「信用創造」の廃止で、何が起こるか? ――「公共貨幣」によって、「負担なき財政再建」は可能か?
「国民負担なしでの財政再建」というのは、「無税国家」につながる道であって、そのような「フリーランチ」はありえない、というのが私の立場だ。
2020-12-12 22:23:49「公共貨幣やポジティブマネーなら、国債のように返済する必要がないから、良いじゃないか」という素朴な意見がありうる。おそらく公共貨幣の支持者に多そうだ。
2020-12-12 22:27:11しかし、経済(学)に「フリーランチ」はないのであって、そんな一方的に都合の良い仕組みは成立しない。公共貨幣だろうが何だろうが、「無税国家」や「負担なき財政再建」は不可能だ。
2020-12-12 22:28:25経済学者ではないので、難しくて細かい理屈は抜きにして、公共貨幣や信用創造廃止によって、経済がダメになる流れを、大ざっぱに説明してみよう。
2020-12-12 22:34:12かりに公共貨幣(や政府紙幣や永久国債)に切り替えた所で、ウナギがタダで食べ放題にはならないし、全国民が銀座の一等地に住むこともできない。供給の制約があるからだ。
2020-12-12 22:36:41反緊縮のコピペでよく言う「誰かの黒字は誰かの赤字」をもじって言えば、「誰かの福祉は誰かの負担」であって、「無税福祉国家」はありえない。無から有は生じない。
2020-12-12 22:43:25日本のように、石油などの資源がない国は、海外輸入が必要不可欠なので、インフレと通貨安が起こると、物価が上がって国民の生活が苦しくなる。
2020-12-12 22:46:10これは、旧ソ連のような共産主義国が、資本主義や自由市場を否定していたので、大恐慌の影響を受けなかったものの、経済が回らず、最終的には旧ソ連が崩壊した流れに似ている。
2020-12-12 22:50:33それから、国債について、「市中消化の原則」があるが、なぜそうなっているかというと、市場の調整機能によって、財政拡大にブレーキを掛ける仕組みになっている。
2020-12-12 22:57:58市場でインフレ率と金利が連動し、国債による資金調達コストが掛かることによって、無制限な財政拡大とインフレ昂進に対するブレーキになる。
2020-12-12 22:59:38これは、言ってみれば、アメリカの本家MMT論者が、裁量的財政政策より好む、「ビルトイン・スタビライザー」みたいなものだ。要は自動的な仕組み。
2020-12-12 23:00:37こうした自由市場の資源分配機能が、公共貨幣(と信用創造の廃止)の導入によって、破壊されてしまう。言わば「金融における共産化」のようなものだ。
2020-12-12 23:01:51