ゴーギャンと美術館と表現の自由をNYT記事から考える──"Is It Time Gauguin Got Canceled?"

2019年(令和元年) 12月

ＮＹＴ記事紹介──「ゴーギャンの作品を博物館から撤去しようという動きが出ているそうだ。 .. 馬鹿げてる。ポリコレはもはや文化大革命の域に来つつある。」

• Is It Time Gauguin Got Canceled? (2019/11/18) - The New York Times https://www.nytimes.com/2019/11/18/arts/design/gauguin-national-gallery-london.html

  Is It Time Gauguin Got Canceled?

  Museums are reassessing the legacy of an artist who had sex with teenage girls and called the Polynesian people he painted “savages.”
  　
  LONDON — “Is it time to stop looking at Gauguin altogether?”

  　　That’s the startling question visitors hear on the audio guide as they walk through the “Gauguin Portraits” exhibition at the National Gallery in London. The show, which runs through Jan. 26, focuses on Paul Gauguin’s depictions of himself, his friends and fellow artists, and of the children he fathered and the young girls he lived with in Tahiti.
  　　The standout portrait in the exhibition is “Tehamana Has Many Parents” (1893). It pictures Gauguin’s teenage lover, holding a fan.
  　　The artist “repeatedly entered into sexual relations with young girls, ‘marrying’ two of them and fathering children,” reads the wall text. “Gauguin undoubtedly exploited his position as a privileged Westerner to make the most of the sexual freedoms available to him.”

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　※引用記事。

• 「#MeToo」はクリアできない：歴史的大物5人のセクハラその他〔2019年12月08日〕 - ロシア・ビヨンド https://jp.rbth.com/arts/82951-metoo-ha-kuria-dekinai-rekishiteki-oomono-gonin-no-sekuhara-sono-ta

  ◆ポール・ゴーギャンの絵画の展示を禁止しようという声が上がっている。彼が、未成年のタヒチ女性に怪しからぬ行為に及んだから、というのがその理由だ。そこで我々も、ロシアの歴史をひもとき、今日では非難されるだろう「蛮行」をやらかした歴史的人物を見つけ出した。そして、全員にアメリカ式の厳罰を加えてみた。ちなみに、見出しの「#MeToo」（私も）は、ご存じSNS用語で、セクハラ、性的暴力などの被害を告白、共有する際に使われる。

  　いやあ、大変な時代に生まれたものだ！〔2019年〕11月28日、ニューヨークタイムズ紙に、ポール・ゴーギャン（言わずと知れた19世紀のポスト印象派の画家）についての記事が掲載された。とくにロンドン・ナショナル・ギャラリーでの彼の作品の展示を問題にしているのだが、その記事は題して「ゴーギャンの展示をキャンセルすべき時が来たか？」
  　これは、展覧会のスポンサーが、タヒチで数年間を過ごしたゴーギャンに成り代わり、ずばり聞いたものだ。私、ゴーギャンは、「若い女性と何度も繰り返し性的関係を結び」、「特権的な西洋人としての自分の立場を利用した」。このまま展示され続けてよいのか、と。
  　こうした状況を受けて我々は、ロシア文化、ロシア史の大物たちに同じアプローチを試してみることにした。正義を渇望する怒れる我々が、ハラスメント、虐待を行った人々の遺産を完全に禁止していたとしたら、どうなっただろうか？

  　〔※中略〕

  　以上のことから結論を導き出せるとすれば、こういうことだ。遠い昔に生きた作家、芸術家、君主を現代の視点から断罪するのも、彼らの私生活の醜行のためにその作品を非難するのもナンセンスである。
  　ロシアのジャーナリスト、ユーリー・サプルイキンが指摘したように、「ゴーギャンは、『健全な関係を促す』ことが期待されるロマコメと同列に裁くことはできない」。これは、他の歴史的人物にも言えることだ。

（反響）