ア㊙️イさんのお尻と学ぶドローン攻撃(更新中)

最近出版された軍事用ドローン(UAV/無人航空機)に関する英語の実証論文の中からいくつかピックアップしてまとめたのだ。大量に出版されている研究の中のごく一部でしかないから、今後追加する可能性があるのだ。 事実、法律、軍事的な知識に関する部分での誤りがあるかもしれないのだ。お尻さんはドローン研究の専門家ではないから、あまり鵜呑みにしないことをオススメするのだ!
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

法的拘束力はないとは言え、一部のUAVは「ミサイル技術管理レジーム(MTCR)」の規制対象なのだ。中国はMTCR非加盟国である一方、加盟国であり、かつUAVの開発をそれまでリードしていたのはアメリカにはUAV輸出に関して大きな壁があるのだ。 mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mt… (10/28) pic.twitter.com/6YAAl4skBG

2019-11-09 07:38:13
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

このように、非民主主義体制の方では、UAV拡散の引き金となるような需要と供給のショックが起こるのだ。じゃあ民主主義体制の側ではどうか?筆者達によれば、非民主主義国家とは対照的に、民主主義国家でのUAVの需要は徐々に減少していったのだ。 (11/28)

2019-11-09 07:38:14
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

これまで見てきたように、ドローンによる攻撃は時として市民に犠牲を出すことがあるのだ。そうしたUAVによる「誤爆」への批判が高まったのは2010-11年頃のことで、アメリカがパキスタンで行ったドローン攻撃(とそれによって生じた民間人の犠牲)がきっかけなのだ。 (12/28) pic.twitter.com/QejDaObmwl

2019-11-09 07:38:16
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

民間人の犠牲が生じた事で、ドローン攻撃の倫理的、あるいは国際法的な側面が議論されるようになったのだ。これは(一応は)人権を遵守しなければならない民主主義国家特有のもので、非民主主義国家はその辺りは無頓着なのだ。 cnn.co.jp/world/35038884… (13/28)

2019-11-09 07:38:16
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

つまり、政治体制によって差がなかったはずのUAVの導入確率は、 ・アラブの春 ・中国のUAV輸出開始 ・ドローン攻撃への批判 を経験した2011年以後、民主主義国よりも非民主主義国の方が高くなった、という予測が導かれるのだ。 (14/28)

2019-11-09 07:38:17
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

この研究が注目したもう一つの点が、「国家のプライド/ステータス」のシンボルとしてのUAVなのだ。 最先端の技術を開発・導入する事で自国の技術力の高さを国の内外に示し、国家としての名声や威信を高めようとするのは昔からよく見られる現象なのだ(例えば宇宙開発・核開発の競争とか)。 (15/28)

2019-11-09 07:38:17
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

見本市や航空ショー、軍事パレードでデカデカと宣伝されている事からもわかるように、UAVは現代のハイテクの結晶とも言える兵器なのだ。つまり、国家の威信や国際的な地位の上昇を追求する国ほど、UAVを導入する確率が高いことが予想されるのだ。 以上、仮説が出揃った所でいざ実証なのだ! (16/28) pic.twitter.com/3zzwkWDaFv

2019-11-09 07:38:18
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

この研究では、1994-2017年の間に世界168ヵ国が攻撃可能なUAVの導入や導入を決定したタイミング(定義は後述)を調査してデータ化したのだ。図で見てもやっぱり中国が重要な役割を果たしていそうなことがよくわかるのだ。 (17/28) pic.twitter.com/S8QqcVwASE

2019-11-09 07:38:21
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

このデータに加え、各国の ・政治体制(民主主義or権威主義) ・地位・威信の追求(後述) ・テロ(国内で発生したテロの件数) ・国際的な脅威(軍事的にライバル関係にある外国の数) ・1人あたりGDP のデータと統合し、統計分析を行ったのだ。 (19/28)

2019-11-09 07:38:22
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

ある国が地位や威信を高めることを望んでいるか否かをどう計るか?これは正確な測定が困難だからこの研究では代理指標を使っているんだけど、それがかなり興味深いのだ。なんとオリンピックの結果なのだ。 (20/28) pic.twitter.com/dCqLku5wvm

2019-11-09 07:38:23
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

政治とは無関係のはずのオリンピックが国家の名声を高める為に歴史的に利用されてきたのは否定のしようが無いけど、この研究はそれを逆手にとったのだ。地位や威信を高めたい国は、オリンピックでメダルを取る為に資源をめちゃくちゃ割くはずなのだ。 (21/28) pic.twitter.com/F85meklqOf

2019-11-09 07:38:25
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

つまり、オリンピックで「オーバーパフーマンス」を見せた国は、国としての威信や国際的な地位を追求している国でもあると考えられるのだ。ここでは、オーバーパフーマンスは「同じような国の平均メダル数よりも5個以上多くメダルを獲得した国」として定義されているのだ。 (22/28)

