内閣府資料『男女共同参画の視点からの公的広報の手引』文字起こし

内閣府男女共同参画局『男女共同参画の視点からの公的広報の手引』(2003年3月) 表現規制の話題で頻繁に引用される資料を手元に置くため転載。
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  • 平成15年版男女共同参画白書(内閣府男女共同参画局HP、2020年2月5日閲覧)

    第2節 国の行政機関の策定する広報・出版物等における性にとらわれない表現の促進
    内閣府では,平成14年度に策定した「男女共同参画の視点からの公的広報の手引」について広く周知し,国の行政機関が作成する広報・出版物において,男女の多様なイメージが積極的に取り上げられるよう推進するとともに,地方公共団体等においても同様の取組がなされるよう奨励する。

男女共同参画の視点からの公的広報の手引【1ページ目】

平成15年3月
内閣府男女共同参画局


CONTENTS
●公的広報の作成に携わるみなさんへ
●表現上の留意点
 1 男女いずれかに偏った表現になっていませんか?
 2 性別によってイメージを固定化した表現になっていませんか?
 3 男女を対等な関係で描いていますか?
 4 男女で異なった表現を使っていませんか?
 5 女性をむやみに”アイキャッチャー”にしていませんか?
●あなたの作る広報をチェックしてみましょう

公的広報の作成に携わるみなさんへ 【2ページ目】

◆ 共感を得られる広報のために
公的広報では、国民に必要な情報を正確に、分かりやすく伝えることが必要です。しかし、それだけで十分でしょうか?
伝えたいことをどう表現するかも重要です。内容以前に表現への反感を招くようでは、施策への理解や協力は得られません。
女性、高齢者、年少者、障害者、外国人など多様な受け手を意識し、共感が得られるような表現を心がけなければなりません。

◆広報にプラスする男女共同参画の視点
男女共同参画の視点に立つと、自分が抱いていた広報の受け手のイメージが意外に狭いことに気づくでしょう。
受け手をよく理解することで、より豊かなコミュニケーションが創り出されます。新たな視点で表現することで、これまでの固定的な考え方にとらわれない、フレッシュで魅力的な広報が可能となります。

◆男女共同参画社会の形成に向けた政府の責務
男女共同参画社会の実現は、21世紀の社会を決定する最重要課題です。男女共同参画社会基本法において、政府は施策の総合的策定と実施の責務を有するとされています。
公的広報の作成に当たっては、基本法の趣旨を踏まえ、性別に基づく固定観念にとらわれない、男女の多様なイメージが社会に浸透していくような表現にすることが求められています。

表現上の留意点 1. 男女いずれかに偏った表現になっていませんか?【3ページ目】

1-1. 女性にも男性にも伝わりますか?

広報の受け手には男性も女性もいることを念頭に置いて表現しましょう。広報の内容が男女双方に関わるにもかかわらず、どちらかが想定されていないかのような表現を使うと、伝えるべき相手に正しく伝わりません。

勤労者すべてを対象とした制度にもかかわらず、「-マン」という、男性をイメージする言葉やイラストを使うと、女性は、自分が対象ではないと感じるかもしれません。

1-2. 男女が登場していますか?

広報の内容が男女双方にかかわる場合、登場する男女のバランスにも配慮し、いずれかに偏らないよう心がけましょう。

女性が参加できる行事であっても、左のイラストでは男性ばかり描かれているため、女性が参加しにくい印象を与えるかもしれません。

表現上の留意点 2. 性別によってイメージを固定化した表現になっていませんか?【4ページ目】

2-1. 男女を固定的に描いていませんか?

「男は仕事、女は家庭」といった性別による固定的な役割分担を強調したり、性別で職業を分ける表現ばかり用いるのではなく、男女が仕事や家事・育児で協力したり、様々な職業に就いたりしている現実を反映させる表現を心がけましょう。

弁護士はいつも男性でしょうか?現実には、弁護士の約1割、司法試験の合格者の約4分の1が女性です。

2-2. いろいろな個性を表現しましょう

好みや行動は人それぞれです。固定的な性別イメージだけで表現せずに、多様な現実を反映させ、男女それぞれを幅広いイメージで表現しましょう。

男の子は球技、女の子はなわ跳びなどと性別で分けて画一的に描きがちですが、現実には、男の子も女の子も様々な遊びをしています。

表現上の留意点 3. 男女を対等な関係で描いていますか?【5ページ目】

3-1. 男性がいつもリーダーでしょうか?

常に、男性を中心的な存在、指導者的な立場、守る側として、女性を周辺的な存在、従属者的な立場、守られる側として描かず、男女は対等で、地位や立場も様々であることを示す表現を心がけましょう。

性別と立場、関係を結びつけた表現にしないで、多様な表現を工夫しましょう。

3-2. 被害者はいつも女性でしょうか?

常に強者を男性、弱者を女性で描いたり、常に加害者を男性、被害者を女性で表したりするのでなく、性別と結びつけない様々な表現で描くよう心がけましょう。

加害者は男性、被害者は女性とワンパターンで描くのではなく、内容に応じて違った表現を工夫してみましょう。

表現上の留意点 4. 男女で異なった表現を使っていませんか?【6ページ目】

4-1. 「女性」をかぶせる必要はありますか?

職業や地位に触れるときに、女性の場合だけ性別を冠するのは、女性を例外的に扱うものと思われ、平等な扱いとは受け取られないことがあります。性別への言及があえて必要なのかを考えましょう。

女性の社長を「女社長」と呼べば礼を失してしまうでしょう。性を冠した用語を使用する際には、受け入れられる表現なのか注意すべきです。

4-2. 性に特有な表現は必要でしょうか?

男性又は女性だけに使われる表現には十分注意し、男女いずれに対しても使える他の言葉を探したり、別の言い方に変えたりするなどの工夫をしましょう。