「合理的経済人」の役割

「合理的経済人」という仮定の役割についての経済学者・その周りの人々の意見
2
田中久稔 / Hisatoshi Tanaka @hstnk

経済学入門では評判の良くない「合理的経済人の仮定」ですが、あれには「分析者と、分析される対象を、同じ知的レベルに置く」という意味あいもあるんですよね。「経済学を知っている賢い私が、二本足の獣である君たちを分析してあげよう」みたいなマウント行為を未然に防ぐための枠組みというか。

2020-05-30 02:39:25
田中久稔 / Hisatoshi Tanaka @hstnk

「一見すると愚かにも見える人々の行動にも、隠された合理的な理由があるに違いない。勉強させてもらいます」というスタンスの表明が「合理的経済人の仮定」なわけです。知的平等主義とでもいうんでしょうか。

2020-05-30 02:39:26
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

これはその通り。だからこそ、非効率な状態、つまり、各個人が最適な行動をとっているにもかかわらず、各個人の評価基準に照らし合わせてよくない状況になっているのを、ルールを調整してなんとか変えよう、という話が意味をもつ。そうでなければ馬鹿の行動正そうとか価値観叩きなおそうになりがち。

2020-05-30 11:05:12
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

このように、合理的経済人の仮定には社会のあり方に介入する立場への規範的要請という側面があるので、この仮定を緩めるときは経済学者は文字通り恐る恐るやる。その緩め方の含意を理解できるよう、数理的に記述できるクラスの緩め方しか認めないし、緩め方の実証的な妥当性を厳しく問う。

2020-05-30 11:27:54
Kohei Kawaguchi=Sunada @mixingale

なので無造作に合理的経済人の仮定をはずして議論している人をみると、回転するドリルのそばでヒラヒラした服を着てる人をみたときのようにハラハラするようになってしまう。

2020-05-30 11:40:34
おきさやか(Sayaka OKI) @okisayaka

スミスが前提ならそれはそうだろう、と思いつつも、説明のわかりやすさとしては「あの合理的経済人の仮定は、物理学の理想状態みたいなもの」という説明の方が上と信じていたんだけど、この感覚は科学史的すぎるのだろうか。

2020-05-30 10:50:23
坂井豊貴(web3: ONGAESHI, Chainsight) @toyotaka_sakai

わたしも「合理的経済人」は、物理学の理想状態のようなものだと考えています。それ以外の何物でもないです。理想状態を用意しておくと、比較(という科学の基本作業)ができるようになって、めちゃくちゃ便利です。理想状態と現実との差異によって、ある現象(や対象)をとらえられるようになる。 twitter.com/okisayaka/stat…

2020-05-30 11:15:58
坂井豊貴(web3: ONGAESHI, Chainsight) @toyotaka_sakai

「A-B=ヒートアップ」というように明確な位置づけができると認識に便利です。私はオークションはじめ仕組みの設計で商売をしていますが、そこでは、さまざまな現象を明確にとらえる力が大切です。データ分析もしますし、事例も知っていますが、結局は認識フレームワークが一番の道具です。

2020-05-30 11:21:10
坂井豊貴(web3: ONGAESHI, Chainsight) @toyotaka_sakai

人間は、現象そのものを、それ単独でとらえるのが苦手なんです。たとえばオークションで勝ちたくて「ヒートアップする人」ですが、これは「合理的経済人」という比較像があるから、それとの差異として「ヒートアップ」という現象をとらえられるようになる。

2020-05-30 11:17:29
坂井豊貴(web3: ONGAESHI, Chainsight) @toyotaka_sakai

ところで「認識フレームワークをもっていること」は、他者からは見えにくいです。話していて整理が明快だと思ってもらっているとは思いますが、目に見えない。目に見えないものは、課金されにくいですね。だから商売として成立させるためには、目に見える形での成果物を作るというのが必要になります。

2020-05-30 11:22:32
坂井豊貴(web3: ONGAESHI, Chainsight) @toyotaka_sakai

で、少し話は飛ぶかもしれませんが、いわゆる「人文軽視」というのは、「認識フレームワークをもっていること」が他者からは見えにくい、にわりと起因すると考えています。見えにくいので、課金してもらいにくい。この点「こういうデータ分析をしました」は見えやすいので、課金してもらいやすい。

2020-05-30 11:24:36
坂井豊貴(web3: ONGAESHI, Chainsight) @toyotaka_sakai

人文知で食べるには、人文知ならではの認識フレームワークの意義や能力を認めてもらうことよりも、どうすると先方が課金しやすくなるかを考えるほうがよい(成功率が高い)と常々考えています。

