もし、「江戸城再建」すると、何が起こるか？ ――消えた江戸城（天守閣）と、皇居の歴史

しろうと @sirouto

だから、もしかりに、ホリエモンが都知事になったとしても、都知事の一存で、江戸城再建はできない。宮内庁の許可が必要です。

しろうと @sirouto

ところで、ホリエモン以前にも、江戸城再建を唱える人はいました。江戸城再建を目指すNPO法人などは、「世論しだい」で許可が出ると考えているようです。

しろうと @sirouto

住民投票、さらには国民投票などで、世論を確認した場合、実現する可能性があるかもしれないと。

しろうと @sirouto

しかし、そもそも「建てるべきかどうか」というのが問題。私は、江戸城再建する必要はない、少なくとも皇居で再建する必要はないと考えています。

しろうと @sirouto

なぜ、そう考えるのか、政治、歴史、文化、宗教などの側面から見ていきます。

しろうと @sirouto

これは、一冊の本になるくらい、重層的で複雑な話ですが、まず一番分かりやすい所から話していきましょう。

しろうと @sirouto

ホリエモンの著書『東京改造計画』では、「宮内庁」は「抵抗勢力」として扱われています。

しろうと @sirouto

しかし、少し歴史（日本史）を考えれば、これはおかしいのではないか、ということに気づくはず。

しろうと @sirouto

そもそも、江戸城跡が今の皇居になった経緯をふり返れば、「明治維新」（と王政復古や大政奉還など）が起きたからでしょう？

しろうと @sirouto

（明治）新政府軍と（江戸）幕府軍に別れて、戦争をした結果、新政府軍が勝って、明治政府ができた訳です。

しろうと @sirouto

ならばなぜ、「朝敵」である徳川家の江戸城（天守閣）再建を、宮内庁が許可しなければいけないのか？　意味が分かりません。

しろうと @sirouto

この一言で終わらせてもいいのですが、論点を広げていきます。

しろうと @sirouto

「江戸城再建」は、じつは過去にも国会で答弁された（！）ことがあります。再建を推進する議員がいるのです。

しろうと @sirouto

その時に、文部科学省の大臣が、「江戸城は武家の徳川のものだが、皇室は武家ではない」といった主旨の発言をされていたかと思います。

しろうと @sirouto

ここで、ものすごく当然のことを確認しておくと、城とは「軍事施設」です。

しろうと @sirouto

そしてじつは、江戸時代に火災で焼失した際に、再建を見送った歴史がある。

しろうと @sirouto

「保科正之」という大名が、失われた江戸城天守閣について、「再建は不要」だと判断したため、再建は見送られたのです。

しろうと @sirouto

なぜ、再建が不要かというと、天下太平の時代となり、軍事的に威嚇する天守閣はもう不要であり、それよりも、火災で疲弊した民衆の生活のために、幕府の資金を使うべきであると。

しろうと @sirouto

壮大な天守閣で、他大名や民衆に、権威を誇示する必要があったのは、安土桃山から江戸初期にかけてであり、徳川政権が安定した今となっては、固執する必要はないだろうと。

しろうと @sirouto

だから、江戸城の天守閣は再建されず、天守閣が「なかった」状態の方が長かった。江戸の民衆が見ていた訳でもない。

しろうと @sirouto

ただ、この保科正之の故事は、反対派の人がよく挙げ、ネットで検索してもすぐ見つかるので、今回はさらに話を進めてみます。

しろうと @sirouto

その後、幕末に、勝海舟が「江戸城無血開城」をしたので、江戸城は実戦で使われなかった。

しろうと @sirouto

天守閣を再建しなかっただけに留まらず、後の時代の実戦でも必要なかった。

しろうと @sirouto

保科正之の判断も素晴らしいが、勝海舟の判断もまた素晴らしい。

しろうと @sirouto

「権威を誇示しなければ」「戦争だから戦わなければ」といった固定観念を外して、平和を実現した。これは誇って良い歴史です。