『AIでもわかる量子力学』にしろという電波もあるらしい。いかにも、意味深だ。 twitter.com/hottaqu/status…
2019-12-05 08:49:56量子力学自体が情報理論の一種なので、そういう21世紀流の学部生向け教科書は、やっぱり必要なのかもしれない。良い共著者、編集者、出版社からオファーがあれば、考えたい。『情報理論としての量子力学』とかのタイトルでも良い。理学部の学生さんが使える基礎物理の内容で。 twitter.com/hottaqu/status…
2019-12-05 04:41:10デコヒーレンスでは、純粋状態|ψ><ψ|が多数成分をもつ混合状態ρ=Σn p(n) |n><n|になります。測定による波動関数(量子状態)の収縮では、重ね合わせ状態にある純粋状態|ψ>=Σn c(n)|n>や、多成分の混合状態ρ=Σn p(n) |n><n|において、その中にある、ただ1つの状態|n_o><n_o|が非線形的に選ばれます。
2019-12-05 15:29:54|ψ><ψ|が混合状態ρ=Σn p(n) |n><n|になるデコヒーレンスは、全体系が線形でユニタリー的な唯物論的な普通の時間発展で記述できます。しかしρ=Σn p(n) |n><n|⇒|n_o><n_o|という状態変化は非線形であり、シュレ―ディンガー方程式では記述できないことは、古くから良く知られています。当たり前ですが。
2019-12-05 15:30:15語り得ることを語り尽くすことで語り得ぬことの輪郭を浮彫りにすることこそが、科学の本懐だと考えている。そして標準的量子力学の一部分は既にその輪郭にタッチしている。観測者である自分の意識の存在は、科学としては語り得ぬことであり、導かれるものではなく公理として扱われるべきものだからだ。
2019-12-05 15:38:08ベル不等式の破れの実験から前世紀には素朴な局所実在論は科学的に否定された。古い古典力学的世界像で実際の世界を語ることはもうできない。物理学者は世界の全ての問いに答えることは明らかにできない。科学で解答可能な良い設定の問題と、解答不能な不良設定問題をきちんと区別しなければならない。
2019-12-05 15:38:27量子力学は基本的な物理学理論である。それは本質的に確率論に基づいている。意識をもった存在が区別できる事象xに確率p(x)が付与されている。p(x)の分布が与えられているとき、観測して系が1つのxにあることを確認できる存在には意識がある。このことは量子力学では前提(公理)なのだ。
2019-12-05 15:38:53波動関数(量子状態)の収縮も、確率論においては当たり前。独立な自由度x、yについて、同時確率分布p(x,y)を考えると、yの情報がない時のxの分布はp(x)=Σy p(x,y)となる。ところがyを測定してy=sと知ってしまった観測者は、条件付き確率p(x|s)=p(x,s)/(Σx' p(x',s))でxの分布を予想できる。
2019-12-05 15:39:22例えば2つの電子スピンの量子状態|0>|0>+|1>|1>において、それぞれのスピンz成分の確率分布を考える。各々の演算子はσz⊗IとI⊗σzであるから互いに可換であり、スピンの値x=0,1とy=0,1に対して同時確率分布p(x,y)が量子力学で計算できる。具体的にはp(0,0)=p(1,1)=1/2及びp(0,1)=p(1,0)=0となる。
2019-12-05 15:40:001つ目のスピンのxの確率分布はp(x)=Σy p(x,y)であり、p(x=0)=p(x=1)=1/2となっている。ここで2つ目のスピンを測定して、y=0という結果を得ると、この1つ目のスピンの確率分布はp(x|y=0)=p(x,y=0)/(Σx'p(x',0))となり、p(0|y=0)=1, p(1|y=0)=0となる。
2019-12-05 15:40:20一様分布だったp(x)とは異なり、測定後のp(x|y=0)はx=0という事象に局在した関数となる。これが波動関数(量子状態)の収縮。量子状態で表すと、|0>|0>+|1>|1>→|0>|0>と表される。
