日本医事法学会・東大科研費特別WEBシンポジウム「感染症対策の法と医療」 小山和博氏の実況

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小山 和博 @kaz_koyama_

2011年3月31日に新型インフルエンザ対策は季節性インフルエンザ対策に統合され、現在に至っている。特措法は対策の法的根拠を設定し、感染症法、検疫法などを補うものとして整備された。特措法に基づく行動計画は、新型インフルエンザ等だけを対象としていたが、考え方は応用可能と考えていた。

2020-08-30 11:50:11
小山 和博 @kaz_koyama_

感染症法における危機管理は、既知の感染症に対する報告として報告義務、入院、積極的疫学調査、消毒等の対応セットはもともとある。新たな感染症に対する対応として新たな感染症発生の探知と法に基づく措置の二つが重要。 探知はサーベイランスが通常だが、報告義務がないものは把握されづらい。

2020-08-30 11:52:16
小山 和博 @kaz_koyama_

この点疑似症サーベイランスから原因不明重症感染症サーベイランスに制度が変更されている。疑似症サーベイランスはデータの読み解きが難しい。またオリパラの関係もあったため、集中治療を行う医療機関から定点を設定し、重症で感染症で診断できないものは届け出る制度として整備されていた。

2020-08-30 11:53:46
小山 和博 @kaz_koyama_

この変更は昨年4月で、実はこれにより検知が行われている。これはうまくいったこと。 また、指定感染症として政令により指定すると感染症法上の措置を行うことができるようになる。新感染症という制度もあり、新しい感染症への対応を前提とした法令はあった。

2020-08-30 11:55:22
小山 和博 @kaz_koyama_

新感染症を理解するために感染症法の原則を説明する。症状があり、病原体が検出された人に対して措置が行える。いくつかの感染症は無症状病原体保有者への対応が可能であり、症状を呈している人への対応が可能な感染症もある。病原体が分からない場合の対応として新感染症が用意されていた。

2020-08-30 11:56:35
小山 和博 @kaz_koyama_

SARSウイルスも当初新型コロナウイルスとして呼ばれていたが、病原体が分からなかったので新感染症として対応していた。新型インフルエンザ等感染症は、外出自粛要請が行える点で非常に特別な法律上の定め。症状もないし、病原体も検出されないが、濃厚接触歴がある人への対応ができるようにしている。

2020-08-30 11:58:38
小山 和博 @kaz_koyama_

世の中では2類相当といわれているが、どちらかというと新型インフルエンザ等感染症相当ではないかと思われる。 特措法は、蔓延防止策としての物理的距離の確保を依頼することができる。これは感染症法の感染者・汚染された場所への対応とは異なり、不特定多数への措置。非医療・非薬剤的対策とも。

2020-08-30 12:00:33
小山 和博 @kaz_koyama_

その他、特措法の特徴は、政府一体の対応、事前準備の実施、医療体制の臨時拡張、社会的優先順位付けによる予防接種の実施ができるように決まっていること。

2020-08-30 12:01:32
小山 和博 @kaz_koyama_

特措法は、映画で映し出されるような深刻な感染症流行を前提としていた。ごみ収集の困難、遺体のご火葬の困難等。特措法にはその下に政府行動計画及びガイドラインがあり、その内容を十分に理解する必要がある。行動計画は対策のカタログである。やる可能性があるものはすべて盛り込んである。

2020-08-30 12:04:01
小山 和博 @kaz_koyama_

様々な状況に対応できるように基本的対処方針等諮問委員会で具体的な実施するべき対策を選定するという仕組みになっていた。このことにより、covid19対策は政府一体として行われており、緊急事態宣言・措置と運用枠組み、ソーシャルディスタンスは準備されていたところはよかった。

2020-08-30 12:05:21
小山 和博 @kaz_koyama_

想定と異なったのは、病原体としての厄介さ。死亡リスクが高くて、感染性も高いという病原体は両立しないだろうと考えられてきたが、今回は不顕性感染者が多い一方、特定の年代では致死率が高い。発症期間、潜伏期間が長い。多くの人はうつさない。スーパースプレっディングイベントがたまに起こる。

2020-08-30 12:07:26
小山 和博 @kaz_koyama_

クラスターの形成と連鎖が流行の本質であり、現在でも入院措置を継続している根拠となっている。 備えと現実の違いとして、積極的疫学調査の対応能力が長期的に維持する仕組みがなかった。初期の数百例を追えばよいというインフルエンザ等での発想が成立しない。

