正しくTogetter / min.tにログインできない不具合が発生中です。X側の修正をお待ちください(詳細はこちら)

尾上正人先生の、自然淘汰、遺伝子の冗長性と進化

7
尾上正人 @9w9w9w92

「自然淘汰によって禁制突然変異は有効に除去されるので、それぞれのtRNAシストロンの塩基配列は十数億年にわたって存在しているにもかかわらず、ほんのわずかしか変化してこなかった。自然淘汰の極端に保守的な性質を示すこれ以上の明らかな例はない」43頁

2019-08-04 20:59:52
尾上正人 @9w9w9w92

「フレームシフト突然変異とナンセンス突然変異はほぼ確実に有害であり、それ故に禁じられている。他方、ミスセンス突然変異は、禁じられていることもあるが、許容されていることもある。…特定のアミノ酸置換が自然淘汰によって許容されているかどうかは、置換が起こる部位に依存するのである」43頁

2019-08-04 21:03:38
尾上正人 @9w9w9w92

「1つの生命機能がゲノム中の単一遺伝子座で支配されている間は、自然淘汰は、その遺伝子座の塩基配列を保存させるための非常に有能な警察官として働くのであって、遺伝子の基本的特質が変化するのを許さないのである」47頁

2019-08-04 23:02:09
尾上正人 @9w9w9w92

「明らかな禁制突然変異が、自然淘汰によって好ましいものとして保存される、ある例外的な場合がある。多分これらの例外のために、現実には非常に保守的である自然淘汰の作用が、遺伝的変化を誘導したり、媒介したりするものであると間違って理解されてきたのであろう」47頁

2019-08-04 23:04:23
尾上正人 @9w9w9w92

「種分化の過程が、ゲノム中のすべての遺伝子座で有利性を示す変異型遺伝子の選抜を必要とするなら、進化は数学的に不可能なものになってしまう。中立突然変異はたびたび起こったに相違ないし、これら中立突然変異のまったく偶発的な固定が種分化の過程に併存したと考えられる」51-2頁

2019-08-04 23:13:25
尾上正人 @9w9w9w92

「いろいろなタイプの突然変異の中の1つのグループである同義突然変異は、あらゆる突然変異のうちで最も中立的なものであるとみてよいであろう。というのは、構造遺伝子による同義突然変異の蓄積は、その産物のアミノ酸配列に変化をもたらさないからである」55頁

2019-08-04 23:17:22
尾上正人 @9w9w9w92

「自然淘汰は全般にわたって個々の構造遺伝子の機能的に必須な部位の塩基配列を保存する…したがって、多様な脊椎動物種は相同な遺伝子座を現実に維持しているのである。相同な遺伝子座があるかぎり、個々の座での相同な突然変異の反復が起こりうる。この結果、収斂進化が起こりうるのである」60頁

2019-08-04 23:29:59
尾上正人 @9w9w9w92

「脊椎動物の場合には、機能的に関連した遺伝子の活性の協調した発現は、それらが互いに密接に連関していることに依存していないようである。同一の代謝経路の一連の酵素の合成を支配している遺伝子について、既知のすべての例で、2個以上の遺伝子が連関しないで、異なる染色体上に座をもつ」66頁

2019-08-04 23:46:30
尾上正人 @9w9w9w92

(承前)「脊椎動物において、機能的に関連した遺伝子がこのように連関していない理由は、遺伝子重複に見出すことができる…脊椎動物では、遺伝子重複の結果、同じ代謝経路に関与する各酵素は、たいてい2つ以上のアイソザイム遺伝子によって支配されている」66頁

2019-08-04 23:49:13
尾上正人 @9w9w9w92

「逆位は、新種と旧種との間に、不稔性障壁をつくりだす非常に有用な手段である。したがって、この種類の染色体変化[逆位]は、しばしば、種分化の過程に伴って起こる」67頁

2019-08-04 23:53:38
尾上正人 @9w9w9w92

「種々のタイプの転座[translocation]のうち、Robertson型融合として知られている特別のタイプは、種分化の過程にしばしば伴っているものである。これは本質的には、2本の末端動原体染色体の動原体の融合による1本の中部動原体染色体の生成である」68頁

2019-08-04 23:58:29
尾上正人 @9w9w9w92

「実際のところ、不稔性障壁をつくり出すということは、染色体全体の再配置が進化に対して果たしてきた唯一の明らかな貢献であると考えられる」71頁

2019-08-05 00:10:53
尾上正人 @9w9w9w92

「生物の歴史を通じて、tRNAの塩基配列が厳格に保存されてきたことは、自然淘汰によって禁制突然変異が無慈悲に除去されたことによるだけでなく、遺伝子が小さいことにもよっている。遺伝子が小さいために、座当りの突然変異は極端に低いのである」79-80頁

