埼玉県『男女共同参画の視点から考える表現ガイド』の研究(1):表現ガイドの現在位置
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てか、ガイドラインはあんまりよく考えてないひとたちがあんまりよく考えなくてすませられるように、あるいは考えるべきときに参考にするようにあらかじめ詳しい人々によって考えられたものだ。
2019-11-03 11:40:17『表現ガイド』の場合、「分かりやすい例」を示すことで、
男女共同参画の視点から考えて、どのような表現がなぜ問題なのか、そしてより適切に表現するにはどうしたらよいかを考える手がかりを提供する
(2頁「表現ガイドのねらい」)
という目的に適うよう作成されている。
ここで注意しておきたいのは、「分かりやすい例」とは「極端な例」でもあるという点である。
男女共同参画と表現の関係について基本的な考え方を広めるためにあえて「極端な例」を採用しているのであって、多様で複雑な現実の広報表現と向き合ったとき、同じように簡単に線引きできると考えるのは端的に言って誤りである。
また上で指摘したように、2018年版『表現ガイド』は2003年版から内容がアップデートされているのか疑義がある。女性の権利意識の浸透・向上、生活様式の多様化、ダイバーシティの要請、マンガ的表現の普及など、この間に起きた社会環境の激変を反映していない可能性があるということは、肝心の『表現ガイド』の内容に対する信頼をも毀損しかねない。
したがって、男女平等やジェンダーに関する自分の主義・主張にいくら整合的だからといって、ろくに内容を精査しないまま『表現ガイド』に飛びつくと、次のまとめのように内なる「差別」意識を自ら露呈してしまうおそれがあるので、くれぐれも注意されたい。
駆け足ではあったが、以上で『表現ガイド』の総論に相当する部分をひとまず検討することができたと思う。
Twitter上で侃々諤々の議論を呼び起こしている『表現ガイド』の具体的な中身についてはいまだ踏み込めていないが、こちらについては次回以降の検討記事を気長にお待ちいただきたい所存である。
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