2020-08-30 12:09:24
小山 和博 @kaz_koyama_

インフルエンザ等を想定したので検査需要への対応ができないかもしれないという検討がなされていなかった(対応キットがあるから)。軽症から無症状者の隔離の想定があまりなかった。多くの自治体は1例目の隔離措置の訓練は行っていたが長期化を想定していない。外出自粛要請は元々2週間程度を想定。

2020-08-30 12:10:53
小山 和博 @kaz_koyama_

実際には2か月。これは潜伏期間と発症期間の違いに由来する。2週間程度であれば自然災害と同様に受忍限度を超えないと理解されていたため、補償の制度はなかった。 加えて、特措法の適用は3月14日、実際に動き出すのは3月26日。

2020-08-30 12:12:07
小山 和博 @kaz_koyama_

対象疾患を広げておくべきだったという議論はあると考えるが、そもそも新型インフルエンザ対策の構築で相当大変だったのである。新感染症に対する議論も十分ではなかったが、架空のウイルスの病原性を想定すると議論が拡散して何も進まないリスクがあった。考え方を応用できると考えたが、話が違った。

2020-08-30 12:13:13
小山 和博 @kaz_koyama_

新型インフルエンザ対策で合意していたスキームがコロナ対策とは違うので!ということで一から議論することになった。また、災害対策基盤としてのDMATとの連携を検討していなかったが、今回非常に有益に対応していただいている。危機管理部局との連携を強化していく必要がある。

2020-08-30 12:14:36
小山 和博 @kaz_koyama_

正直に言えばもっと無駄が欲しいのである。レジリエンスを高めるためには無駄、余裕が必要である。加えて、危機管理の一部としての調査・研究・開発体制の事前準備が必要。これはサイエンスプリペアドネスと呼べる。医薬品の緊急時承認と製薬会社の免責制度についても議論が必要と考える。

2020-08-30 12:16:02
小山 和博 @kaz_koyama_

日本のパンデミック対策は拡張性を内在していたものの、特定の感染症への想定を重く見すぎていたと考えている。パンデミック対策の議論の仕方としてシナリオランドスケープの構築が必要。特にプリペアドネスの拡張性をどのように担保するかは重要。

2020-08-30 12:17:40
小山 和博 @kaz_koyama_

磯部哲先生のお話「感染症法・特措法の仕組みに関する医事行政法的考察」 #感染症対策の法と医療

2020-08-30 12:18:26
小山 和博 @kaz_koyama_

ご飯でも食べながら進めてください。 (調理にも時間が必要なんです!)

2020-08-30 12:19:31
小山 和博 @kaz_koyama_

感染症史に学ぶべきものとして、差別と偏見の助長の問題がある。ハンセン病問題解決促進法の前文を参考としながら、考える必要がある。感染症法は良質な医療の提供と速やかな社会復帰を目指したものだが、結核予防法ではもともと良質な医療の提供と社会復帰という視点が用意されていた。

2020-08-30 12:22:02
小山 和博 @kaz_koyama_

(ていうか慶應の先生多すぎない?私もだけど) 記録保管の重要性についても指摘する。2009年のインフルエンザ対応でもスペインインフルエンザの教訓である。 (現政権はその点で対応する資格が乏しいという指摘がスライド上にあり)

2020-08-30 12:24:15
小山 和博 @kaz_koyama_

(感染症法に関する説明あり) 感染症法は個人の健康を積み上げることで公衆衛生の向上と増進を図るという観点で設定されている。患者は隔離するだけという従前の考え方に比べたら本質的には異なるものになっていると理解するべき。感染症法の検討過程では、給付行政としての把握が必要であり、

2020-08-30 12:27:13
小山 和博 @kaz_koyama_

強制的手段を外すという議論も行われていたぐらいである。これを衛生警察的に解釈するのは立法過程や立法内容から考えてかなり難しいと考えている。現行法の立場は基本的に妥当なものだと理解している。最小限の実力行使以外は、比例原則適合性の検討プロセスが必要だと思う。

2020-08-30 12:32:03
小山 和博 @kaz_koyama_

コロナウイルス感染症は無症状者・未発症者が大規模に感染を媒介する性質がある点で、現行法が前提していなかったところがある。感染症はうつりうつされる社会的性格を有するものであり、誰もがどの立場にもなりうるという立場互換的な関係の承認が必要であり、この必要性は強調するべきところ。

2020-08-30 12:34:49