古代教会スラヴ語訳『Lilium』のまとめ

ちょっと流行ったのでやってみた 流される前にまとめておきます
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古代教会スラヴ語訳『Lilium』

古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

Liliumがちょっと話題になっているけど、作詞の都合から、教会スラヴ語訳はすぐにできるよ

2019-10-21 22:55:54

その前に、軽く聖書の知識を

古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

ただし、詩篇の仕様が正教会ではちょっと変わっているから、引用にはコツが要るよ

2019-10-21 23:08:13
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

そもそも 『詩篇』ってあんまり言わない 『聖詠』っていつも呼んでる

2019-10-21 23:13:00
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

この聖詠、詩篇と異なって150章に分かれている(詩篇は151章)んだ しかも、普段は全体を20分割して実用しているよ

2019-10-21 23:17:27
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

この二十分割の一つ一つを『カフィズマ』(Кафи́зма)と呼ぶよ 各々は大体7〜8章ずつ纏まっているんだ

2019-10-21 23:21:42
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

そもそも何で詩篇と聖詠にズレがあるのかというと、それは基になったテキストが違うからだよ 詩篇はマソラ本文 (ユダヤ教徒が伝承したテキスト) 聖詠は七十人訳 (旧約聖書のギリシャ語訳集成)

2019-10-21 23:31:28
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

マソラ本文は厳格な手続きを踏んで写本を作り、継承してきた旧約聖書のテキストで、古い写本と比べてもほとんど内容が変わらないとされているよ 七十人訳は、ヘブライ語を読めないユダヤ教徒の為に旧約聖書を翻訳してきたのを集成したもので、新約聖書に旧約聖書の引用がある場合は大抵これが元ネタ

2019-10-21 23:39:40
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

当時の人達が用いていた聖書は大抵この七十人訳だったから、これが古代の聖書翻訳の底本となったみたい

2019-10-21 23:42:03
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

よし、実際に引用してみよう 詩篇聖詠対応表を作るね

2019-10-21 23:44:12
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

第一カフィズマ:1〜8章 これは一緒 第二カフィズマ:9〜16章 第九聖詠=第九章+第十章 (以降一個ずれる) 第三カフィズマ:17〜23章 第四カフィズマ:24〜31章 第五カフィズマ:32〜36章 第六カフィズマ:37〜45章 第七カフィズマ:46〜54章 第八カフィズマ:55〜63章 第九カフィズマ:64〜69章 (続く)

2019-10-21 23:52:21
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

第十カフィズマ:70〜76章 第十一カフィズマ:77〜84章 第十二カフィズマ:85〜90章 第十三カフィズマ:91〜100章 第十四カフィズマ:101〜104章 第十五カフィズマ:105〜108章 第十六カフィズマ:109〜117章 第百十三聖詠=第百十四章+第百十五章 第百十四聖詠+第百十五聖詠=第百十六章 (続く)

2019-10-21 23:59:33
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

第十七カフィズマ:108章 第十八カフィズマ:109〜133章 第十九カフィズマ:134〜142章 第二十カフィズマ:143〜150章 第百四十六聖詠+第百四十七聖詠=第百四十七章

2019-10-22 00:04:18

これから訳していきます

古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

じゃあ、これからLiliumで対応表を作ります

2019-10-22 00:05:44
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

というか、ネット上のテキスト(後でリンク貼るね)だと詩篇に合わせて組み直されている……? せっかく張り切っていたのに…… まあいいや

2019-10-22 00:18:21
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

*テキストそのまま引用するとOCSは非常に読みづらいので、綴りは標準化しておきます

2019-10-22 08:40:32
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

詩篇37:30 (Vulgata, Елизаветинская Библияでは36:30) 羅:Os iusti meditabitur sapientiam, Et lingua eius loquetur iudicium. 斯:Ѹста правьдьнагѡ поѹчатсѧ прємѫдрости, и ѧзыкъ єгѡ возглаголєтъ сѹдъ.

2019-10-22 09:07:45
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

ヤコブの手紙1:12 羅:Beatus vir, qui suffert tentationem, Quoniam cum probatus fuerit accipient coronam vitae. 斯:Блажєнъ мѹжъ, ижє прєтєрпитъ искѹшєнїє: занє искѹсєнъ бывъ, прїимєтъ вѣнєцъ жизни.

2019-10-22 09:41:47
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

次は聖書の引用ではなく、祈りの文言なので、ここは訳します

2019-10-22 10:00:52
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

羅:Kyrie, fons bonitatis. Kyrie, ignis divine, eleison. 斯:Господи, источникє благости. Господи, огню божии, помилѹи. "Kyrie, eleison"に関しては対応する文言が伝統的にありますが、それ以外は訳しました

2019-10-22 10:49:18
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

ところで、セクエンツィアと言って、カトリック教会で9〜15世期に作られた聖歌の曲種があるんだけど、 次はそのうちの一つ、Ave mundi spes Maria-Sequentiaからの引用 だから、これもまた訳さなきゃいけないっぽい

2019-10-22 10:57:36
古代教会スラヴ語たん(OCSたん) @LingSlavAntiq

羅:O quam sancta, quam serena, quam benigna, quam amoena esse virgo creditur! 斯:Ого какова свѧта, какова чиста, какова милостьна, какова красьна дѣво ѥстъ! creditur『(彼女は)信じられている』だけど、CSには無理に反映させなくてもいい気がするなぁ。『〜である』なら簡単だし

2019-10-22 12:40:09