2019-11-09 07:38:26
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

もう少し詳しくいうと、各国の人口やGDP、政治体制、冷戦中か否か、開催国か否かという変数を使って1992-2016年までの各夏季五輪のメダル数を説明(予測)するモデルを作り、そのモデルで得られた予測値と実際のメダル数を比較しているのだ。 (23/28)

2019-11-09 07:38:26
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

また、UAV導入やその決定に関する分析は「生存分析」という手法が用いられているのだ。これは医学の分野なんかでもよく使われる手法で、例えば患者の生存率に影響を与える要因を分析する場合に用いられたりするのだ。 (24/28) pic.twitter.com/hjw387rus6

2019-11-09 07:38:28
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

統計分析の結果、UAVの導入/導入の決定は、1994-2010年の期間では政治体制によってその確率に差がない一方、2011-17年の期間では非民主主義国家の方が民主主義国家よりも確率が高い事がわかったのだ(図では生存確率が低い=UAV導入確率が高いことを表す)。 (25/28) pic.twitter.com/Bg3JFdFqLU

2019-11-09 07:41:17
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

また、国家としての威信を追求している国は、UAVの導入を決定する確率が高い事もわかったのだ(ただし実際の導入/acquisitionとは相関無し)。国のプライドをメダルの数で測れるのかは大いに議論の余地があると思うけど、個人的にはこういうアイデア大好きなのだ! (26/28)

2019-11-09 07:41:18
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

その他、 ・テロの数が多いほど ・軍事的なライバル関係にある国の数が多いほど ・1人あたりGDPが高いほど UAVの導入/導入の決定に至る確率が高いこともわかったのだ。ここら辺も割と予想通りという感じなのだ! (27/28)

2019-11-09 07:41:18
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

今回の話は papers.ssrn.com/sol3/papers.cf… からなのだ。 「威信/地位を求める国家はオリンピックのメダルも多い」というのは結構興味深いし、この研究以外にも使われてる代理指標みたいだから、それもいつか紹介するのだ〜! (28/28)

2019-11-09 07:41:19
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

[訂正] 18番目のツイートが抜けていたのだ… UAV導入の決定は -UAV開発の着手を表明 -政府が正式にUAV導入を表明 -UAV購入を正式に表明 のいずれかが行われたタイミングを、UAVを実際に導入したか否かは -自国でUAVを開発完了 -UAVを輸入 のいずれかが行われたタイミングで定義されたのだ (18/28)

2019-11-09 07:49:46

賛否両論のドローン攻撃:サーベイ実験による検証

ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

ドローン攻撃は国際法や道徳、あるいはその有効性といった様々な観点から議論されているんだけど、そうした議論の内容はドローン攻撃に対する有権者の支持・不支持に影響を与えるのか?この問いにサーベイ実験を用いて取り組んだ研究があるのだ。 (1/28) pic.twitter.com/Y8G2XIgmri

2019-11-11 16:46:02
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ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

民主主義国家では、軍事政策を含む政策決定を行う政府は選挙で選ばれているから(理論的には)有権者の意見が政策に反映されるのだ。ドローン攻撃があまりに有権者に不人気であればそれを続けるのは困難だから、こうした問題に関する市民の意見を分析する意義はちゃんとあるのだ。 (2/28)

2019-11-11 16:46:04
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

ドローン攻撃の賛否に関して多方面から様々な意見が出されているのだ。 論争となっている第一の点は、その有効性に関してなのだ。アメリカ政府やアメリカ軍は対テロ作戦におけるドローン攻撃の有効性を主張し続けているのだ(それを支持するような実証分析もある)。 twitter.com/bot99795157/st… (3/28)

2019-11-11 16:46:04
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

米軍は中東諸国で無人攻撃機(ドローン)を用いてテロリストの拠点を攻撃している訳だけど、果たしてこの作戦はテロ攻撃を減らしているのか、それとも逆に増やしてしまっているのか?最近の複数の実証的研究を参照しながら、この問題を考えてみたいのだ(前中後編に分割しますのだ) (1/21) pic.twitter.com/octhusKXL3

2019-10-10 19:46:35
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

その一方で、国連の人権理事会やNGOはドローン攻撃の有効性に疑問を投げかけているのだ。ドローン攻撃による「誤爆」によって対米感情が悪化し、テロ組織に加入する人を増やしてしまう恐れがあるのだ(一部そうした議論を支持するような実証分析もある)。 twitter.com/bot99795157/st… (4/28)

2019-11-11 16:46:04
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

あまりに主張がバラバラだから仕方なく連載形式をとった「ドローン攻撃とテロリズム」シリーズの3回目は、現時点で最新かつ分析の射程が最も広い研究なのだ。その研究では、米軍の意図に反し、ドローン攻撃は市民の過激化を通じてテロ行為を増やすという結論が導かれているのだ。 (1/21) pic.twitter.com/GM0RPcg8C9

2019-10-14 20:19:11
ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

また、ドローン攻撃への賛否は国際法の観点から議論されることもあるのだ。ドローン攻撃が違反している恐れがあるのは 1)開戦法規(jus ad bellum) 2)交戦法規(jus in hello) という(戦時)国際法なのだ。 (5/28)

2019-11-11 16:46:05
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