尾上正人先生の、自然淘汰、遺伝子の冗長性と進化

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尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「直列重複と倍数性とを交互に採りいれることによって、魚類あるいは両棲類型の哺乳類の祖先種は、すでに適当な度合いの遺伝的冗長性を備えた、特徴的なゲノムの大きさに達していたと思われる」157頁

2019-08-06 17:38:34
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「引き続いて起こった、哺乳類と最後にヒトの出現で頂点に達する、進化の大きな飛躍は、重複をさらに繰り返してもたらされたものではなく、むしろすでに保持している遺伝的冗長性を使い分けて成しとげられたと考えられる」157頁

2019-08-06 17:40:26
尾上正人 @9w9w9w92

「哺乳類の祖先種は、魚類の段階かあるいは両棲類の段階かで、少なくとも1度は4倍体進化を経たというのが私たちの論点である。鳥類は…その祖先種も4倍体進化を経たであろう。2億年にわたる過程のなかで、哺乳類と鳥類のゲノムは完全に2倍体化を成しとげたのである」164頁

2019-08-07 09:20:08
尾上正人 @9w9w9w92

「哺乳類では、ヘモグロビンα鎖の遺伝子座がヘモグロビンβ鎖の遺伝子座と連関していないという事実、また免疫グロブリンL鎖の遺伝子座が免疫グロブリンH鎖の遺伝子座と連関していないという事実は、遺伝子重複が遥かな昔に起こった4倍体進化で成しとげられたことを示唆していると考えられる」164頁

2019-08-07 09:24:31
尾上正人 @9w9w9w92

「新しく2倍体化した同質4倍体種は、重複しているあらゆる遺伝子を機能的に多様化するための大規模な実験を続けているのである」166頁

2019-08-07 09:33:56
尾上正人 @9w9w9w92

同一種の標準的染色体と過剰染色体との間には、遺伝的な相同性がほとんどないようである。通常標準染色体よりも小さい過剰染色体は、お互いの間でのみ対合し、減数分裂の間に互いに組換えを行なう。だから個体は、なんら明白な病的効果を蒙らずに非常に多くの過剰染色体を蓄積していくことができる 172

2019-08-07 09:52:08
尾上正人 @9w9w9w92

発展したクラスへの大きな飛躍は、常に前段クラスのより原始的な成員種から出てきた…この外観上のパラドックスは、"原始的"という語を"未拘束でかつ一般化型(uncommitted and generalized)"という語で、"発展した"を"拘束されていて特殊化型(committed and specialized)"で置きかえると消失 177-8

2019-08-07 10:07:18
尾上正人 @9w9w9w92

「進化においては、幼形進化(paedomorphosis)と呼ばれている過程が幾度も起こっている。すなわち、成体段階が退化し、幼生形が性的に成熟して繁殖しうるようになることである。太古のホヤに似た生物の幼生から、最初の真正な脊椎動物が新生してくるような体形が生じたと考えられる」178-9頁

2019-08-07 10:19:24
尾上正人 @9w9w9w92

「爬虫類、鳥類、哺乳類の祖先種は魚類または両棲類のどちらかの段階で、少なくとも1回、4倍体進化を経たのであるということが私たちの主張である」205頁

2019-08-07 10:57:45
尾上正人 @9w9w9w92

「現存のカエルとイモリで観察されているゲノム量のいちじるしい差異[カエル<イモリ]は、直列配列型の重複と倍数体化の両方によってもたらされたものと考えられる」210頁

2019-08-07 11:06:02
尾上正人 @9w9w9w92

「有羊膜卵の創生[爬虫類の誕生]と偶然時を同じくして、遺伝子重複による偉大な実験は突然集結してしまった…魚類と両棲類の性染色体は形態的には外観上区別できない形のまま維持されてきたと思われるが、このことは染色体性性決定機構が未分化の状態に止まったままであることを示唆している」211頁

2019-08-07 11:12:25
尾上正人 @9w9w9w92

承前「安全に保護された[XとYが相同的でない]染色体性性決定機構をもつようになった結果、爬虫類は新しい遺伝子座の獲得の方途として倍数体化を用いることが不可能になったのである。この段階から後の脊椎動物進化での遺伝子重複は、不等交叉、不等交換その他の方途による直列重複によってのみ」211

