ぱすイカ二次創作⑪

修行編は長すぎないようにしたい そんな思いです 書いたもの https://t.co/lk71qxBACg
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ぱすかる❄ @pascal_syan

下の袴部分は、共通で黒の無地。サキは丈が短めになっている。履き物はなんと……ブーツ。だが、違和感が全く無い。 上の着物は、それぞれ色と模様が違う仕様だ。 ヨーコは赤と白、サキは青と白だ。

2019-09-15 16:23:58
ぱすかる❄ @pascal_syan

「なんか、意外と動きやすいね。」 見た目はとても華やか。布地がヒラヒラしていて、動きにくそうに見えるが……着てみるとそうでもない。普通に走っても違和感がない。洋服とあまり変わらない身軽さだ。 「サキ、これ、ギアパワーついてるのね」 「えっマジで?……ほんとだあ!」

2019-09-15 16:26:59
ぱすかる❄ @pascal_syan

そういえば、ギアブランド・アタリメイド製だった。正装に見えるが、これも立派なギアなのだ。通りでやけに動きやすくデザインされているわけだ。 「ここ、ちょっと気になるのね」 ヨーコは袖の部分を指す。確かに、戦うにはちょっと邪魔だなあ。 こんこん、と、ドアをノックする音がした。

2019-09-15 16:29:40
ぱすかる❄ @pascal_syan

「開けても大丈夫でしょうか……?」 「もう終わったから大丈夫~!」 返事と共にドアを開ける。ドアの向こうには、自分達と似た格好をしたオクトーの姿が。 上着の色は、赤と黒だ。 「わ~!かっこいい~!」 「あ、ありがとうございます……」

2019-09-15 16:34:50
ぱすかる❄ @pascal_syan

オクトーは赤面してから、 「お二人もよくお似合いです。ヨーコさんの素顔を見たのは……初めてですね」 「え、えへへ。ちょと、ハズカシイのね……」 女子二人は、いつもの帽子とサングラスを外している。和服に合わないので。

2019-09-15 16:38:09
ぱすかる❄ @pascal_syan

ヨーコの素顔は、なかなか見ることができない。外ではもちろん、サキ宅で看病していたときも、……寝るときとお風呂のときを除いて、ずっと帽子とサングラスを身につけていた。癖っ毛と一重が恥ずかしいらしい。そんなことないのに。かわいいのに。

2019-09-15 16:40:56
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ボスがお呼びです。こちらの紐を忘れないように、とのことでした」 オクトーが持っているのは、余ったあの紐だった。どうやら、余って正解だったらしい。 和室に戻ると、そこには和装のシグルイがいた。上着の色は、黒と白。 「めっちゃくちゃかっこいい……」 つい本音が漏れてしまった。

2019-09-15 16:46:19
ぱすかる❄ @pascal_syan

「似合うな」 「えへへ~」 「どうも~」 「たすき掛けのやり方は分かるか?」 「たすき……がけ……?」 聞いたことあるような、ないような。 「袖が邪魔だろう。この紐でまとめることができる。それがたすき掛けだ」 シグルイは紐を持って、えっ待って待って待って、早い!今なにやった?

2019-09-15 16:54:25
ぱすかる❄ @pascal_syan

一瞬のうちに、袖を紐でくくった。背中から見ると、紐がバツ印を描いているようだ。かっこいい。 「これで動きやすくなる」 たしかに、袖がまとまっていて、非常に身軽そうだ。 「やってみろ」 「「「分かりません」」」 「ふふ、だろうな」 もうちょっとゆっくりお願いします。

2019-09-15 16:57:10
ぱすかる❄ @pascal_syan

ひとりひとりに、たすき掛けをレクチャーしていく。オクトーは覚えるのがとても早かった。サキは、何度か見たら覚えた。 ヨーコは、少し手こずった。分かんないのね、分かんないのね、と連呼。普段スライドとかして颯爽としているのに、この手の分野には疎いようだ。それでも、なんとかマスター。

2019-09-15 17:00:03
ぱすかる❄ @pascal_syan

「なんか……」 四人ともたすき掛けを終えて、並んでみる。 「チームって感じなのネ!」 ヨーコが笑いながら語りかける。 「ユニフォームってやつ?」 「そうだろうな」 シグルイは答える。 「……いつの間にこんなものを……」 そして、考え込む仕草をする。

2019-09-15 17:04:26
ぱすかる❄ @pascal_syan

「シグルイさんが頼んだ……わけじゃ、なさそうですね……?」 「ああ。恐らく祖父の独断だろう。他にユニフォームの案があったろうに、潰したのなら謝罪しよう」 「いや全然考えてませんでした」 「俺もです」 「ワタシもなのね」 「……少しは考えておけ、そこは」

2019-09-15 17:07:31
ぱすかる❄ @pascal_syan

「シグルイさんは何か考えてたんですか?」 「……いや、全く」 「ならこれでいいと思います!」 「オシャレ、カワイイ、最高なのね!」 オクトーもこくこくと頷いている。 「お前たちがそう言うのなら、これで決まりにしよう」 「シグルイさんのお爺さん、すごくセンスいいですね!」 「ねーっ」

2019-09-15 17:12:11
ぱすかる❄ @pascal_syan

いや、デザインはたぶん、アタリメイドの専属の方でしょうけど。 「でもこれ、絶対オーダーメイドだよね……高いですよね……?」 「そこは気にするな。礼は俺がまとめて伝えておこう」 あ、これは、後で電話しなきゃまずいな。面倒くさ……といった表情だ!

