日本のトラブルが日本の美徳と同根かもしれない件
- reservologic
- 2450
- 0
- 1
- 0
1 ものには二面性があるという話。僕の同僚に、日本ですごく良くしてもらったから、今度は日本人を助けたいと言ってくれているのがいます。その人は日本で英語を教える仕事を見つけて、家族で京都に引っ越して、数年日本に住んでいました。ところが、この人は右も左もわからない。
2011-06-17 10:35:362 おまけに、日本語もさっぱりという人だったから、子供のこと、保険のこと、何から何まで、日本人の世話になったというんですね。日本語で申請しなければならない書類は全部係の人に書いてもらい、トラブルがあれば近所の人に日本語で電話に出てもらい、それで日本の生活に何の支障も出なかったと。
2011-06-17 10:35:383 そういう、官民ぐるみの「親心」的な親切に、その人はいたく感激し、日本と日本人が大好きになって豪州に帰ってきたわけです。そんな豪州人はその人だけではなく、'Japanese hospitality' が豪州人の対日感情の良さの大きな部分を占めています。
2011-06-17 10:35:394 そんなわけで、豪州人に取って日本のイメージはすでに日本製品の優秀さだけでなく、奇異なエキゾティシズムだけでなく、エキセントリックなアニメやお笑いだけでなく、そんな文化全体をうっすらと覆う日本的な親切心として浸透してきています。
2011-06-17 10:35:405 この「親心」的な親切心は、ひっくりかえすと国民を子供、もっと悪く言えば何にも知らない蒙昧な人々としてしか見ていない政府の発想につながっています。それが政府が「国民」に与えた定義だから、国民はいつまでも国(官)に取っては「無知蒙昧」な存在だし、またそうあらねばならないわけです。
2011-06-17 10:35:416 啓蒙が足りず、文盲率も高かった昔はそれで世の中が回っていたし、現にそれは、右も左もわからない外国人に対して、今でも前向きに機能しています。
2011-06-17 10:35:467 かつての日本のこそ泥やチンピラや殺人者の中には低学歴で文字も文章も書けなかったのがいて、それに対する親心が「代わりに調書を作文してあげる」警察官や検察官だったかもしれません。家族へのがん告知を避ける気分と安全デマを流す文化もきっとどこかでつながっています。
2011-06-17 10:35:478 でも「親心」から発した親切も、悪用しようと思えばいくらでもできる。それを官僚や大会社が功名心と事なかれ主義に利用したのが冤罪事件や東電の事故隠蔽です。
2011-06-17 10:35:499 日本的な親心悪用の前提は悪用する側がいつまでも「親」でありつづけることですから、そのためには金と情報を独占し続けたい。だからこその取調べ可視化に対する抵抗だし、原子力村の結束と、メディアスクラムなわけです。
2011-06-17 10:35:5010 可視化を阻む司法、無事故を前提とする原発、政府批判をしないメディアスクラムは、どれも、もともとが「日本的」な親心だから、豪州人にはなんでそんなことが起こるのかなかなか理解できません。
2011-06-17 10:35:5111 この、世にもユニークな表裏一体の日本的な「親心」をなんとか残しつつ、その良い面だけを育てていくということはできないものだろうか、と、日本滞在から満面の笑みをたたえて帰ってくる豪州人を見ながらいつも考え込んでしまいます。
2011-06-17 10:35:52