尾上正人先生の、自然淘汰、遺伝子の冗長性と進化

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尾上正人 @9w9w9w92

Ohno, Susumu.[大野乾](1970) Evolution by Gene Duplication, Springer-Verlag New York. =1977 山岸秀夫・梁永弘訳『遺伝子重複による進化』岩波書店

2019-08-04 13:56:00
尾上正人 @9w9w9w92

序「”必要は発明の母である” といわれている。…しかし、人類の歴史をながめるとき、”余暇は文化的進歩の母である” ということを付け加えねばならない。…同様に、”自然淘汰は修正をしただけであるが、重複は創造を行なった” と進化に関していってよかろう」viii うーむ、印象的な序文だ!!

2019-08-04 14:02:24
尾上正人 @9w9w9w92

「自然淘汰は効果的な警察官の役割を果たしており、その性質は非常に保守的である。もし進化が完全に自然淘汰だけに依存していたとすれば、バクテリアからは単に多様な型のバクテリアしか生じてこなかったであろう」viii →

2019-08-04 14:06:15
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「さらに、単細胞生物から脊椎動物や最後に哺乳類といった後生動物の創生は、まったく不可能であったろう。なぜなら、進化におけるこのような大きな飛躍は、これまでに存在したことのない機能をもつ新しい遺伝子座の新生を必要としたからである」viii

2019-08-04 14:08:12
尾上正人 @9w9w9w92

「遺伝子は、冗長なコピーを備えているときにのみ、自然淘汰の無慈悲な圧力から逃避することができ、このような逃避の方法を獲得していてはじめて、遺伝子は、新しい遺伝子座として出現してくる可能性を秘めた、従来の禁制突然変異を蓄積しえたのである」viii

2019-08-04 14:10:30
尾上正人 @9w9w9w92

緒言「いろいろな脊椎動物種における相同なペプチド鎖のアミノ酸配列の比較研究から、構造遺伝子の極めて保守的な性格がすぐさま明らかになった…すでに存在している遺伝子座での対立遺伝子型の突然変異によっては、進化の大きな変化は説明できないことがわかってきた」2頁 ふむふむ

2019-08-04 14:17:37
尾上正人 @9w9w9w92

「ある生物の特定の機能が単一の遺伝子座の支配下におかれている間は、その遺伝子がつくるポリペプチド鎖の機能上必須な部位に影響する突然変異の存続を、自然淘汰は許容しない。したがって、遺伝子の定められている機能は、同じ座に起こった突然変異によって変わることはないのである」2頁

2019-08-04 14:20:05
尾上正人 @9w9w9w92

「そこで、遺伝子重複が進化の原動力であるという考えが新しい装いで現われた。遺伝子重複によって、冗長な遺伝子座が新生したときにのみ、それまでの禁制突然変異(forbidden mutation)の蓄積が可能になり、従来知られていなかった機能をもつ新しい遺伝子が出現してくる」2頁

2019-08-04 14:23:11
尾上正人 @9w9w9w92

「今日のすべての生物が3’と5’の結合を利用しているという事実こそは、それらがたまたま3’と5’との結合で構成されたポリヌクレオチドのタイプを利用した最初の生命形態の子孫であることを示しているのである」7頁

2019-08-04 14:31:18
尾上正人 @9w9w9w92

「塩基対合の特異性は塩基そのものに備わっていること、また核酸の自己複製が酵素の出現以前の ”前生命” 状態においても起こっていたであろうということを示唆する例証はすでに十分にあるといえる」11頁

2019-08-04 15:19:03
尾上正人 @9w9w9w92

「tRNAは、遺伝メッセージとして、連接している3つの塩基(トリプレット)を解読するので、核酸は64(4^3)の異なるメッセージを生成し、この結果、遺伝メッセージには大きな冗長さがもたらされている」13頁

2019-08-04 15:25:10
尾上正人 @9w9w9w92

「ポリペプチド鎖合成に利用しうるアミノ酸の数は、その後、10種余りから20種…に増加しただけなので、コドンの冗長性は今日まで持続している」13頁

2019-08-04 15:26:13
尾上正人 @9w9w9w92

「コドンの冗長性は多くの場合、トリプレット暗号の第3番目の塩基にあることがみてとれるだろう」15頁

2019-08-04 15:27:16
尾上正人 @9w9w9w92

「コドンとアンチコドン間の塩基対合に、ある度合いの不忠実性がtRNA進化の初期段階に導入されなかったとしたら、64のアンチコドン、したがって64種のtRNAが核酸のポリペプチドのアミノ酸配列に翻訳するのに必要であったはずである」16頁