2019-09-15 17:15:07
ぱすかる❄ @pascal_syan

サキも親からよく、無断で大量の荷物を送りつけられたりする。冷蔵庫に入り切らなかったりして、ちょっとイラッとしたり、忙しいときに電話しなきゃならないなんて!と憂鬱になってしまうものだ。シグルイの気持ちも分かる。 でも……それでも、やはり、身内からの贈り物は、いいものだ。

2019-09-15 17:17:25
ぱすかる❄ @pascal_syan

「大事にしないとね」 「イッチョーラってやつなのね?」 「そうそう、一張羅!……親にも大したもの買って貰ったことないのに、なんかあれだけど……」 サキの一言に、オクトーの表情が一瞬だけ曇った。すぐに元通りになったが、シグルイはそれを見逃さなかった。

2019-09-15 17:20:30
ぱすかる❄ @pascal_syan

「さっそくこれでナワバリバトルしてみます?……それとも、サイキョー杯が始まってからお披露目します?」 サキの問いかけ。こんなにいい衣装なのだ。確かに、御披露目するタイミングは考えた方がいいだろう。 「サイキョー杯、始まってから、おひろめ。ワタシ、そっちがいい、思うのね」

2019-09-15 17:24:46
ぱすかる❄ @pascal_syan

「俺も同じ意見です」 「やっぱりそう思う?私もそんな気がしてて……」 「いいだろう。あと一週間ほど、この服は休ませておこう。観客を驚かせるためにもな」 特に揉めることなく、結論が出た。その後、ヨーコの提案で集合写真を撮ってから、袴を脱いで桐箱に仕舞った。

2019-09-15 17:27:46
ぱすかる❄ @pascal_syan

置き場所に困るだろうということで、とりあえず四つともシグルイ邸で保管することになった。試合前にシグルイ邸で着替えるか、シグルイ邸から控え室に運んで、そこで着替えるかの二択になりそうだ。 チーム名もユニフォームも決まり、いよいよチームらしくなってきた。

2019-09-15 17:29:42
ぱすかる❄ @pascal_syan

「サイキョー杯、楽しみだね~」 帰りは、途中まで車で送ってもらった。残りわずかの帰り道を歩きながら、ヨーコと話をする。 「緊張も、するのネ~」 「うんうん。でも、みんながいるから。向かうところ敵なしって感じ!」 「うふふ、そーなのね!ね!」

2019-09-15 17:44:00
ぱすかる❄ @pascal_syan

二人が帰宅した頃、シグルイ邸では…… 「すまん、オクトー。少し席を外してくれ」 端末を片手に切り出すシグルイ。 「かしこまりました」 オクトーは察して、足早に部屋から立ち去った。電話だ。相手は、言うまでもないだろう。

2019-09-15 18:03:12
ぱすかる❄ @pascal_syan

オクトーは、シグルイの祖父・ゲンイチロウに何度か会ったことがある。主君によく似た銀色の瞳。顔つきも雰囲気も、まるで生き写しのようだった。 大ナワバリバトルの生き証人、らしい。しかし、オクタリアンであるオクトーを、何の抵抗もなく受け入れてくれた。かつての敵だったというのに。

2019-09-15 18:06:22
ぱすかる❄ @pascal_syan

「この孫煩悩め……」 微かに、声がする。怒ったような、そうでないような、それでいて窘めるような……そんな声。主君がこんな声色を出すのは、滅多にない。 「……分かっているさ。ぬかりなく進めるつもりだ。せいぜい茶の間で見守っていろ」

2019-09-15 18:12:21
ぱすかる❄ @pascal_syan

言葉とは裏腹に、穏やかな声色だ。結局のところ、主君もいわゆる「おじいちゃんっ子」だ。祖父との仲は、とても良好だ。今回のチームユニフォームも、孫とその友人への、プレゼントのつもりなのだろう。 通話が終わったあと、少し間を置いてから部屋に戻る。

2019-09-15 18:15:01
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……いつも通りだった」 こちらから何か尋ねる前に、シグルイは言った。 「お元気そうで何よりです」 「大事な『儀式』だから、奮発したと言ってたな。気軽に着せる気があるんだかないんだか……」 呆れたような言い方だ。 だが、オクトーが注目したのは、別の部分だ。

2019-09-15 18:19:40
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