2019-12-05 15:40:50yの測定結果を知らないアリスにとってはxの分布は一様なp(x)のままだが、y=0という測定結果を知っているボブにとってxの分布はp(x|y=0)である。つまり対象系に関する知識量に応じて、観測者毎に確率分布とその背景にある量子状態は異なっているのだ。
2019-12-05 15:42:05yを知らないアリスにとって、1つ目のスピンの量子状態は|0><0|+|1><1|という混合状態だが、y=0と知っているボブにとっては、1つの目のスピンの状態は|0><0|という純粋状態になっている。このように量子状態(波動関数)は観測者に依存した概念なのだ。
2019-12-05 15:42:27ボブは、元は重ね合わせ状態にあった第2のスピンが「y=0」という1つの状態にあると認識できる。これは量子力学の前提であり、測定時刻にy=0という唯一つの値をとっているという体験をするボブの意識の存在を前提としているのだ。
2019-12-05 15:42:41ボブにとっては、y=0とy=1が混ざっているというあやふやな感覚はなく、y=0かまたはy=1かのどちらかがはっきり認識できることが、量子力学の前提となっているのだ。だから観測者の意識の存在は、外せない量子力学の公理の1つになっている。
2019-12-05 15:42:59観測者の意識を理論から取り除いて、素朴な実在論で量子力学を語ろうとすることは無理なのだ。そういう夢は、前世紀に実験で否定され、既に破れている。量子力学は「モノ」を扱う実在論的理論ではなく、現在では「コト」を扱う情報理論の一種として位置付けられている。
2019-12-05 15:43:14心身一元論か二元論かなどの意識の問題は、科学としては不良設定問題であり、科学でどちらか1つに絞れることは決してない。そういう問題を科学として延々と考えるのは時間の無駄。そういうことは哲学者に任せて、若い物理学徒は、科学で答えられる良い設定の問題を探し出して、きちんと解いて欲しい。
2019-12-05 15:43:30波動関数の収縮はパラドックスではないということについては、下記記事も参照してください。 mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/…
2019-12-05 15:43:55本当に標準的なコペンハーゲン解釈の量子力学の塾を開かなくてはいけない気がしてきた。前世紀に哲学者たちに「観測問題」という名前のおもちゃにされ、物理学科の量子力学教育も、そういう暗黒時代のせいで、全くダメダメだった証拠とも言えるのだが。
2019-12-05 15:47:34お願いですから、量子力学を教える教員は皆さん本当にしっかりしてください。不利益を被るのは、これからの時代を拓こうとする若い物理学徒たちなのですから。 twitter.com/hottaqu/status…
2019-12-05 15:52:50量子力学をきちんと正しく教わらず、今も誤解したままで、多世界解釈とかパイロット波解釈とかにも魅かれてしまう若い物理学徒の皆さんは、QMKEK7に参加して頂ければ、その量子力学中二病に良く効くコペンハーゲン解釈という処方箋を差し上げます。是非。
2019-12-05 16:18:24TW上では、かれこれもう既に5年くらい、コペンハーゲン解釈に観測問題はないと説明してきて、物理業界のプロの間では、分野を超えてその理解が広まった実感はある。しかし量子力学ファンの方々の間には、まだ正確な形で浸透していなかったという事実に、自分の力不足を感じてしまった。まだまだだ。
2019-12-05 16:35:12@QuantumToy @x_seek0 「量子状態が変わること」がユニタリーで線形なら必要ないですが、重ね合わせやデコヒーレンスが起きた混合状態の中の多数の状態から、ただ1つの状態が選ばれる非線形的な量子状態の変化は観測者に意識がないと起きませんよね。
2019-12-05 16:38:02@QuantumToy ああ、言い方が悪くて通じていないのかもしれません。まず対象系が混合状態であれば、まず外部系を加えて純粋化して|Ψ>としてください。また観測者の自由度の初期状態|0>とのテンソル積が全体系の初期状態です。そしれその全体系はユニタリーな線形演算子Uで時間発展します。(続く)
2019-12-05 16:51:58