- motidukinoyoru
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貨幣がいかなる意味で負債なのか、あるいは、通貨がいかなる意味で政府負債なのか、ということについて常日頃強調していると、経済に関心のある方ですら、それに何の意味があるのか疑問に思われるのかもしれない。 しかし、実際にはこのことこそが、MMTのコアメッセージに直結する重要事項なのである。
2020-12-05 18:16:18通貨がいかなる意味で政府負債なのかに関して言えば、クナップのChartalismにも繋がってくることだが、通貨が受領を通じて経済に受け入れられるという事実は、新通貨切替で生じている力学や、植民地における宗主国通貨の(課税による)受容を説明する上で、不可欠なMMTの理論的構成要素となっている。
2020-12-05 18:19:59ひいては、徴税制度が未完備な国での通貨定着の困難(過去の歴史における世界中の様々な統治体が似たような問題を経験している)や、徴税システムどころかその基礎となる経済システム自体に破綻を来すような状況(ジンバブエやベネズエラ)でハイパーインフレが如何に起きるかの説明にも必要な要素となる。
2020-12-05 18:24:20また、通貨が本質的に政府負債(統合政府負債)に過ぎないということが理解されれば、一体国債が何のために発行され、機能するのか、通貨と国債を入れ替える取引にどれほどの意味があるのか、そもそも国債という制度が真の目的に対して合理的なのか、といった重要な諸問題についての見通しが良くなる。
2020-12-05 18:27:46続いて、貨幣がいかなる意味で負債なのか、については、まず経済において負債とは何なのか、という理解が整理されなければ始まらない。 一般的な意味での借金は、実のところ、世における多様な負債の一部に過ぎない。 貨幣は、一般人にとっては資産だが、金融部門側からは負債以外の何者でもないし、
2020-12-05 18:33:11また金融部門以外の負債が、貨幣に似たような決済能を持つことだってあり得る。 マクロモデルはどうしてもcash in advanceみたいな形で、唯一の決済手段として貨幣を扱って、それを軸にインプリケーションを考えがちだが、実際には負債全体での貨幣の位置付けはそこまでクリアカットのものではない。
2020-12-06 10:01:11こういう理解があると、いわゆる信用創造廃止派(公共貨幣論、ポジティブマネー論etc)が、いかに無為な提言を行なっているかというのが見通し良く理解できるようになる。そうした方策は、より公的部門の監視を離れた一層危険な代替的決済手段の勃興を助長するように働くだろう。
2020-12-06 10:13:40またそもそも、金融の不安定性が、銀行部門の信用創造だけに限らず、より広い範囲での金融活動や信用(credit)に基づくと理解されていれば、最初から信用創造廃止にフォーカスするようなピント外れな議論には陥らないであろう。 MMT的な貨幣観というのは、そうした陥穽の回避としても意義深い。
2020-12-06 10:17:01また、貨幣を経済活動の結果として捉える(内生的貨幣)ことが出来れば、貨幣量を介して経済をコントロールしようとする見方(プレーンなリフレ派はまさにその典型)が根本的に誤っていることがよく分かるようになる。 インフレ/ハイパーインフレを純粋な貨幣現象として捉えようとする過ちについても。
2020-12-06 10:35:03推奨リンク: 貨幣はいかなる意味で負債なのか そもそも負債とは何なのか ameblo.jp/nakedcds/entry…
2020-12-06 13:41:57推奨リンク: 通貨はいかなる意味で政府負債なのか? 及びソマリアシリングの話 ameblo.jp/nakedcds/entry…
2020-12-06 13:42:36やや関連: 野口旭氏『MMT(現代貨幣理論)の批判的検討』に関するMMT(er)の“弁明” note.com/motidukinoyoru…
2020-12-07 12:25:43拙著『MMTがよくわかる本』 shuwasystem.co.jp/book/978479806… での関連部分: pic.twitter.com/PvRNKK5J4A
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