アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡―グラゼニ(シリーズ構成・全話脚本):原作とアニメのリンクと相違
- makimogpfb
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個人的には、方程式に組み込まれる形で8回をピシャリと抑える夏之介が一番かっけーと思った(原作無印終盤~東京ドーム編初期)。 実際、東京ドーム編の監督は、それに魅了されてどんどん夏之介を酷使してしまったし。確かに、こんなのいたら使いまくりたい。
2019-09-30 21:42:21グラゼニという作品は、「金」と「中継ぎ投手」に着眼しているのが面白いのだが、原作は連載が進むにつれ、夏之介を成長させざるを得なくなり、××にシフトしていく。 アニメはそこに行き着く前に終わっているので、ある意味「物語が一番輝いていた頃」を、フィルムにして保存する事に成功している。
2019-09-30 21:49:09それでいて、アニメは2A話にして夏之介の「先…発…」というアニオリ台詞があるほか、2期1話(13話)では、先発のチャンスを貰ったのに××した後、中継ぎとして期待していると言われて、夏之介が複雑な微笑を見せる(アニオリ)。こういった所で、彼が内に秘めている「先発」願望を描写しているのが上手い pic.twitter.com/9MBbrBTr5P
2019-09-30 22:04:06こういったアニオリの笑顔については、他の高屋敷さん担当作品にも要所要所に出てきており、気になるところ。 話を戻すと、もっともっと頑張って年俸を数倍にして、できれば先発になって、堂々と好きな人に告白したい…といった、若者らしいギラギラした夏之介の願望を、アニメではより強調している。
2019-09-30 22:13:21このようなシリーズ構成は、めぞん一刻やF-エフ-、そしてカイジでも色濃い(いずれも高屋敷さんシリーズ構成・脚本)。めぞん一刻の五代は、何とか仕事を得て堂々とプロポーズしたいと思っているし、F-エフ-は本気でF1を目指す。カイジは、その手で金と未来を掴み、「勝つ」べく命を賭ける。
2019-09-30 22:19:11結果、最終回にて五代は夢を叶え、F-エフ-では最終回の一文にて、軍馬が夢を叶えたことがわかる。カイジは、2期で命を賭けた大勝負に勝ち、仲間を助けるために金を全て使った。グラゼニでは、「後の人生を左右する」百万円を巡って必死の交渉を行い、上出来な契約更改を終える。
2019-09-30 22:26:31このように、夢をある程度叶えた/夢をまだまだ見られる段階にある…といった「希望」が最終回にて描かれる。 これは、エースをねらえ!、家なき子、宝島の最終回の演出を担当したことと関係があると思われる(いずれも「希望」のある最終回)。
2019-09-30 22:33:30ビターエンドの代表格として語られる、あしたのジョー2最終回(高屋敷さん脚本)でも、「希望」は描かれている(どうやら丈が、「旅に出たい」という希望を叶えたらしき事が端々に描かれている)。
2019-09-30 22:39:09こう振り返ってみると、やはり「青春の輝き」をフィルムに残し、最終回にて希望を見せ、夢に向かう主人公を送り出す…といった組み立てになっていることに再三気付かされる。 めぞん一刻については完全に完結してはいるが、子育てという新しいフェーズには入る。
2019-09-30 22:46:49一方、F-エフ-・アカギ・ワンナウツ・RAINBOW-二舎六房の七人-・カイジ・グラゼニ(いずれも高屋敷さんシリーズ構成・脚本)などは、当時原作未完の上でアニメ最終回が描かれた。なのに、どれも「最初からこう終わると決めていた」ような、計算し尽くされた最終回を迎えている。
2019-09-30 22:52:47ここらへんが高屋敷さんの「構成」の上手さで、いつも圧倒される。 原作はまだまだ続くけど、アニメでは一番キラキラした所を切り出して、未来への希望を見せて終えたいという強い思いが感じられる。
2019-09-30 23:01:32アニメ最終回後、ここ(アニメ)で物語を終えて、自分の想像で楽しむこともできるし、もっともっと原作を楽しむこともできる。 そういった「シリーズ構成」を組むということが、どんなに高度な技術であるか、色々と高屋敷さんの担当作を見ていると、何となく感じることができる。
