いわゆる「消費税廃止論」について

高山直人(💉×4)(魔法天使、軍事好き、車バイク鉄道&オタク&サブカル&左翼が死ぬ程超好き) @naobotaka_magi

率直に云わせてもらえば、こと消費不況を解消する手段としては、「消費税全廃」は必要ない。というのも、消費の低迷そのものの原因が消費する物の減少や自身の経済的条件そのものにあると考える。

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この結論に至った理由はとりあえず単純明快である。 現在、国民と規定されている日本の大多数の日本人たちは、現状に満足や増税に賛成とは云わないまでもその大半が、制度の理念そのものには理解を示している。 これに尽きる。

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納得のいかない人があれば、それぞれの階層が寄り添って暮らしている街──そう、あなたの住む街のあの──日本人街だ──に出向いていって、日本人に訊いて回るといい。

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「消費税は廃止したほうがいいと思うんですが、どうでしょうか？」 　「消費税なしかマイナスの方がメリットが大きいと思うんですが、どうでしょうか？」 　大半の日本人が、否定的見解を表明するであろうと、これまで多くの日本人と接してきた私は予想する。

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いわく、「消費し放題にたら、国民がゴミや郊外でブチ切れる」 　いわく、「消費公害などのストレスを抑制するためにも、消費税は有効だと思う」 　いわく、「2%くらいはガマンして、不景気になったら減税すればいいと思う」

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えぇいオメーは役人か、環境団体か、と云いたくなるようなセリフを、耳じゅうタコだらけになるくらい聞かされることになるだろう。 よしんばあなたが出向いた日本人街の国民たちが偶然、自由主義派ぞろいでも、前述のような発言をする国民の数は無視できない程度にはいるはずである。

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「民主主義」の精神に照らせば、国のあり方も当然、国民自身の「自己決定」に委ねるべきである。 それなのに現在の日本のかなりの日本人は、そう考えていないという現実がある。

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一日も早く、できるなら今すぐにでも消費税制度の廃止を、と唱える人々には、彼らの姿は見えているのだろうか？

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「（国民の）自己決定権」という言葉は、民主主義国社会の中でもかなり重要なキーワードの一つだと思う。では、この国に無視できないくらい存在する、この意見に必ずしも賛成でないはずの（むしろ反対の）日本人たちの「自己決定権」はいったいどこへ行くのか？

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インテリ権威主義とかいうものは、全体に例外なく運用されるものであるから、結果的には、この考えを望んでいない多くの国民たちにも、その理念を「押しつける」ことになる。 これが「インテリ目線の消費税廃止論」の持つ第一の矛盾である。

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しかしそれは──という人がきっとあるだろう。そういった日本人自身の権利意識の希薄さが現実間題としてあることは認める。だが増税に賛成してしまうような日本人の意識も、じつは外部から取り込んだ社会環境の情報によって歪められたものではないのか、と。

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──運動にかかわっている人に、私が前述の「第―の矛盾」を指摘して、そんなのやめてしまいなさい、と勧めると、決まってこのような反論が出る。 しかしそのような人は、日本が先進国たらしめる「現代先進国社会主義」の本質であると私が考えている、次のような認識について、コロリと忘れている。

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すなわち、「社会主義的なものは『先進国社会の理念』ではなく、れっきとした『資本主義へのブレーキ』である」という認識である。まきにこのことが、「消費税廃止論」を、これまでにない画期的なもの、と云わせている最大の理由である。

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にもかかわらず、前に挙げたような反論をする人は、やはり依然として社会主義的なものを先進国社会の理念としてとらえているのである。

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だいたい、日本でこの論説を唱える人間の大部分が外国人かインテリ（しかも大物の専門家のみ）であり、はっきり云って日本人の99％は「消費税廃止論」の存在すら知らない、という現状のまま実行を求めようということ自体が民主主義の精神に反しているのである。

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これが第二の矛盾である。 こういう人々は、「消費税制度」を容認する大多数の日本人の感性を、「外部の情報」によって歪められたものであるとこちらで判断して、彼らの「自己決定権」を無視し、「いい論だから」と「与えて」しまうという二重の矛盾を抱えている。

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だいたいエリートたちが「いいものだから」と大衆に与えたものが、本当に「いいもの」であったためしがあるか！──というのはグチだけれど。

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さて第一の矛盾への反論に答えて、第二の矛盾を指摘すると、懲りない面々は、ハンで押したように次のような最後の反論をする。 いわく、「この論は、武器になる」。 ──呆れてモノも云えない、とはこのことだが、あえてモノを云う。

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国民たちが、自分たちの要求を「権利主体」として主体的に獲得していく過程なしに、結果だけを与えてしまうことは、内実のない「権利主体」を生み出すことにならないのか？

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いったい常日頃から、理屈で国民を説得し納得させられないからと、すぐに「国民情緒」という根拠（＝武器）を持ち出して云うことをきかせようとする反知性主義者のやり方を非難してきたのは誰だったか？彼らはそれに頼っちゃいけなくて、廃止論者は「知識人の意見」に頼っていいのか？

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第三の矛盾である。

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仮にこの「第三の矛盾」に目をつむるとしても、わざわざ「消費税廃止論」なんて持ち出さなくても、今日、日本で国民が置かれている状況は既存の経済状況──すなわち他の直接税や間接税の改革や無駄の排除や財政出動などで充分にその問題を解消できるのだ。

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現にここ1、2年で「消費税廃止論」の話題が急浮上するまでは、現在廃止推進運動をしている人のほとんどはそうしていたではないか。それなのに、日本の経済状況は決して変革されたとは云い難い。

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この上、新しく「消費税廃止」を実現したところで、何か重大な進歩が急に訪れるとでも考えているのだろうか。