古代教会スラヴ語たんの文法講座【3】『AでBをした』

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古代教会スラヴ語文法(3) 『AでBをした』

古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

文法を続けます 次は『〜で…をした』という文を読めるようにするのが目的です その為に ・一般動詞の過去形 『…をした』 ・所格(=処格) 『〜で』 をやります

2019-09-28 19:06:03
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

思い出してほしいのは、こないだやったбытиの三種の過去形なんだ これからやるのは、あれを色んな動詞でやれるようにしよう、ってこと その為に『語幹』と『語尾』を適切に操作できるようにするよ

2019-09-28 21:24:10

語尾の作り方

古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

語尾の方が簡単なので、先に語尾をやろう さっきと違ってアオリストと未完了過去だけになるよ

2019-09-29 19:33:58
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

語尾の活用表(キリル) アオリスト 単数 1st:-хъ 2nd:-∅/-є 3rd:-∅/-є 双数 1st:-ховѣ 2nd:-ста 3rd:-стє 複数 1st:-хомъ 2nd:-стє 3rd:-шѧ 語幹の操作は色々あって面倒(後述)でも語尾は一律これだから、先に語尾だけ載せとくね

2019-09-29 19:47:09
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

未完了過去 単数 1st:-хъ 2nd:-шє 3rd:-шє 双数 1st:-ховѣ 2nd:-шєта 3rd:-шєтє 複数 1st:-хомъ 2nd:-шєтє 3rd:-хѫ 一人称は全てアオリストと一致します

2019-09-29 21:54:02
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

語尾の活用表(グラゴル) アオリスト 単数 1st:-ⱈⱏ 2nd:-∅/-ⰵ 3rd:-∅/-ⰵ 双数 1st:-ⱈⱁⰲⱑ 2nd:-ⱄⱅⰰ 3rd:-ⱄⱅⰵ 複数 1st:-ⱈⱁⰿⱏ 2nd:-ⱄⱅⰵ 3rd:-ⱎⱔ

2019-09-29 22:02:31
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

未完了過去 単数 1st:-ⱈⱏ 2nd:-ⱎⰵ 3rd:-ⱎⰵ 双数 1st:-ⱈⱁⰱⱑ 2nd:-ⱎⰵⱅⰰ 3rd:-ⱎⰵⱅⰵ 複数 1st:-ⱈⱁⰿⱏ 2nd:-ⱎⰵⱅⰵ 3rd:-ⱈⱘ ここばかりは本来はグラゴルが中心で、時代が下ってキリル文字の文献の頃には単数の二、三人称と複数三人称以外は区別がなくなるよ

2019-09-29 22:15:26
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

どう区別がつかなくなったかというと、未完了過去がアオリストに合流する感じですね アオリストは状況説明、未完了過去はアオリストで説明した文章の背景を説明するために付加された情報の為に用いていたので、アオリストの方が頻用されたのです

2019-09-30 14:29:43

語幹の作り方

古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

さて、『語幹』の作り方を説明します アオリストと未完了過去では、まだアオリストの方が単純です

2019-09-30 14:34:25
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

アオリスト語幹は、動詞の不定詞から-тиを省くだけです 一部例外が発生するので、そこは個別に憶えましょう 語幹が-к/-гで終わるときは-єと接続する時(二、三人称単数)に子音交替して、-ч/-жになります

2019-09-30 14:40:36
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

ごめん、忘れていたけど、-ти取った結果として子音終わりになったら、(単数二、三人称以外は)それに-оをくっつけてから語尾をくっつけてね twitter.com/lingslavantiq/…

2019-10-05 21:25:20
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

未完了過去語幹は三つに分けます 1.-тиを取った時に-а,-ꙗ ,-ѣで終わるもの 2.それ以外 3.例外

2019-10-01 15:52:07
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

1.は更に-аを付けて、それに未完了過去の語尾を付ける 2. 不定詞語幹が-сになるなら、未完了過去語幹はс,з,т,дで終わる(どれで終わるかは個別に憶える)ので、それに-ѣаを付けて語幹とする 不定詞語尾が-щиになるなら、それを-ч,-жに置き換えて更に-ааを付けて語幹とする

2019-10-01 16:08:52
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

不定詞語幹が-иで終わるなら、以下のような対応で子音交替を起こす с/ш з/ж т/щ д/жд л/л ҄ в/вл ҄ п/пл ҄ б/бл ҄ м/мл ҄ これに-аа(軟音記号付きは-ꙗа)を付けて語幹とするよ

2019-10-01 16:17:07
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

(ちなみにこの子音交替、現代ロシア語でлюбитьがлюблю,любишь……になる原因にもなっているよ)

2019-10-01 17:43:07
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

具体例 (左:不定詞,右:一人称単数) с/ш носить:ношаахъ з/ж вълазить:вълажаахъ т/щ крьстити сѧ:крьщаахъ сѧ д/жд ходити:хождаахъ л/л ҄ молити:молꙗахъ в/вл ҄ дивити сѧ:дивлꙗахъ сѧ п/пл ҄ крѣпити сѧ:крѣплꙗахъ сѧ б/бл ҄ любити:люблꙗахъ м/мл ҄ ломити:ломлꙗахъ

2019-10-01 23:33:27
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

上から 『運ぶ』 『入る』 『受洗する』*-ся動詞は昔は分かち書きをしていたよ 『歩く』 『頼む』 『驚く』 『強力になる』 『愛する』 『割る』

2019-10-01 23:36:22
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

3.どうしようもないもの 例外なので憶えてしまってね ・крыти,битиみたいに語幹が一音節でы,и, ѹ,юで終わるやつ крыти:крыꙗахъ『隠す』 бити:биꙗахъ『打つ』 ・不定詞と語幹が変わるやつ ити:идѣахъ『行く』 ꙗхати:ꙗдѣахъ『乗って行く』

2019-10-02 15:16:25

処格

古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

お疲れ これで動詞の方は済んだね 次は名詞の処格をやります

2019-10-02 16:27:48
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

処格というか、だいたい前置格なんだけど、前置詞を伴わない用例もあるから、文の働きから処格と呼んでおくよ

2019-10-02 16:34:24
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

処格と結び付く前置詞は、現代ロシア語とほとんど変わらないよ въ:〜の中で на:〜の上で при:〜の近くで о:〜について など 付かない時は、場所を表すものとして文脈に応じて訳してね 大体は『〜に』、『〜にて』とかになるかな

2019-10-02 18:48:13
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