2020-05-30 11:25:55
テキスト冒頭bot @beginoftext

私はここで「合理性」について包括的な議論を行うつもりもないしその能力もないのであるが、「合理的」「非合理的」という言葉はいかにも中立的な面をして人の行為を正当化したりケチを付けるのに便利な言葉として… ―林貴志『ミクロ経済学増補版』amazon.co.jp/gp/product/462…

2020-05-29 04:33:25
Takashi Hayashi @tkshhysh

こういう非対称性を持ち込むことを僭越と思う健全さと、「じゃあみんな(等しく)合理的ってことにしようぜ」としてしまうこととの距離は意外なほど小さい。twitter.com/uncorrelated/s…

2012-05-29 00:25:36
uncorrelated @uncorrelated

行動経済学が分析者が知っている合理的な行動と、実際のプレイヤーの行動の差を見ている事を思い出す。twitter.com/tkshhysh/statu…

2012-05-28 23:47:05
Takashi Hayashi @tkshhysh

これは,経済学の関心事が「互いに異なる,個々には固定的かつ安定的な諸価値の間の通約可能性」にあることに拠る.必ずしも「行動一般」に興味はないのだ.また,社会と個人が有機的な連関を以って価値感情を形成する有り様またはあるべき姿を「まるごと」理解することにもない.(拙著より)

2014-07-09 12:33:58
板わさ @Fresher_Sengyo

うーん、合理的経済人の仮定ってそもそもモデル化してるんだから単純化して当然だし、利潤の最大化を前提にしてるから、何かを関数で表現したときに最大値を求める事ができるわけだから、そこに対する否定ってそんなに必要なのかな? 難しい事は分からん

2020-05-30 12:33:01
板わさ @Fresher_Sengyo

でも行動経済学が合理的経済人のアンチテーゼ的に生まれたのもまた事実だし、 行動経済学が社会心理学とか脳科学的側面が強くなるのもまた事実 「合理的」をどのように定義するかにもよるか… プレゼントをあげることで得られる利得、幸福感が使うお金よりも大きいなら合理的と言えるだろうし…

2020-05-30 12:35:04
甘味処 @kanmitokoro

「合理的経済人」は物理学の理想状態のようなものだととは言う――個人的には同意する――けれど、これが経済学の知見でございとやってる経済学者な方々がその理想状態を言葉通り理想でありそうなるべきものとしてとらえてるとしか思えない現実無視の提言することが多すぎ問題。

2020-05-30 12:56:20
S @shigeki_econ

これは自分が講義ノートなどでも強調しているのだけど,経済学の方法論的個人主義を利己主義と見て批判する人もいる.経済学の考える個人の効用(選好)はその個人の好みというよりは,その人が特定の選択をする動機の強さを表していると言ったほうが適切で,家族や友人,社会のための行動を排除しない

2020-05-30 13:36:18
S @shigeki_econ

(多くの応用では社会的選好を考慮することはないが,それは「たとえ」利己的な人ばかりでも社会的により良い帰結が得られるようにしたいという気持ちもあるのだと僕は思ってる)

2020-05-30 13:36:51
S @shigeki_econ

経済学の枠組みで表されているのは,むしろ個々人の独立,自立的な意思決定であって,個人の行動の動機やその選択は尊重されるべきものであり,それを所与とした上でどのように社会的により良い帰結を達成できるか,というのが多くの場合,我々のしたいこと(だと僕は思います).

2020-05-30 13:38:04
該当なし @humanic_bird

@Fresher_Sengyo 突然失礼します。 私も今そこで詰まっていますが、「合理的経済人の仮定は単純化のために必要」というよりも、「人は利得に反応しやすい」という認識のほうが強いと思われます。だからこそ、批判する人達は「人間はそこまでできた人間では無いから、利得に反応しづらいのでは無いか?」(続く)

2020-05-30 14:56:36
板わさ @Fresher_Sengyo

@humanic_bird 経済学的には言えないと思うのですが、 その、ある人にとってはAを使うことの利得全てよりも好きなBを使うことによる利得、満足感が大きければ十分に合理的と言えるのではなかろうか、 一見非合理に見えても、当事者からしたら合理的なのではなかろうか、 うーん、わからん、といったところです

2020-05-30 15:18:34
該当なし @humanic_bird

@Fresher_Sengyo その問題のみの話で良いのならば、まずですが経済学において合理的経済人は「効用」を最大化させるという話であり、(厳密にどうなのかは忘れましたが)金銭的・時間的・物的利得を最大化することではありません。「効用」というのは「その人の満足感」を指し、それはお金に変えることが可能と(続く)

2020-05-30 15:25:03
該当なし @humanic_bird

@Fresher_Sengyo ことで効用は最大化されるはずです。 よって利得最大化と効用最大化は厳密には違うものであり、(効用の中に利得が含まれていると思われます)合理的経済人は「効用を最大化させる」という仮定だったかと思われます。

2020-05-30 15:31:35