいたら、まずい。少しでもバルーンの数を減らさなければ!

2019-09-14 23:56:45
ぱすかる❄ @pascal_syan

だが、射程は相手のほうが長い。いや、ボールドは全ブキのなかでも、前から数えたほうが早いくらい、射程が短い。立ち向かう敵全てが長射程だ。 この不利の差を埋めるためには、このブキが持つ、最大の強みを活かすしかない。 圧倒的な塗り能力による、機動力だ。

2019-09-15 00:00:46
ぱすかる❄ @pascal_syan

以前から何度も出てきている言葉だが、改めて解説させてもらおう。 『雷神ステップ』。ウデマエのあるボールド使いになるためには、習得すべき技。 少し塗って、イカになる。塗った先端まで移動したら、姿をあらわして、また少し塗る。そしてまた、塗った先端まで移動して、姿をあらわして、塗って……

2019-09-15 00:02:52
ぱすかる❄ @pascal_syan

これを、左右に振り分けて繰り返し行う。ジグザグに、まるで稲妻のように進むように見えることから、『雷神ステップ』と名付けられた。 少しトリガーを引いただけでも多くの陣地を塗れるボールドだからこそ、可能な技だ。 カマトットの姉ことアカネも、この技を多用していた。

2019-09-15 00:05:16
ぱすかる❄ @pascal_syan

左右に素早く動くことで、相手は照準を合わせづらくなる。モタモタしてる間に一気に近づいて、銃口を押しつけるようにして、ボカン! 文字で書くと簡単そうに聞こえるが、意外と難し 「ぬわぁ!?」 ほら、こうやっていろんな敵に狙われていると 「ほわぁーっ!?」 態勢を整え直すのすら、難しい!

2019-09-15 00:08:29
ぱすかる❄ @pascal_syan

とにかく、とにかく、逃げなきゃ!サキはカーリングボムを投げた。カーリングが描く一文字をなぞるように、逃げる。射撃が追いかけてくる。こん、という音がした。カーリングが壁にぶつかって、跳ね返った音だ。サキの逃げる方向とは真逆にカーリングが進み……

2019-09-15 08:03:51
ぱすかる❄ @pascal_syan

爆発した。偶然にも、バルーンをひとつ、割ることができたようだ。やった! だが、まだまだバルーンは残っている。しかも自分は壁際に追いやられてしまった。壁を塗って、そこへ隠れる。敵の射撃の照準を引き付けてから、タイミングを合わせて飛び出して…… 自分から一番近いやつから倒そう!

2019-09-15 08:06:23
ぱすかる❄ @pascal_syan

「わーーーーーーーっ!!!」 飛んだ。飛んだ。それはそれはもう、自分がビックリするくらい、飛んだ。壁を蹴ったから、その反動だ。 いける。サキは確信した。バルーンに抱きつくように着地した。銃口を押しつけて、そのままインクの塊をぶちこむ。二つ目、撃破だ。

2019-09-15 08:09:14
ぱすかる❄ @pascal_syan

他のバルーンの射撃が一斉にこちらを向くまで、少しタイムラグがあった。そのわずかな間に、瞬時に陣地を塗り広げた。自陣の端が、バルーンのうちのひとつを捉える。 どうやらイカと同じ仕様で、敵インクに嵌まると動きが鈍るようだ!

2019-09-15 08:11:48
ぱすかる❄ @pascal_syan

「うおおおおおおおお!」 上半身を少しひねって、正面からの攻撃を避けた。走る。懐へ飛び込んで、トリガーを引く。三つ目、撃破。残り、どれくらい?四つくらい!まだまだ多い。 スペシャルウェポンのチャージが終わった。スーパーチャクチが使える!

2019-09-15 08:14:16
ぱすかる❄ @pascal_syan

使い所には注意しなければならない。着地の爆心地に敵を複数捉えれば、一網打尽にできる。だが、スーパーチャクチは飛び上がっている最中に射撃を当てられたら、あっさりとお陀仏してしまうのだ。照準を素早く合わせられる手練れに対しては、格好の的になりかねない。

2019-09-15 08:16:26
ぱすかる❄ @pascal_syan

このバルーンたちも、多少雑とはいえ、正確に自分を狙ってくる。迂闊な使用は厳禁だ。でも、1対多の状況を打開するには、チャクチは必要不可欠。 それなら。 それなら…… サキは、カーリングを壁に向かって投げた。 壁を使って、また高く飛んで、それに繋げるようにして、チャクチを発動するのだ。

2019-09-15 08:20:49
ぱすかる❄ @pascal_syan

だが。 サキの目の前にある壁が、一瞬で敵インクの色に染まった。バルーンはあえて、サキではなく壁を狙ったのだ。 もしかして、読まれた?明らかに機械って感じなのに、学習したのか!? だが、その予想外が、逆にサキにチャンスを与えた!

2019-09-15 08:22:55
ぱすかる❄ @pascal_syan

この隙に、敵との距離を詰める! カーリングはインク消費が重い。もう少し待たなければ二度は投げられない。そんな時間はない。だったら……! 「だああああーーーーっ!!!!」 サキは、生まれて初めて、雷神ステップを踏んだ。 紫の敵インクの中を、黄色い稲妻が走る!

2019-09-15 08:24:43
前へ 1 2 ・・ 7 次へ