あるツイートをきっかけに「妻の販売」と「女房を質に入れてでも」に関する知見、非同期的に投稿される
「女房を質に」だなんて、パートナーである配偶者をまるで「男性の所有物」としか思ってないような言葉が作家の口から自然と出てくるのヤバさしか感じないですね。 twitter.com/sow_LIBRA11/st…
2019-12-16 21:16:57磨伸映一郎先生の冬コミ新刊・・・これは全国のライトノベル作家が、女房を質に入れてでも手にせねばならん一冊かもしれんな。ec.toranoana.shop/tora/ec/item/0… pic.twitter.com/aV9hD0clmg
2019-12-16 19:47:102019年12月25日:『実はかつてのイングランドでは、「妻の販売」は離婚の合法的な手段と見なされており、(以下略)』
実はかつてのイングランドでは、「妻の販売」は離婚の合法的な手段と見なされており、その法的な根拠はどこにもないにもかかわらず、17世紀末から19世紀後半にかけて多数の事例が記録されている。
2019-12-24 17:32:191766年、結婚生活にうんざりしていたサザークの大工が、酒の席で独身の仕事仲間から英国の慣習法では妻を売ることは合法であると唆されて、その相手に妻を売ることにした。数日後、この取引を後悔した彼は売買契約を解消しようとしたが、元夫人からはそれを拒否され、彼は自殺した。
2019-12-24 17:33:32次の事例は残念ながら最初のほど爽快なものではない。1767年、メリルボーンの煉瓦職人は5シリング3ペースとビール1ガロンで自分の妻を売った。その三週間後、購入者の男性は二百ポンドの遺産を彼女に残して亡くなった。最初の夫はこれを知るや否や、自分の過ちを認めて彼女と復縁した。
2019-12-24 17:34:011773年のベル・インには次の奇妙な取り引き記録が残っている。「本日、スタッフォード教区のサミュエル・ホワイトハウスは妻メアリーを公開市場でバーミンガムのトーマス・グリフィスに販売した。売り値は1シリング(私はこれを書きながら赤面する)! 取り引きの全責任は購入側が請け負う」
2019-12-24 17:34:501805年、タックスフォードの男が自分の妻の首にロープを巻いて市場に現れ、妻子をあわせて五シリングで売った。「遺憾なことに、その場の誰も女性の首からロープを外し、男の背中に打ち付ける勇気は持っていなかった」と、記録者は述べている。
2019-12-24 17:35:121807年、リントンのジョン・ラプトン氏はジョン・ワディラブ氏の妻を百ギニーで購入することを申し出て、手付金の1ギニーを支払った。翌日、残金を支払いに現れたラプトン氏を、ワディラブ夫人は罵倒と脅迫で追い返した。手付金はただ取りされた。
2019-12-24 17:35:39ワディラブ夫人が売妻の最高値記録なら、次の1822年の事例は最安値記録である。カーリアンの不良少年トマス・ジョーンズは軽率な結婚をしたが、三週間で互いにその結婚を後悔した。そこで買い主が三週間以内に購入を取り消したい場合は半額で買い戻すという条件で、妻を三ペンスで売り出した。
2019-12-24 17:36:15七番目はようやく司法が介入した最初の事例である。1822年12月、プリマスのブルックスという人物が自分の妻を競売に出すとの通知を出した。予告通りに競売が行われ、入札額が3ポンドに達した時に、二名の巡査が会場に現れて夫妻共に逮捕された。
2019-12-24 17:36:51取り調べを受けたブルックス氏は、これは合法的な行為だと思っていたと釈明した。夫婦は長い間別居状態にあり、彼女のためなら20ポンドも惜しまぬという男性がおり、妻もこの男性との結婚を切望していた。この方法なら合法的に離婚できると教えられたため、妻も競売に同意したのだという。
2019-12-24 17:37:20以上の出典はチャンバーズ・ジャーナル誌1861年10月12日号の記事「妻の販売」より。 babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=uc1.…
2019-12-24 17:38:33少しさかのぼって2019年12月22日:『では実際に女房が質屋に入ったかと言うと、そうではありません(以下略)』
札幌市西区で営業をしている質屋でございます。昨今「嫁を質に入れてでも~」「女房を質に入れてでも~」なるワードが流行と聞きまして、少々まとめさせて頂こうと思います。まず語源でございますが「女房を質に入れても初鰹(江戸期)」が相当すると思われます。
2019-12-22 11:38:37札幌市西区で営業をしている質屋でございます。昨今「嫁を質に入れてでも~」「女房を質に入れてでも~」なるワードが流行と聞きまして、少々まとめさせて頂こうと思います。まず語源でございますが「女房を質に入れても初鰹(江戸期)」が相当すると思われます。
2019-12-22 11:38:37直訳的には「初鰹は余りに美味しいので、手元にお金がないなら質屋に女房を入れて金を工面してでも(旬が過ぎ去る前に)食べるべきである」と言うもので、大袈裟ながらも粋(イキ)な言い回しは江戸っ子らしい既知に富み、落語を始め、現代でも小説からマンガまで比喩表現の一つとして使われ続けます。
2019-12-22 11:38:37では実際に女房が質屋に入ったかと言うと、そうではありません。江戸時代の質屋は米蔵や酒蔵等を持つ商人が、商売の傍ら庶民の為のマイクロファイナンスを提供した背景が色濃く、女性や子供を質預かりした質屋が全くいなかったとは言い切れないものの、実際に預かるのは困難だったと思われます。
2019-12-22 11:38:38まず女性や子供を預かった所で鎖で繋いでおく訳にもいきません。三度の飯を食わせねばならず、これで働かないではアガッタリです。また勝手に敷地内を歩き回られては資財を盗まれる心配もあり、間者(スパイ)の可能性もある第三者を、家主が簡単に受け入れる事は多くはなかったでしょう。
2019-12-22 11:38:38また「女房を質に入れてでも~」にはオチがあり「手前(テメェ)ん所の女房じゃ質屋もお断りってなもんだがな」「違げぇねぇ」、両者大笑い。現代風に言いますと”鉄板のコント・ネタ”の類であったものが時代を経て、実際には嫁を質に入れないものの、慣用句として現代まで残ったと伝えられています。
2019-12-22 11:38:38ではなぜ、実際に質屋に女房が入るような話になったか。昨今時代劇が激減しているように、時代考証をしながら脚本を作る人材が引退、人材不足の時代となりました。お金を工面すると言えば、質屋の他に「高利貸し」が思い浮かぶでしょうが、時代考証が雑になると両者が混同されるようになります。
2019-12-22 11:38:38