感染拡大/縮小のダイナミクスを科学的に理解するための杉本大一郎さんによる物理学者的方法

杉本さんからの情報発信を理解していくために、 コロナウイルスの感染伝搬など連鎖的に広がる現象解析の基本的な部分と用語定義を、 抜粋してまとめました。
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研究者に贈る名言bot @kenkyumeigen

世界一の研究を成し遂げるには方法が二つある。一つは世界一頭が良くなること。もう一つは世界中で誰もやっていないことをやること(杉本大一郎)amazon.co.jp/exec/obidos/AS…

2019-07-18 08:10:57
笑い男 @warai_otoco

伊藤智義氏のGRAPE本を読了。アイデアは既に他で出され、計算機が欲しい杉本教授が学生に声をかけ、初号機や初期のGRAPE派生モデルは彼がハードウェアを実装したんだな。ソフトウェア実装は、あの有名なマッキーノ氏。やはり彼は天才か。

2012-07-30 08:15:42
Jun Makino @jun_makino

@dadeba @k_nitadori です。そういえば、GRAPE-1 の設計の時に杉本さんにその話をしたら、ちゃんと順番考えて足せばいいんじゃないのと言われた。トーナメント方式で加算すれば丸め誤差は log N 倍にしかならないかな。

2014-09-21 23:05:28
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 感染者数は縦軸を対数で表すと、動向がよく分かる。3/13からある新聞社の科学医療部に提言していたが、今日の朝刊でやっとそうなった。ただ感染者の累積数でなく、現在、感染させる能力のある人数が大切。退院した人などは除く。すると対策の効果や逆に医療崩壊も見えるようになる。

2020-04-22 10:03:45
Jun Makino @jun_makino

えええ、今まで存在を認識してなかったです、、、

2020-07-06 14:37:28
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス のように連鎖的に広がる現象の理解や解析は物理学者が得意潜伏期などで時間ずれのある現象の相互相関も。もちろん指数関数的増大とべき関数(変数の何乗)との本質的な違いの理解も。現役物理学者に出てきて欲しい。私自身は定年退官から四半世紀でデータへのアクセスもままならぬ。

2020-04-28 15:04:04
sugi_sci @SciSugi

1) 感染の拡大・縮小シミュレーションはSIRモデルをもとに計算される。S (未感染の人数)I (現在の感染者人数)R (回復・隔離した人数)が変数。基本モデルでは、Rは単に足し上げたものだから、本当の変数は、SIだけ。大学1年生ならモデルの意味・内容と限界は100%理解できる。→2)に続く

2020-04-26 17:01:18
sugi_sci @SciSugi

2) 地域の全人数に比べて免疫を既に獲得した者と感染者の和が少ない場合、Sは地域の全人数で近似できる。感染率β回復(死亡も含む)率γがパラメターとして取入れられるが、それらの値が時間的に一定だとすれば、微分方程式の解は単なる指数関数で、高校生レベル。問題はβとγの値→その意味は続き3)で

2020-04-26 17:05:47
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術1:あらたに1,2,3,…と番号をつける。社会・経済的損失を押さえながら出口を求めるには、感染拡大/縮小のダイナミクスを科学的に理解するのが第1戦略。次いで含まれる要因(社会的接触率など)を分析し、なるべく小さい損失で感染を収束させる方法の議論が戦術。→2に続く

2020-05-15 14:49:20
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術2:感染ダイナミクスの根本は、現感染者の時間当たりの増加率 = 感染者の増加率回復者の増加率。これは、蓄え(貯蓄等)の月当たり増加率 = 月収入- 月支出、になるのと同じ。「回復」はもう感染させなくなったという意味で、「完全」隔離死亡を含む。→3に続く

2020-05-15 14:45:57
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術3:他に、感染してから他人に感染させるようになるまでの潜伏期間(latent period)と発症までの潜伏期間(incubation p.)の差、その広がり、発症から陽性確認までの日数、免疫(抗体)獲得者の割合...等の効果は、増加率に繰込んでダイナミクスを明解に理解する。→4に続く

2020-05-15 14:43:37
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術4:基本的因果関係。現感染者(他人に移す可能性のある人)の人数を z新規感染者の発生率を az新規回復者の発生率をcz。それらが z に比例するのは、ネズミ算や高利貸しと同じ。子が孫を生むから(正のフィードバック)。aとcは、例えば、1人1日当たり。→5に続く

2020-05-15 14:42:19
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術5:するとダイナミクスは、dz/dt = az - cz で表現。ここで dt ば現在の時刻 t の少し先にとった時刻 t+ dt との差で、dz (人数)も同様。これを dz/dt = (a-c)z = (R-1)cz  と書き直し、R (=a/c) を (実効)再生産数と呼んでいる。「実効」の意味は後ほど。→6に続く