2019-09-30 23:08:18グラゼニ東京ドーム編13巻を電子版で読んだ。やっと来た~!××としての大覚醒!シャワー室で「××でいたい、中継ぎに戻りたくない」と思う夏之介がいいね…こうなると益々、アニメ版2話の「先…発…」というアニオリ台詞が感慨深い。中継ぎは中継ぎで、かっこいい役職だが先発への拘りはあるんだね
2019-10-10 21:10:56アニメ版グラゼニ(探求中の高屋敷英夫さんシリーズ構成・全話脚本)5話、「そう(先発になりたいと)思ってない中継ぎ投手はいないと思うんですけどね」と夏之介が牧場に言う場面で、美味しそうな料理が映るのが意味深(飯テロは高屋敷さん担当作の定番)だったけど、そのあたりも上手いなあ。
2019-10-10 21:16:51原作もアニメも、性格も能力も「中継ぎ向き」な夏之介を描いてきたわけだし、それがユニークなんだけど、それでいて「野望」「希望」を夏之介は捨てていない―ということを、アニメではギュッと凝縮して(「いつかは先発にならなくては」等のアニオリ台詞)、原作は長期に渡って表現したんだなあ。
2019-10-10 21:23:30アニメ版グラゼニのシリーズ構成の高屋敷さんは、「自分とは何か」「全身全霊で生きろ」「自分で決めた道を行け」などをテーマにすることが多いわけだが、1期最終回(12話)でそれらを出しきり、2期で更に夏之介の内部に踏み込み、2期最終回では再度「自分とは何か」を考えさせる構成だった。
2019-10-10 21:35:21原作の場合、夏之介の内面(どうなりたいのか、どうしたいのか、どう思っているのか)は、長期に渡って描写される。特に高校生編では、(当たり前だが)こちらの知らない夏之介がどんどん出て来て驚かされる。夏之介の内面を描くにあたり、原作が大分進んでからのアニメ化だったのはラッキーと言える
2019-10-10 21:45:39特に原作で驚いたのは、高校生編で、夏之介が(勉強も野球も)「もっともっとがんばらなくっちゃ」(でも努力を見せるのはダサいと思っている)と疲弊していってしまうエピソード。これを知っているかどうかで、キャラクター像は大きく異なったのではないだろうか。
2019-10-10 21:52:48高屋敷さんがミニコラムで、「夏之介くんも野球日誌なるものを付けているはずだ」と書いているのは興味深い。一見卑屈で小心者のようでいて、内面は努力家で熱く、負けず嫌いで勝ち気…といった夏之介のポイントを、高屋敷さんも把握しているからこそ出てくる言葉ではないだろうか。
2019-10-10 22:02:39東京ドーム編後期は、アニメ化される範囲の大分後なのだが、やっぱり制作INギリギリまで最新回を把握していた可能性がある(勿論、原作両氏のアドバイスもありそう)。高屋敷さんは、アニメ化した範囲以降の原作エッセンスをアニメに取り込むことがあり、しばしば驚かされる。
2019-10-10 22:10:51原作をギリギリまで把握した上で、「自分とは何かを見つめ、自分の道を全力で生きる“男”の物語」という、高屋敷さんの「いつもの」スタイルに着地しているのも、つくづく凄い。 めぞん一刻(最終シリーズ構成・脚本)の五代から脈々続く、高屋敷さん的な「男の生きざま」シリーズにグラゼニも入った。
2019-10-10 22:19:18めぞん一刻の五代、F-エフ-の軍馬、アカギのアカギ、カイジのカイジ、RAINBOW-二舎六房の七人-の二舎六房の七人、グラゼニの夏之介…など、高屋敷さんシリーズ構成の主人公は、原作と少し違う。この「少し」が絶妙で、年代もジャンルも見た目も違うのに、「同じカテゴリ」に見える。
2019-10-10 22:25:58ざっくりまとめると、原作より「少し」「熱い」。これは、真っ白な灰になるまで魂を燃やし尽くしたいと願った、あしたのジョー2(最終回含めて高屋敷さん脚本参加)の丈から来ていると考えられる。 その前の、空手バカ一代、宝島、家なき子、エースをねらえ!などの演出作にも、熱い要素は見られるが。
2019-10-10 22:34:28シリーズ構成に就いた場合、高屋敷さんは「丈が真っ白な灰になるまでを順序だてて自分が全話構成した場合どうなるか」を念頭に置いているのかもしれない…と、ちょっと思えてきた。もしくは、あしたのジョー2最終3話(高屋敷さん脚本)を「ミニシリーズ」として見ているとか。
2019-10-10 22:40:57「シリーズ」の最小単位が3話なら、グラゼニ1期全12話は、その4倍もあるという考え方もある。1話で夏之介の掘り下げを、アニオリ交えて見事に行った上、1期最終回でテーマの殆どを放出してキレイに終わらせたのは、そういったカラクリもあるのかもしれない。
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