2019-08-05 10:13:59
尾上正人 @9w9w9w92

「それぞれの生活機能がゲノム内の単一遺伝子に支配されている間は、機能にとりわけ必須でない座を多くもつ大きな遺伝子のみが、急速かつ有意義な進化的変化を経るのである」81頁

2019-08-05 10:18:35
尾上正人 @9w9w9w92

「あらゆる可能なミスセンス突然変異の40%は、変異型遺伝子がつくるポリペプチド鎖の正味の電荷を変化させると考えられている」81頁

2019-08-05 10:24:40
尾上正人 @9w9w9w92

「自然淘汰に中立な変異型遺伝子について、KimuraとCrow(1964)は1つの集団で維持されうる対立遺伝子の数に厳密な制限があることを明らかに…n=4Nμ+1という式を導き出し…nは中立な複対立遺伝子の有効な数、Nは交配可能な成体の数で表わした集団の大きさ、μは座当り世代当りで表わした自然突然変異率81

2019-08-05 10:31:35
尾上正人 @9w9w9w92

「"多型はさらに多型を生成する" と表わしうる原則があるのだろう…突然変異類似の事象は、ホモ接合よりもヘテロ接合の生殖細胞で恐らく高い頻度で生成する…ヘテロ接合個体でのみ起こるこのような突然変異類似の事象は、遺伝子内組換えの結果だろう」82頁

2019-08-05 10:40:56
尾上正人 @9w9w9w92

「生きた化石の可能な説明…大きな遺伝子は、非常に多様な、機能のある対立遺伝子を生みだす可能性をそなえており、自然淘汰はまずこのような遺伝子に作用する。これらの遺伝子座で寛容突然変異の集積に伴って、しきい値がいったん越えられると、」87頁→

2019-08-05 11:05:15
尾上正人 @9w9w9w92

承前「いろいろな対立遺伝子が遺伝子内組換えで矢継ぎ早に新生しうるようになる。しきい値を越えたこれらの種は、急速な適応放散を経て、進化することができたであろう。これに対して、しきい値を越えられなかった種では、進化の速度は非常にゆっくりとしたままであったろう。この結果が生きた化石」87

2019-08-05 11:08:02
尾上正人 @9w9w9w92

「染色体に担われている遺伝子の遺伝的変化が進化の要因である限り、親の種の少数者集団で行なわれる強い近親交配の結果としてのみ、新種が生ずるのである。…種分化の過程は普通、多数者集団からの少数者集団の生殖的隔離を必要とすることになる」89頁

2019-08-05 11:14:30
尾上正人 @9w9w9w92

「私たち自身の種は個体数が数億という数に達し、世界のすべての地域に住み、疑いもなく成功の頂点に…しかし、この理由で、少なくとも現在は、さらに進化する機会を喪失しているのである。…獲得された新しい遺伝形質のいかなるものも、新種の特徴として固定される機会を実際上ほとんど失っている」92

2019-08-05 11:24:28
尾上正人 @9w9w9w92

「進化の速度はまた、他のことが同等であるならば、種の世代時間と反比例する。ここでいう世代時間は種の個々の成員が生殖能力をえるのに必要とする時間の長さとして定義されている。だから、個体の寿命とは異なっている」92頁 エリック・チャーノフは、成体の体重とこの「世代時間」の関係を定式化

2019-08-05 11:30:15
尾上正人 @9w9w9w92

「適応放散の範囲、種の数、種内の個体数などが進化における成功の基準であるならば、齧歯類は他の哺乳類のすべてをはるかに凌駕している。齧歯類が成功したのは、その短い世代時間にかなり負っていることは疑いの余地がない」93頁 r戦略の勝利?

2019-08-05 11:34:32
尾上正人 @9w9w9w92

「すでに存在している遺伝子座で起こる同座の遺伝的変化は、種内の品種分化と直前の先祖からの適応放散には十分であろうが、進化にみられる大きな変化を説明できないことはきわめて明白…というのは、進化の大変化は、以前になかった機能をもつ新しい遺伝子座の獲得によって可能になるからである」95-6

2019-08-05 14:31:39
尾上正人 @9w9w9w92

「絶え間ない自然淘汰の圧力から逃れる手段は、遺伝子重複の機構によってもたらされる。遺伝子重複によって、遺伝子座の冗長なコピーが新生する。…冗長な遺伝子コピーは、それまで不可能であった禁制突然変異を蓄積し、以前にはなかった機能をもつ遺伝子座に生まれ変わる。…進化の主要動因として」96

2019-08-05 14:37:20