検察庁法改正案に関して、特に大屋雄裕氏の論を中心に 2020年5月10日~

公務員の定年、黒川弘務検事長の定年延長、検察の定年延長、役職定年、「三権分立」、安倍政権の運営の問題、など
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Takehiro OHYA @takehiroohya

まあただこの件からもわかるように法律というのは全体で一つの体系になっていて、内部の前提や解釈手法について理解していないとなかなか正確には読めない、特定の法律や条文だけを取り出して読もうとすると間違うことが多いのです。

2020-05-12 11:34:07
Takehiro OHYA @takehiroohya

プログラムで使われている単語が英語だからアメリカ人はプログラム読んで理解できるかというのと同じで、日本語で書かれているように見えても実は(普通の)日本語ではない。まあそれが民主政の原理に照らしてどうなのかという指摘はあり得るところですが。

2020-05-12 11:34:07

検察官の地位に時の内閣の「恣意」が及ぶ、という論法について


Takehiro OHYA @takehiroohya

①仕事の合間なので別の件を説明しますが、国公法等改正案によって検察官の定年延長や継続勤務を政権/内閣が恣意的に決められるようになるという批判、「恣意的」という言葉の用法がかなり特殊で誤解を招いている(招こうとしている)ように思いますね。

2020-05-12 13:23:04
Takehiro OHYA @takehiroohya

②普通こうだよね、というのをまず確認すると、たとえば私が学食に行っていろいろなメニューから自分の食べるものを制約なく選ぶことができる。事後に「なんでカレーなんか食べたんだ」と誰かに問い詰められたりしない。これは「恣意的に選択できる」と言って100%いいだろう。

2020-05-12 13:23:04
Takehiro OHYA @takehiroohya

③選択の理由を問われる場合はどうか。道ばたのヤンキーに因縁付けられるというのは相手の問いに正当性がなく、やはり恣意的な選択だと言っていいだろう。ではお小遣いの使途が両親にチェックされ、不適切だと判断されれば翌月に減額される場合にはどうか。

2020-05-12 13:23:04
Takehiro OHYA @takehiroohya

④事後に減額されることを恐れるので私の選択には実質的な制約が生じるだろう(お菓子ばかり買うわけにいかない)。これを「恣意的な選択」と言うのはやや適切でない。

2020-05-12 13:23:05
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑤もちろん両親に「カレーにしなさい」と言われていれば恣意的選択ではないし、「カレーかラーメン」と指示されているなかでカレーを選ぶことも、普通は恣意的な選択とは言えないだろう。特に(減額措置のように)責任追及の方法がある場合には。

2020-05-12 13:23:05
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑥さてまず一般公務員の方を考えると、役職定年については、法定(案81条の5第1項)に加えて人事院規則の定める理由があるばあいには延長でき、再延長には人事院の承認が必要とされている。継続勤務についても似たような制度(案81条の7)。

2020-05-12 13:23:05
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑦もちろん要件を満たしている場合にも「任命権者は……できる」なので「しない」裁量はあり、それを規制するルールはないので恣意的だと言える。しかし「する」側については基準が事前に定められており、他者の介入もあるので「恣意的」とは言えないだろう。

2020-05-12 13:23:05
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑧当然ながら、役職定年の延長/継続勤務を決めたことは公開情報なので(あえてそれだけを報道発表するかどうかはともかく)その判断が適切かをめぐる政治的・社会的な責任追及も行なわれ得るだろう。この点も「恣意的」とは言いにくい方向に働く。

2020-05-12 13:23:06
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑨検察官はどうか。人事院規則ではなく法務大臣の定める準則(案9条3項)であり「内閣の定める場合」「内閣の定めるところ」(案22条2項)なので人事院という中立性の期待できる機関よりは弱い、自分で自分のルールを決めていることになるという指摘はまず正しい。

2020-05-12 13:23:06
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑩ただし、準則にせよ内閣の定めにせよ、事前に定められ公開されている必要がある。規定は大臣・内閣を超えて有効性を保つので、仮に野田内閣でこの改正が行なわれそれに基づいた「内閣の定め」が置かれた場合、安倍内閣もその内容を遵守しなければならない。これは制約されていないと言えるのか。

2020-05-12 13:23:06
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑪もちろん内閣は「内閣の定め」を変えられるので制約として弱いというのは事実。ただし変えたことも、変えた結果としてどのような決定をしたかも公開されることになり、政治的/社会的批判の可能性は開かれている(だから国会で追及されたわけだ)。

2020-05-12 13:23:06
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑫「俺はカレーを食うのだ」と内心で決めているだけでは実質的な制約にならず、その場で「やっぱりラーメンにしよう」と言い出すのを止められないというのは正しい。しかしそれを事前にルールとして書き、正当な権限に基づく責任追及がされる場合にも同様に制約されていないと言えるのか。

2020-05-12 13:23:07
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑬それでもとにかく絶対的な保障になっていないというのは正しい。ただ人事官も国会同意人事とはいえ内閣の任命だし、人事院規則は独自に制定することができて議会による統制は及びにくい。ここで人事院規則に基づけば恣意的ではなく、内閣の自己統制は恣意的だと線を引くのは、特殊な定義だろう。

2020-05-12 13:23:07
Takehiro OHYA @takehiroohya

⑭絶対的保障でなければ恣意的だ、一般公務員の定年関係も内閣の恣意的な決定に委ねられるのだという立場もあり得るが、やはり特殊な用法だろう。特殊なものが特殊だということを注意せずに使う人はいったい何を狙っているんですかね、という話になるのではないだろうか。(終)

2020-05-12 13:23:07
Takehiro OHYA @takehiroohya

ありがとうございます。これなんかが私の言及した「恣意的」という言葉を恣意的に使っている例ですね。Horiさんは(私から見て)政治的なpreferenceで荒れていないときはまともな方なんですが(というのはトートロジー気味ですが)。 twitter.com/CookDrake/stat…

2020-05-13 18:14:38

Takehiro OHYA @takehiroohya

検察って本来、職務は独立・身分は統制という意味で特殊なんだと思うんだけど、身分を独立にしたら職務が独立になるという根拠のない話してないか、下手すれば身分が独立・職務は統制というダメな事態になってるのを隠蔽してないかという疑問は持つべきだと思うんですよ。

2020-05-15 01:06:52

Takehiro OHYA @takehiroohya

まあこの問題、亀井さん@現代ビジネスが決定版だと思うのですが論点が一つだけあって、定年延長等が必要だとしてもその要件は法律に書き込むことで決定の恣意性を抑制すべきだという話。この意見が当然にあり得ることは前提で、しかし公務員人事は議会からの独立も重要視されてきた領域です。

2020-05-16 17:10:29
丸尾宗一郎 @miduwo

亀井源太郎先生に書いていただきました。検察庁法改正についてプロの法学者の視点で整理・解説してくださってます。検察の独立の意味や、検事長の勤務延長と法改正の関係、改正案の条文の問題など丁寧に切り分けて論じてくださってるので、ぜひ丁寧に読んでほしいです。 gendai.ismedia.jp/articles/-/725…

2020-05-15 06:17:42
リンク 現代ビジネス 「検察庁法改正」の論じ方(亀井 源太郎) @gendai_biz 「現代ビジネス」は、第一線で活躍するビジネスパーソン、マネジメント層に向けて、プロフェッショナルの分析に基づいた記事を届ける新創刊メディアです。政治、経済からライフスタイルまで、ネットの特性を最大限にいかした新しい時代のジャーナリズムの可能性を追及します。 44 users 566
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