同人誌違法アップロードサイト訴訟 控訴審判決(R2.10.6.知財高裁判決)を読む
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澤田悠紀「司法におけるわいせつ作品の扱い――BL同人誌著作権侵害事件を契機として――」
公益社団法人著作権情報センター『月刊コピライト』61巻720号(2021年4月)33-42頁
坂田晃祐 弁護士(@KosukeSakatalaw)「作品を無断転載された同人作家は何ができるか:BL同人誌事件(知財高裁令和2年10月6日)評釈」
2021年5月13日公開
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いわゆるBL同人誌事件(知財高判令和2年10月6日)について、所内ブログにて評釈を執筆いたしました! そもそも本件の背景事情がよくわからない実務家の方、法律論はよくわからない同人作家の方の双方にわかりやすい記載を心がけたつもりです。昼の合間にぜひご一読ください! storialaw.jp/blog/7804
2021-05-13 12:13:06本判決の結論(同人作品の著作者に損害賠償請求を認めた)は、妥当なものだと感じます。
二次的著作者が損害賠償請求できるかについて、注8で挙げた中山教授の問題提起は、二次的著作者の創作的寄与の程度にかかわらず一律に損害賠償を否定する点で問題があるのではないでしょうか。
また、「そもそも適法に利用できないから、損害が発生していない」という理由付けについて、たとえ原著作物の権利者から損害賠償請求を受ける可能性があるとしても、二次的著作者が二次創作に基づいて利益を得ることは観念できますし、原著作物の権利者が損害賠償請求をするかどうかは原著作物の権利者の選択に委ねるべきであることからすると、相当ではないと考えます。「差止め・損害賠償の可能性があるから、二次的著作物を無断利用されたとしても損害が発生していない」というのは、いささか論理が飛躍しているという印象を拭えません。
ただ、①同人作品は、原著作物の権利を侵害している場合があり、本件のように裁判例として著名になった結果、原著作物の権利者からの権利行使を受けるリスクもあること、②元々同人界隈に「原著作物の権利者に迷惑をかけず、表で目立って活動しない」という不文律があることを考慮すると、本件を契機に同人作家を原告とする訴訟が増えるかどうかはなんともいえないところです。
とはいえ、私が調べた限り、同人誌の著作権侵害を理由として差止め及び損害賠償を求めた事例はなく、本判決が同種の事例のリーディングケースになると考えられます。残された問題として、複製物の数量の認定(PV数の9割引という数字が正当かどうか)や、別の損害推定規定(例えば、著作権法114条2項)を用いた場合にどうなるか、同人誌の表現の中身によって結論が変わるか23等があり、今後も追っていきたいトピックの一つです。
ウェブサービスやアプリの法律問題、個人情報やプライバシーに関心があります。 storialaw.jp 共編著『新アプリ法務ハンドブック』『AIプロファイリングの法律問題』2007兵庫県弁護士会→2017第一東京弁護士会
当事務所のスーパー新人、坂田弁護士によるBL同人誌事件の判例解説です。 法律関係者のみならず、同人作家、二次創作に携わるすべての方にご覧いただきたい内容です。 作品を無断転載された同人作家は何ができるか:BL同人誌事件(知財高裁令和2年10月6日)評釈 storialaw.jp/blog/7804
2021-05-13 11:33:09元・消費者庁法規専門官 / 弁護士法人イノベンティア / 景品表示法、知的財産法(特許法、著作権法、商標法、不競法)、Tech分野に力を入れています / 第二東京弁護士会所属
非常におもしろい記事でした。本文だけでも勉強になりますが、脚注まで読むと熱い同人愛が伝わります笑。 twitter.com/KosukeSakatala…
2021-05-13 22:47:14前回のBL同人誌事件の評釈記事について、たくさんの反響・感想ありがとうございました! 前回記事に寄せられた質問をもとに、続編記事を執筆いたしましたので、是非ご覧ください。 翻案の限界を考えていたら著作権法の深淵にはまりこんでしまった―BL同人誌事件評釈続論 storialaw.jp/blog/7882
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