2020-05-15 14:38:31
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術6:この微分方程式の解は、a (R) とcを一定と見なせる範囲(aやcの変化がzの変化に比べて十分遅いとみなせる近似)では簡単で、z = z_0 exp{(R-1)ct} = z_0 exp{(R-1)τ}。ここで、τ = ct (無次元時間と呼ぶ、1/cを単位にして測った時刻)。他の記号は次回→7に続く

2020-05-16 16:00:51
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術7:前回の式で、z_0は時刻t=0でのzの値。exp{x} は e (=2.718…) のx 乗(1行で書ける表記にしているだけ)。eのx乗は、2の (x/0.69…) 乗に等しい。ここでの、0.69…は2の自然対数。eの自然対数は1。自然対数は関数電卓やExcelで、LN()で出てくる値。→8に続く

2020-05-16 16:01:49
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術8:現感染者数の式、z = z_0 exp{(R-1)τ} = z_0 exp{(R-1)ct}で、zがe倍になるのは無次元時間 τ が 1/(R-1)だけ増加したとき。実時間では t が1/{(R-1)c}だけ増加したとき。両者の時間の違いは後で重要な意味を持つ。2倍になる倍加時間はその0.69…倍。→9に続く

2020-05-16 16:03:10
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術10:直観的に言おう。増加率aやcの逆数は、時間の単位。そこでT_a = 1/a T_c = 1/c 、で表すと、それぞれ、一人の感染者が他の一人に感染させるのにかかる(平均)時間(時間尺度、タイムスケール)。T_c は平均的な人一人が回復する時間尺度。→11に続く

2020-05-16 16:06:15
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術11:一人の感染者はT_a毎に他の一人に感染させ、それがT_cだけ続く。だから T_c/T_a = a/c = R を再生産数と呼ぶ。無次元時間 τ = ct = t/T_c と実時間 t の関係は、τ=2の実時間が t=2T_cとか。aとcの役割を、明瞭に異なるRとT_cに分離して示すということ。→12に続く

2020-05-16 16:08:12
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術12:ここまで理解してもらえば、ダイナミクスは卒業後は、T_a とT_c がどう決まるかに基づいて、それらを調節する戦術を考える。なお、病院のキャパシティー(キャパ)はT_cに、感染を早く見つけて対処する検査社会的接触の抑制はT_aに影響する最重要点。→13に続く

2020-05-16 16:11:56
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術13:出口戦略を戦術に結びつける最重要点。T_a = T_c、(R=1) のとき、現感染者数 z =一定、の解は、その一定値と関係なしに、いつでも可能。だから一定値に留まっているのは不安定状態で、規制を少しでも緩めると、その後、感染者は指数関数的に増大する。→14に続く

2020-05-17 17:15:31
sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術16:左図は真数表示、右は半対数表示の例。右図の右側は対応する真数の値。それぞれ同じ値の3つの線を色分けで示す。左紫破線は青を10倍にして示した。右にすると3つの線の差異と特徴は明解。倍加(時間:横軸)も直ちに読みとれる。現実のデータは明日。→17に続く pic.twitter.com/DLMu68T2sW

2020-05-17 17:24:01
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sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術17:実際の例を示す。先ずは全国。4/7緊急事態宣言からの外出80%削減で、5月初めから、現感染者数z(赤)が水平(R=1)になり、その後右下がりになっている。グラフ目盛点線を1段下がる/上がるのにかかっている時間(横軸の間隔)が半減/倍加時間。→18に続く pic.twitter.com/jrq6MVLuio

2020-05-18 20:46:00
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sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術19:北海道。成功と失敗の効果が分かる。3/14からの赤の右下がりは、独自の緊急事態宣言の効果。4/6からの上昇は安心して規制を緩めたから。4/30から締め直しの効果が出て、降下し始めた。感染のダイナミクスとの関係はこれで示すとよく分かるので、次回に。→20に続く pic.twitter.com/Qkt9VMWLhF

2020-05-18 20:50:58
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sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術20:北海道。感染ダイナミクスのパラメター。色分けは図中。「新規」は「現感染者に対する増加率(1日あたり)」。元にしたデータは日々の変動が大きい(検査や病院の都合)ので、7日後方までの移動(累加)平均をプロット。(R-1)は、はみ出すのでその1/20の値。→21に続く pic.twitter.com/ENQ97eqI5S

2020-05-19 14:37:17
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sugi_sci @SciSugi

#コロナウイルス 出口戦略と戦術21:第19と 20回の図を比べると、意味がよく分かる。a-cは新規陽性者数の現感染者数に対する、実時間1日あたりの増加数(R-1)=(a-c)/cは無次元時間あたり。両者の比較から1/c=T_cは20日くらい。ずれているところがでるのは、aの絶対値が小さいためのゆらぎ。→22に続く

2020-05-19 14:37:54