2019-08-07 11:18:46
尾上正人 @9w9w9w92

「ゲノム量として最小のものをもつ2倍体種が、魚類あるいは両棲類の段階で4倍体化して、終局的に鳥類の出現へと導いたクラスのゲノムが作り出された。一方、直列重複を繰り返してゲノム量が[有胎盤哺乳類の]40~50%の値にまで既に増大していた2倍体種で4倍体化が起こって、哺乳類の出現へと」217

2019-08-07 11:28:26
尾上正人 @9w9w9w92

「哺乳類でゲノム量が一定しているということは、すべての哺乳類が本質的に同一のゲノムを備えており、1つの種のゲノムに含まれる大抵の遺伝子座は他の種のゲノムにも含まれているということを意味している」221頁

2019-08-07 11:31:14
尾上正人 @9w9w9w92

「多くのグループの動物群における進化の特徴の1つに、その体型の一部を失い、保持している部分を適応放散の過程で特殊化させるという傾向がある。…構造遺伝子のレベルでは、禁制突然変異の集積により、その構造遺伝子が生活機能に関与しなくなるか、不必要な遺伝子座を欠失させてしまうか」223頁→

2019-08-07 11:45:13
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「のいずれかが、恐らく哺乳類進化に役立ったであろう。哺乳類のおおもとのゲノムは充分なセットの重複遺伝子をもっていたので、ある重複遺伝子セットにおける1つ以上の重複遺伝子が生活機能との関わりを失うようなことが、しばしば種分化過程に併存したかもしれない」223頁

2019-08-07 11:47:42
尾上正人 @9w9w9w92

「祖先型の哺乳類は、機能的な多様化を高い度合で遂げていない、重複遺伝子のセットを保持して進化をはじめたと思われる。したがって、有胎盤哺乳類は、ある重複遺伝子セットのそれぞれの重複遺伝子を、特殊化する機会を備えていたわけである」225頁

2019-08-07 11:52:00
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「既存の重複遺伝子のたえまない特殊化は、安定化したゲノムの枠組みの中で有胎盤哺乳類が享受した、すさまじい適応放散に非常に貢献したというのが私の考えである」225頁

2019-08-07 11:54:45
尾上正人 @9w9w9w92

「学習過程は、生物体がゲノムに備わった行動上の応答では対処しえないような出来事に遭遇したときに、活動をはじめるのである」226頁

2019-08-07 13:27:50
尾上正人 @9w9w9w92

「ヒト(属)のゲノムにすぐには必要ではないが、将来の必要性を先取したような系を最初に備えさせた機構とはいったい何であったろうか。幸いにも、脊椎動物は未来の必要性を先取した、よく知られている系をもっている。…莫大な数のグループの抗原に、特異的に応答する免疫システムのことである」228

2019-08-07 13:34:24
尾上正人 @9w9w9w92

「体細胞分裂が繰り返されていくうちに、それぞれの個体のある体細胞クローンは現在では無用であるが、将来有用となるかもしれない遺伝子をもつように…将来の必要性を先取するシステムが確立されるが、その先取する能力はゲノムに含まれていた始原型の遺伝子の数と塩基配列によって制限されている229

2019-08-07 13:39:41
尾上正人 @9w9w9w92

「ゲノムに含まれる始原型遺伝子は、本能的な、遺伝的にすでに仕組まれている行動反応に対して直接関係があると期待されるが、他方、生物は始原型遺伝子の体細胞増幅と変更によって学習能力を増してきているのだろう」230頁

2019-08-07 14:12:43
尾上正人 @9w9w9w92

「私たちの洞穴生活時代の祖先たちのゲノムは適当な数の始原型遺伝子をもっており、そのそれぞれはその多くのコピーがランダムな突然変異と遺伝子内組換えをニューロン内で行なうとき、未曽有の数のアミノ酸配列を生ずるのに最適な塩基配列をもっていただろう」231頁

2019-08-07 14:17:12
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「このようにして、最初のヒト(Homo sapiens)は、数千年後に生ずるはずの将来の必要性を先取して、無限の複雑さを有する大脳をすでに備えていたのであった」231頁

2019-08-07 14:19:15
尾上正人 @9w9w9w92

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