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kasajimajima
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「温かい感覚を感じるニューロンはない」そんな衝撃的な論文が出ました(Neuron) ざっくり結論を述べると、今まではずっと「温かい刺激により発火するニューロンが感覚を伝える」と信じられ、研究が進んでいましたが、実はそれが間違いだったらしく、 (続く cell.com/neuron/fulltex…
2020-03-24 14:15:51
実は、ひんやりした刺激を感じるニューロンが、温かい刺激に伴って活動を抑えられ(発火が減り)、その結果、温かい刺激を感じることができる、ということがわかりました。 今までの温度感覚研究界隈的には衝撃的な発見で、本当に虚を突かれた、と思っている人も多そうな気がします。 (続く
2020-03-24 14:15:51
私が知っている限りの詳しい経緯を述べると、1997年のカプサイシン受容体(TRPV1)の発見から、温度感覚とはその温度に対して感受性のあるイオンチャネルが存在し、その活動によって感覚神経の発火を介して温度を感知することできる、という考えが定石となりました。 (続く
2020-03-24 14:21:27
実際、その流れでたくさんのTRPチャネルが温度センサーとして同定されてきました。その中で2000年初頭に、ひんやり受容体(メントール受容体)のTRPM8が同定され、冷刺激といえばTRPM8、温かい刺激はそれ以外(TRPM系やTRPV系)とみなせるくらい、TRPM8は温度受容TRPの中では異質な存在でした (続く
2020-03-24 14:25:17
温かい刺激は誰が感知するのか。それは今までずっと謎でしたが、最近ようやく、TRPM2というイオンチャネルではないか、という論文がNatureに出ました。しかしTRPM2を発現する感覚神経はほんの数%で、そんな数で本当に温度感覚神経として機能できるのか?少なくとも私は疑問でした。
2020-03-24 14:28:42
そのような流れの中での今回の論文。 実は、手足末端の温度付近ではひんやりセンサーTRPM8が常時活性化していて、それが温かい刺激によって抑えられることがシグナルとなり、マウスは1℃という微細な温度変化を近くできることがわかったのです。TRPM2など他とは独立したシグナルだとも示されました。
2020-03-24 14:32:02
もちろん、マウスとヒトとで、手足末端温度に差はあるので(マウスの方が小さいから温度が低い)、もしかするとマウスとヒトでは、このシステムは完全に一緒ではないかもしれません。しかし、そんなことよりもとても重要な発見をしています。 それは、「OFFシグナル」の実証です。
2020-03-24 14:34:00
これまで感覚神経では、「何かを感じる=神経の活性化」が定石でした。感覚神経が発火しないと情報は伝播されないので、当たり前ではあります。しかし、今回の論文はそこを覆して、「神経活動の不活性化」がシグナルとなることを感覚神経レベルで実証しました。
2020-03-24 14:40:49
今回の研究が示すことは、「とある刺激に感受性を『持つ』イオンチャネルを同定しよう」とし続けていた現在まで流れでは、もしかすると見落としがあるかもしれない、ということです。 温度感覚を含めて、体制感覚センサーの研究は、これから新時代を迎えるかもしれませんね。
2020-03-24 14:40:49
本体は上 / ぷにぷにやってません / 大学助教 / ペーパー薬剤師 / 趣味でプログラミング(Python)勉強中。 科学論文の最新情報を呟きます。お気軽にフォローして下さい!※ツイート内容は個人の見解です 質問はこちらへ→ peing.net/ja/puni2azaras…
反応

あー 雪山なんかの極低温環境で、最後は暖かさを感じながら死ぬって言われてるのは、 寒さにやられて冷たさを感じるニューロンが機能停止(不活性化)するということだったのかな
2020-03-24 15:48:25
ほんとう? ツイート元の記述に矛盾はないけど、「熱いっ!」って手が引っ込むほどの熱だとその理論とは別になると思う(痛覚なのかも)
2020-03-24 17:21:50
TRPM8による冷感の度合いには限りあるから、ドライアイスなどの侵襲的冷却のときには、TRPV1と共発現しているTRPA1が活性化し、優先順位により「かなり冷たい!(痛い)」を感知しているのだろう。そのために、共発現しているということかな。 twitter.com/puni2azarashi/…
2020-03-24 17:20:09