2019-08-04 15:32:43
尾上正人 @9w9w9w92

「鎖停止の信号[終止コドン]は、長い核酸が1つの長いポリペプチド腐りに翻訳されるのではなく、2つ以上の独立なポリペプチド鎖に翻訳されるのに、明らかに有用である。現在の生物におけるこのような核酸は、ポリシストロン性mRNAと呼ばれている」17頁

2019-08-04 15:37:06
尾上正人 @9w9w9w92

「現在の生物がポリペプチド鎖の合成にもちいている20種のアミノ酸のうち、メチオニン…はただ1つのコドン(AUG)で決められているという点でユニーク…大腸菌の無細胞(in vitro)系における人工RNAのポリペプチドへの翻訳は、メチオニンのコドンAUGが5’末端にあるとき、著しく効率がよくなる」17頁

2019-08-04 15:41:50
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「生命体の誕生のごく初期から、メチオニンtRNAはこのユニークな特性を備えていたのであろう。逆に、鎖開始コドンは、ペプチド鎖合成機構の複雑化した装置として、後に進化したものであろうとも考えられる」17-8頁

2019-08-04 15:43:38
尾上正人 @9w9w9w92

「1つのmRNAからポリペプチド鎖の多くのコピーが連続的につくられるので、ある時点では、1つのmRNAはいくつものリボゾームと会合している。糸(mRNA)上の粒子(リボゾーム)からなるこの単位はポリゾーム(polysome)と呼ばれている」20頁

2019-08-04 16:30:17
尾上正人 @9w9w9w92

「中部または中部近くに動原体をもつ染色体は中部動原体染色体とよばれ、染色体の一端近くに動原体をもつ染色体は次末端動原体染色体とよばれる」25頁

2019-08-04 16:33:18
尾上正人 @9w9w9w92

「すべての動原体は、別々の染色体に存在していたとしても、相同体であるに違いない。なぜなら、1本の染色体の動原体が切り離されて他の染色体に付着したときでも、新しい位置で十分に同じ機能を果たしうるからである」26頁

2019-08-04 16:36:52
尾上正人 @9w9w9w92

「ちょっとみたところ、自然淘汰は明らかに無用な染色体分節が恒存するのを許さないように考えられよう。しかしよく考えてみると、これとは反対に、個々の染色体の構造的統一性を保存するためには、染色体の特定の分節は無用な塩基配列からできていなければならないということがわかるのである」27-8頁

2019-08-04 16:44:44
尾上正人 @9w9w9w92

「多細胞生物の場合、ほとんどの遺伝子を抑制された状態に保っておくことがより望ましいのである。特別の遺伝制御機構によって、それぞれ抑制が解除されない限り、後生動物ゲノムの構造遺伝子は眠ったままであるに違いない」30頁

2019-08-04 16:57:05
尾上正人 @9w9w9w92

「真核性生物でゲノム中の特別の構造遺伝子領域を活性化するためには、制御遺伝子の産物である賦活化型の調節タンパク質分子(アクチベーター)が、特別の構造遺伝子を選択的に識別し、その遺伝子からヒストンを除去しなければならない」31頁

2019-08-04 16:59:16
尾上正人 @9w9w9w92

「塩基置換が遺伝子のどの塩基対にもランダムに生じるとすると、ナンセンス突然変異が1つ起こると17のミスセンス突然変異と6つの同義突然変異が起こっていると算定できる。この3つのタイプの突然変異の相対頻度は1:17:6であると予想される」38頁 どういう計算なんだろか

2019-08-04 20:52:05
尾上正人 @9w9w9w92

「ゲノム(半数体セット)が1つの生命機能に対して、単一の構造遺伝子座しかもっていなければ、自然淘汰はその遺伝子群に定められた機能を失わせるような突然変異が永続するのを許さない。このような突然変異は、種分化の過程に伴うことが禁じられているので、これを禁制突然変異…と定義しよう」42頁

2019-08-04 20:56:22
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